メタボの原因と対策(3)~生活習慣病の予防~
■生活習慣病
「ストレス」と「生活習慣病」と「メタボリックシンドローム」の行き着くところは・・・心筋梗塞か脳梗塞か。
結果は深刻だが、原因はありふれている。
ストレスの原因は「心の持ちよう」、生活習慣病とメタボリックシンドロームは「不摂生」・・・ともに日常生活に起因する。
「不摂生」といっても、ドラッグのような過激なものではない。食べ過ぎ、飲み過ぎ、喫煙、運動不足・・・みんなやっていること。
では、生活習慣病とメタボリックシンドロームは、何が違うのか?
メタボリックシンドローム(メタボ)は、胴囲、血糖値、血圧、中性脂肪だけで判定する。具体的には、胴囲が異常値で、血糖値、血圧、中性脂肪のいずれか2つ以上が異常値なら「メタボ」。一方、生活習慣病は「不摂生」からくる病気をすべてをさす。つまり、メタボは生活習慣病の一つなのだ。
今、メタボは社会問題になっている。
厚生労働省の資料によると、60歳代の男性の場合、
1.20%が糖尿病(血糖値が高い)
2.60%が高血圧(血圧が高い)
3.25%が脂質異常(中性脂肪が多い)
けっこう多いなぁ、なんて達観している場合ではない。こっちもメタボを宣告されたのだから。
メタボにしろ、生活習慣病にしろ、原因は日常的だが、結果は命にかかわる。
もし、心筋梗塞、脳梗塞で倒れたら、そのまま逝った方がいいかもしれない。死をまぬがれても、身体のしびれや麻痺、言語障害などの障害が残ることが多いから。
最悪は寝たきり。
誰かが言った。自分で自分を殺せなくなる前に、死にたい。つまり、自殺。
ところが、キリスト教では自殺は「罪」だという。でも、あと1つ罪が増えたところで、何が変わる?
それに、ノーベル賞作家のアルベール・カミユはこう言っている。
「真に重大な哲学上の問題はひとつしかない。自殺である。人生が生きるに値するか否か、これが哲学の根本問題に答えることなのである」
おっと、話はそこではない。
心筋梗塞や脳梗塞はどうしておこるのか?
「血流の悪化」。
人間の細胞は栄養と酸素が欠かせない。それを運ぶのが血液だ。動脈を通って、身体中の細胞に供給している。そのため、動脈がつまったり破れたりすると、その先に栄養と酸素がいかなくなる。結果、その部位が壊死(えし)する。
そこが心臓なら「心筋梗塞」、脳なら「脳梗塞」。わかりやすい話だ。
また、脳の血管が破れるのが脳出血で、目詰まりをおこすのが脳梗塞で、あわせて脳卒中とよんでいる。
つまり、「血流」は命にかかわるのである。
そして、血流を悪化させるのが、高血圧、糖尿病、脂質異常症(中性脂肪)。辛いもの、甘いもの、脂肪たっぷりの肉、暴飲暴食、喫煙が引き起こす。遺伝的要因をのぞけば、生活習慣に起因するので、生活習慣病とよんでいる。
■メタボ対策
今年の2月にメタボを宣告された。それを機に、全国健康保険協会のアドバイスを受けている。
まず、医師が来社し、再診とヒアリングを行い、生活習慣の改善策を決める。その後、毎月、医師が電話をかけてきて、進捗状況を確認する。アフターフォロー付きだ。
今回、ひっかかったのは、腹囲と血圧と空腹時血糖。腹囲は3mmオーバーなので、体重を少し落とせばいい。問題は血圧と血糖値だ。
担当の女医は、状況を分析し、5つの改善策を提案した。
1.1日3食(これまではファスティング)
2.甘いものはやめる(毎朝モナカ4個食べていた)
3.玄米とライ麦パン
4.塩分を控える
5.食べすぎない
あと、補足事項として、
野菜から先に食べる。食物繊維は糖分の吸収を遅らせ、血糖値の上昇をおさえるから。
そして、一番の問題は「食べすぎない」。つまり、空腹をどうやって我慢するか?
女医が提案した方法は、カンタンだが効果は絶大だった。
空腹が我慢できなくなったら「カロリーゼロの炭酸水」を飲む!
カロリーがゼロなので、血糖値は上がらないし、体重も増えない。しかも、炭酸なので満腹感が得られる。炭酸が苦手の人は、野菜ジュースでもいいという。ただし、フルーツが含まれるものは糖分が多いので、野菜オンリーがおすすめ。
「カロリーゼロの炭酸水」はたくさん商品化されているが、成分はほぼ同じ。
・エネルギー:0kcal
・タンパク質:0g
・脂質:0g
・糖質:微量
・食物繊維:数g
ただし、「食塩相当量」に違いがある。
・「そのまま飲める炭酸水プラス」(セブンイレブン):0g
・「ZERO kcal Cider」(セブンイレブン):0.1g
・「MITSUYA CIDER WW」(三ツ矢):0.08~0.3g
たかが、塩分0gか0.1g・・・されど、この差は大きい。味がゼンゼン違うのだ。0gは不味いが、0.1gは美味しい(ふつうの炭酸飲料とかわらない)。
というわけで、「ZERO kcal Cider」か「CIDER WW(ダブル)」を飲んでいる。
さらに、女医は、毎日、血圧と体重を測ることをすすめた。
ただし、血圧の測定には注意が必要だ。
・まず、深呼吸して、落ち着いて、5分後に測定する。
・脈が60~80で測定する。それを超えると、正しい血圧が測れないから。
あれから2ヶ月、経過した。
結果は・・・
・血圧:95/149→90~95/130~140
・体重:64kg→61.5kg
それを電話で確認した女医は、
「素晴らしい!今の調子で頑張ってください!」
と激励してくれた。彼女のクリンとした大きな目を思い出し、一瞬気分が和らいだ。女医に感謝、感謝。
■婆娑羅(バサラ)と養生
節制すれば、病になることもなく、健康で長生きできる(たぶん)。
でも・・・
わかっちゃいるけど、不摂生は辞められない。美味いもの、旨い酒、腹いっぱい食って飲んで、あー楽しい。酒を飲んだあとのシメのラーメンは最高だ。これを我慢してまで長生きしたいとは思わない・・・その気持ち痛いほどわかります。
でも、ツケは必ず回ってくる。
昔、父が仲良くしていた友人がいた。
豪快な人で、大酒飲みで、ヘビースモーカーで、大食い。父がそれをたしなめると、こう言い返したという。
「おれは、好きなものを我慢してまで長生きしたいと思わない。死ぬのはゼンゼン怖くない。どうせ、いつか死ぬんだから。だから、食って、飲んで、吸って、楽しく生きるよ」
カッコイイ。戦国時代の「婆娑羅(バサラ)」ではないか。
婆娑羅(バサラ)・・・自由奔放に生き、派手好みで、常軌を逸した生き様をいう。その代表格が、戦国大名の松永久秀(松永弾正)だろう。
第六天魔王・織田信長を何度も裏切り、その度に許されたが、1577年11月、最後の時がくる。織田信長の嫡男、信忠の大軍が、松永久秀の信貴山城を包囲したのである。絶体絶命・・・ところが、その時、くだんの久秀はお灸をすえていた。
こんなときにお灸?
一体何を考えているのです!?
・・・と、家臣がとがめたどうか知る由もないが、久秀はこう諭したという。
「養生(ようじょう)というものは、死ぬまぎわまで怠ってはならぬ」
お灸が終わると、松永久秀は城に火を放ち、切腹。その後、命を受けていた家臣は久秀を爆薬で吹き飛ばしたという。
ところが、「死のまぎわのお灸」に、もう一つの説がある。腹を切る時、ウンコをたれるのを恐れたというのだ。
カッコ悪いから?
どうせ、爆死で跡形もなくなるのだから、ウンコはドーデモいい気がするが、そこは婆娑羅、あっぱれである。
話を父の友人にもどそう。
その後、彼は不摂生がたたってガンになった。父が見舞いに行くと、泣きながら、すがるように言ったという。
「死にたくない、死にたくない、死にたくない・・・」
その後、彼は死んだ。
彼は婆娑羅ではなかったのである。
父は今も養生を怠らない。それが功を奏してか、90近いのにピンピンしている。そんな父の教訓は、
「節制は努力するものではなく、楽しむもの」
習慣にすれば、我慢しなくても健康を維持できる。習慣は第二の天性というわけだ。
人間は必ず死ぬ。
だからといって、不摂生していいわけではない。
「逃れられない死」と「養生」は別モノなのである。
by R.B