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スモールトーク雑記

■マカオ再び・市内観光  2012.07.07

昨晩、早く寝たので、朝6時に目が覚めた。

シャワーを浴びた後、朝食をとりに、ビュッフェ「カフェ・デコ」に行く。時間が早いので、スカスカ↓

Macao2012_CafeDeco

そのぶん、客の顔がよくみえる。いつもより、日本人とインド人が多いような・・・さては、中国人はカジノで徹夜か?

今日は、マカオの半日観光。朝9時15分に、マイクロバスが迎えに来るので、それまで、西側ロビーで待つ。(正面ロビーは私用車は乗り入れ禁止なので)

その間、ヒマなので、ウチのディレクターと新人のカジノの戦果を聞く。昨晩、解散した時点で、ディレクターは2万円の勝ち、新人は2万円の負け。その後、2人で一勝負したはずだが・・・

結果は、ディレクターは15万円の負け、新人は8万円の負け・・・あらら、状況が一変。

どうやら、2人そろって、「大小(サイコロゲーム)」にはまったらしい。

興味がわいたので、ネホリハホリ聞くと、ディレクターは一路トイレへ、そこで、新人に問いただすと・・・

最初、ディレクターは連戦連勝、7万円をゲットしたという。そこで、気分を良くして、大勝負にでる(全額賭けた)。ところが、ぞろ目がでて、親の丸取り・・・

「あの時の部長(ディレクター)の顔、一生忘れられません」としめくくった。

じつは、この2人、バクチが大好きなので、僕が10万円ほど貸すハメになるのでは、と心配していた。まぁでも、この程度なら、杞憂に終わりそうだ。

じつは、僕が2万円勝ってやめた理由はここにある。長くやればやるほど、遊技者の「最終的な勝ち目」はゼロに近づいていく。もちろん、勝たないと負けるわけで、負ければ、10万円ですまない。実際、知り合いのベンチャーの社長が、ラスベガスで250万円すっている(10日間で)。だから、2万円の勝ちは、10万円以上の価値があるのだ。

ディレクターがトイレから帰ってきたところで、「これで人生おしまい、というわけじゃないから」と慰めると、2人は口をそろえて、

「大丈夫ですよ。今晩、勝ちますから」

やっぱり、10万円はとっておこう。

やがて、マイクロバスが到着。今回のガイドさんは、35歳ぐらいの日本人男性だ。これは意外・・・というのは、マカオのガイドは初老の男性が多い。

去年のガイドさんは、35歳ぐらいの中国人女性だった。大連生まれの美人で、金沢の大学に留学していたという。頭の回転が速くて、楽しい人だった。

彼女が言うには、「わたし、会社(観光会社)で一番若いです」つまり、マカオでは、若いガイドはありえない。

なぜか?

マカオの失業率は1%で、若者が仕事にあぶれることはないから。巨大なカジノ需要が、労働力を丸呑みしているのだ。カジノは、職種にもよるが、給与はいいし、職場は綺麗だし、冷暖房も完備している。なので、ガイドみたいな割の合わない仕事は、年寄りしかやらないのだという。

今回のガイドのNさんは、以前、カジノで働いていたという。奥さんは、僕らが宿泊しているベネチアン・マカオ・リゾートで、今も働いているらしい。ということで、夫婦でマカオ暮らし。ただし、永住権はなく、就労ビザ。(マカオの永住権はまず取れない)

Nさんに、カジノの戦果を聞かれたので、2万円勝ってやめたこと、カジノは引き際が肝心、など、素人のウンチクをたれると、神妙になり、「身につまされます・・・でも、カジノのことは何でも聞いてください」

さては、カジノで痛い目にあって、今のマカオの人生?

Nさんに、「マカオで骨を埋めるつもりですか?」と、聞くと、

「先のことは分かりません」と、遠くを見る目つき・・・

深入りはやめとこう。ひょうたんから駒が出ても困るし。

ホテルを出ると、外は意外に涼しい。去年、マカオに来たとき、異様に蒸し暑かった。外に出た瞬間、クラっ~、あれは強烈だった。去年は6月初旬、今年は5月下旬で、2週間早いだけなのに、こんなに違うんだ。

ホテルからマカオ市街に向かう途中、道路沿いに、大規模な工事をしている。Nさんに聞くと、交通渋滞を解消するため、モノレールを建設中なのだという。マカオは土地が狭いので、新たに交通網を敷くなら、地下鉄かモノレールしかない。

ところが、マカオは埋め立て地が多いので、地下鉄はムリ。地盤がゆるいので、簡単に海水が入るだろうし、そうなると車両は潜水艦・・・シャレにならんわ。ちなみに、工事が完成するのは5年後だという。

カジノが集中するタイパ島と、本土のマカオ半島は、3本の橋で結ばれている。その一つ、西湾大橋を渡っていると、左側に中国の広東省が見える。よく見ると、山肌が削られ、こちらも工事中。Nさんに聞くと、マカオ政府が広東省の一部を買い取って、マカオ人居住区を建設しているのだという。

さらに、香港とマカオを橋で結ぶ計画もあるらしい。全長60km!(世界最長)しかも、建設費は数兆円とか。人口57万人の国の公共投資ではない。(正確には中国の特別行政区)

一体どれだけお金を持っているのだ?カジノで儲けようが、何で儲けようが、国が豊かなことはいいことだ。みんなハッピーで、犯罪も減るだろうから。

実際、マカオは犯罪が少ないらしい。Nさんによれば日本より治安がいいという。凶悪犯罪はなく、あってもスリぐらい。しかも、犯人を捕まえると、みんな外国人だとか。

ただ、問題もあるという。マカオの若者は職に困らないので、給与が5000円でも高ければ、すぐに転職、仕事がイヤになったら、すぐに辞める・・・マカオも日本同様、おゆとり様世代なのだ。

ところで、マカオの人件費は?ベネチアン・マカオ・リゾートのような一流どころで、月給12万円ぐらい。中国本土の数倍で、香港よりも高い。

ひょっとして、カジノ業>金融業?

じつは、これを示す別のデータもある。

マカオのカジノのディーラーの初任給は20万円!月給ですよ、しかも、18歳で。日本より高い・・・

そんなこんなで、マカオの若者の一番人気の職業は、スポーツ選手でも、公務員でもなく、カジノのディーラーなのだという。

現在、マカオには、5万人のディーラーがいるが、それでも数が足りないらしい。そこで、専門学校で6ヶ月研修しただけで、実戦配備される。それで、あくびをしているディーラーもいるわけだ。

そんなんじゃ、本場ラスベガスの凄腕ディーラーに乗り込まれたら、イチコロだぞ!心配無用。ディーラーはマカオ人しかなれないので。

というわけで、ガイドさんの話はためになる。去年に続いて、マカオ観光をしたのはそのためだ。

それに、同じ会社の半日観光でも、ガイドさんによって、案内する場所が違う。もちろん、大筋は、セナド広場を中心に、一気通貫で世界遺産めぐり、最後にマカオタワーでランチ、は変わらないのだが。

では、今回の観光と去年のマカオ観光とどこが違うのか?ポルトガル統治時代の「民政総署」がカットされ、代わりに、「天主教藝術博物館」が追加された。

天主教藝術博物館は、聖ポール天主堂の裏側にあって、聖職者や海外の殉教者の遺骨がおさめられている。写真左のガラスケースの中にある↓

Macao2012_TenshuMusium

秀吉や家康の時代、日本で処刑されたキリシタンは、日本で埋葬してもらえなかった。そのため、マカオまで運ばれて、納骨されたのだという。ちなみに、殉教者の名前リストも展示されていた。(日本人が多い)

マカオの世界遺産は、街のサイズにあわせ、こぢんまりしていている。しかも、今でも生活に使われていて、管理がぬるい。まぁ、これがマカオ式。

また、マカオの街並みは、シックなポルトガル建築、古い中国風の建築、近代的なビル、が混在している。

南欧風の街並みが続いて、角を曲がった途端、近代的なビル街・・・そんなギミックが、なんとなく楽しい。

僕がマカオが好きな理由は、もう一つある。「小さい」こと。

僕は昔から、こぢんまりした街が好きだった。生来の田舎者なので、「こぢんまり」が、居心地がいいのだ。

たとえば、昔行ったローテンブルク。ドイツのロマンティック街道沿いにある街で、中世の街並みをそのまま残している。そして、なにより、こぢんまり・・・

もっとも、マカオは「こじんまり」どころか、「猫の額」に近い。元々、マカオは周囲2kmの小さな漁村だった(皇居の広さ)。その周囲を埋め立てて、6km×5kmまで拡張したのが現在のマカオ。それでも、淡路島の1/30しかない。

そんな「町」に毛が生えたような土地に、マカオ人が57万人、外国人が10万人、観光客が8万人、合わせて75万人がひしめいている。

ちなみに、人口密度は、1km×1kmあたり、1万7310人!東京都の3倍、鳥取県の104倍で、ダントツの世界一だ。

単純計算で、10m×10mに「1.7人」!?マカオにいる人たちが、全員ビルの外に出たら、海にこぼれ落ちる、という都市伝説があるが、本当かもしれない。

そんなこんなで、駐車場を確保するのも大変らしい。実際、家賃より高くつくという。もちろん、自動車は最高の贅沢品。

さらに・・・

人口過密といえば、気になるのが地震だ。そころが、不思議なことに、マカオには地震の記録がない。

マカオは、16世紀初頭にポルトガル人がやってくるまでは、寂れた漁村だった。そのため、それ以前の記録がほとんどない。

ところが、ポルトガル人が来訪した16世紀以降、記録(資料)は急増する。それもこれも、ポルトガル宣教師のおかげだ。

この頃、ポルトガルは、大航海時代のトップランナーで、遠くアジアまで侵出していた。彼らの目的は2つあった。物の支配、つまり、スパイスを独占すること。心の支配、つまり、キリスト教を布教すること。

前者は、命知らずのコンキスタドール(征服者)が、後者は、キリスト教の戦闘集団「イエズス会士」が担当した。イエズス会士は、神デウスの教えを広めるためなら、地の果てまで行く、命知らずの宣教師だった。ところが、彼らは、布教だけでなく、現地の情報収集にも精を出したのである。(アジアの記録はインドのゴアで保存された)

たとえば、日本に来たイエズス会士ルイスフロイスが記した「日本史」は、信長公記とならんで、織田信長の時代の貴重な資料となっている。

というわけで、マカオに巨大地震があれば、記録にあるはずで、それがないのだから、マカオは500年間地震がないことになる。

しかし・・・

この事実は、重大なリスクを示唆している。マカオには地震の免疫がない・・・

たとえば、マカオ市内のポルトガル建築は、鉄骨がない。さらに、民家やアパートは、見るからに崩れ落ちそうだ。

そして、ラスベガス資本のカジノが集中するコタイ地区も、ほとんどが埋め立て地。大地震がおこれば、大地はグラグラ、建物はガラガラ。さらに、標高0mなので、津波が来れば一呑み。

ガイドのNさんにその話をすると、「そのとおり!だから、考えないことにしてるんです。これがマカオ式ですよ、ハハハ」

しかし、どんな場所でもいつかは地震は来る。その時は・・・考えたくないな。いまのうちにマカオを堪能しておこう。

マカオタワーに向かう途中、「NewYaohan」の看板を発見。あのヤオハン?Nさんに聞くと、

「ええ、あれは日本のヤオハンです。ヤオハンが破綻した後、経営者が変わって、今も営業しています。じつはマカオでは、ヤオハンの袋を持ち歩くのが、ステータスなんですよ」

さらに・・・

「100円均一のダイソーも、マカオに進出してるんですが、その紙袋もステータスなんですよ。日本のブランドは、マカオではまだまだ健在です」

「ヒャッキン」がブランド?所変われば品変わる?実際、ヤオハンもヒャッキンもマカオでは大変な人気らしい。

間もなく、マカオタワーに到着。高速エレベータで、60階の回転レストランまで一気に上がる。エレベーターの中で、Nさんが悪戯っぽい笑顔を浮かべて・・・

「先日、コワイことがありましてね。言っていいのかなぁ・・・故障で、エレベータがとまったんです。中にいた人が6時間も閉じこめられたらしいですよ。(言ってますって!)」

高所恐怖症&閉所恐怖症の人間を前に、なんてことを・・・急に不安になったので、

「マカオのエレベータが故障?真っ逆さま、ってことないですよね」

「大丈夫。このエレベータは三菱です。マカオの産業は、カジノをのぞけば、爆竹と線香ぐらいなんで、ハハハ」

60階の回転レストランは、窓側がレストランになっていて、フロア全体が1時間で1回転する。なので、1時間座っていれば、マカオが360度見渡せる。

料理はバイキングで、なかなか美味しい。昨日、ポルトガル料理店で感激したポルトガルビールを飲んだが、イマイチ。銘柄は同じ「Sagres」なのに↓

Macao2012_Sagres

やっぱり、缶ビールはダメだ。しかも、HK$80(800円)。高いやろ!

マカオタワーといえば、やはり、バンジージャンプ。回転レストランのある60階から、飛び降りることができる。日本の芸能人もたくさん飛んでいて、1階には、NHK大河ドラマ「平清盛」の松山ケンイチの写真もあった。

3万円払って命を賭ける気が知れないが、事故は一度も起こっていないという。(心臓発作は除く)

ということで、午後1時30分、観光終了。その後、ホテルに戻って、お土産を買う。

午後8時からは、今回一番楽しみにしていた「ハウス・オブ・ダンシング・ウォーター」。世界最大の水のショーで、シルク・ド・ソレイユ「ZAIA」をしのぐという。これは期待できるぞ・・・

by R.B

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