株式投資入門(2)~黄金則~
■なぜ株なのか?
株で儲けるには、政治・経済・歴史・相場で知識武装し、黄金則を実行するしかない。
それで、だめなら?
運がなかったと、あきらめる。
でも・・・
そこまでリスクを冒して、株式投資をやる必要あるの?
ある!というより、やらないと確実に損をする。
これまでは、銀行預金が一番だった。バブルが崩壊して25年、ずっとデフレの時代が続いたから(デフレではおカネがモノを言う)。ところが、アベノミクスで円安・インフレが進行した今、おカネよりモノの価値の方が高くなっている。
事実、2015年4月以降、輸入物価の高騰から始まり、怒濤のような値上げラッシュが続いている・・・味の素が7年ぶりに値上げ、ロッテがチョコレート8品を10%値上げ、ケンタッキーフライドチキンが値上げ、永谷園が5~10%値上げ、明治が牛乳など6%値上げ、等々。
ちなみに、良い子のディズニーランドとUSJは、すでに値上げ済み。
ここで、値上げ率「2~20%」に注目。銀行利息「0.025%」の100倍~1000倍ではないか!
つまり、銀行預金を、たくさんすればするほど、長く続けるほど目減りする。そんなくらいなら、モノを買った方がいい?とはいえ、チョコレートで貯金するわけにもいかないし。
そして・・・
銀行預金を減額させる要因が他にもある。
2011年から始まった円安だ。円が、2011年10月「1ドル=75円台」から、2015年5月「1ドル=122円」まで下落したのだ。
それが?
4年間で、アメリカ商品は1.6倍に値上がりし、円資産は37.5%減額したことになる。前者は、海外旅行に行けば実感できるが、後者はアメリカ人に不動産を売らない限り実感できない。
つまり・・・インフレ・円安の世界では、銀行預金は100%損する。
銀行預金は、元本保証をうたっているから、よけいタチが悪い。確かに、100万円預ければ、預金通帳に「100万円」と刻印され、それが変わることはない。しかし、その「100万円」で買えるモノやサービスが、知らぬまに、62万5000万円分になっていたとしたら(1ドル75円→1ドル122円で37.5%減額)。
円安・インフレでは、それが普通に起こることを忘れてはならない。
2015年、バーゼル銀行監督委員会で、国債をリスク資産とみなす議論が始まったが、何をいまさら。国債は国が保証する最も安全な金融商品といわれるが、保証するのは「数値(元本と金利)」であって「価値」ではない。というか、価値は毎日変わる。もちろん、国債がリスク資産なら、銀行預金、現金も同じ。
というわけで、円安・インフレでは、円ベースの国債・預金・現金は100%損する。
一方、株は損することもあるが、得することもある。だから、損する確率は50%。
どっちがマシ?
そして、富裕層はすでに動いている。
口座のある證券会社の担当者の話では・・・
金沢支店でも、ゆとりのある顧客は、銀行預金から投資信託へ移している。さらに、一部の顧客は米国の投資信託を爆買いしているという。しかも、半数以上が、勇敢にも「為替ヘッジなし」。この場合、為替の変動をもろにうけるので、円安なら大儲けだが、円高なら大損。つまり、今後は円安と決め打ちしているわけだ(たぶん正しい)。
これでは、資産を持っている人はよりリッチに、持っていない人はよりプアに。「21世紀の資本」で有名になった経済学者トマ・ピケティの
「r(資本収益率)>g(経済成長率)」→「資産が生む利益>労働が生む利益」
そのままではないか?
ピケティの説に、へそ曲がりなケチをつける専門家もいるが、基本はあっていると思う。
事実、知人に、米国の投資信託に1億円あずけ、ここ数年、年利回り20%~30%をあげている人がいる。毎年、2000万円~3000万円増えているわけだが、これを労働で稼げる人はどれだけいるだろう。
■株式投資の黄金則
話を、「株で儲ける」方法にもどそう。
まずは、株式投資で勝利するための「黄金則」から。
1.株価は「経済理論」ではなく「人間の思い」で決まる。
経済が破綻しても、ワッショイ、ワッショイ、みんなが上がると思えば株は上がる。ギリシャのように。ただし、最後は「経済理論」に合わされる。
2.「優良株」ではなく、「割安株」を買う
現物取引なら、まず、どの銘柄を買うかだが・・・たいていは、業績の良い企業、つまり、優良株を買う。だが、それは間違い。「優良」と認識された株はすでに上がっているから。あとは下がるだけの株を買ってどうするのだ?
株式投資のたった一つの勝利条件「売値>買値」を忘れてはならない。
3.余剰資金でやる
生活資金や借金で株式投資すると、生活に困ったり、借金の返済を迫られると、損切りするはめになる。だから、中長期的な投資はできない。これは、個人投資家にとっては致命的だ。短期投資の世界は、コンピュータによる超高速取引(HFT)の独壇場だから。
ここで言う「コンピュータ取引」は、人間が出した注文をコンピュータが処理するという意味ではない。どの銘柄を、いくらで、何株注文するかを、コンピュータが決定するのだ。コンピュータというよりは、人工知能(AI)に近い。
事実、このコンピュータは、ニューラルネットワークという最新の学習機能を備え、相場にからむ知識とデータを自動学習し、売買を決定する。具体的には、先物と現物の価格差を突いたり、銘柄の相関関係のわずかな乱れを突いて、瞬時に大量売買を行う。その間、わずか1/1000秒(さらに短縮しつつある)。
人間が勝てるわけがない。
というわけで、人間に残されたフィールドは、中長期投資のみ。だから、絶対に、生活資金や借金でやってはいけない。地道に余剰資金でやるべし。
4.レバレッジをかけない(信用取引はやらない、現物取引に徹する)
現物取引は、自己資金の範囲で売買する。手持ち資金が100万円なら、買える株も100万円まで。一方、信用取引は、自己資金の何倍もの取引ができる。儲けが何倍なら、損も何倍。当然、自己資金を超えて損することもある。そのときは、追銭を払う必要がある。しかも、半年ごとに清算するので、ここは我慢、なんて悠長なことは言ってられない。短期間で儲けないと、自己破産・・・
つまり、信用取引とは株を借金でやることなのである。コワイコワイ。
5.株を買った瞬間から、「売り」に集中する。
「安定株・優良株」だからとホールド(持ち続ける)しない。東日本大震災で「2000円→120円」と大暴落した東京電力の株を思い出そう。株は売ってナンボ、つまり、現金化して初めて勝敗が確定するのだ。
以上が株式投資の黄金則である。
■株式投資の知識武装
つぎに、知識武装について。
政治・経済・歴史・相場を学ぶわけだが、やみくもに勉強しても、効果は薄い。学ぶ範囲があまりにも広いから。そこで、まず、株式相場を左右する要因を抽出し、それを軸に勉強する。
株式相場を左右する要因は、直接要因と間接要因がある。
直接要因とは、株式相場との因果関係が単純で明確なもの。たとえば、為替レート、原油価格、金価格、国債、物価、マネーサプライなど。
一方、間接要因とは、株式相場とは一見無縁だが、回り回って影響を与えるもの。
たとえば、戦争。
日本と中国で戦争が起こったら・・・
核戦争なら日本壊滅なので、株もへったくれもない。ただ、核戦争を生き延びる自信があるなら、資産を海外に移しておく方がいいだろう。
海外のどこ?
まずは、ドルの総本山アメリカ合衆国。ただし、中国が日本に核兵器を撃ち込んだら、アメリカも戦争に巻き込まれる可能性があるので、オーストラリアの方がいいかもしれない。でも、アメリカが中国との核戦争に敗北すれば、オーストラリアも中国に征服されるから、悩ましい・・・
じゃあ、いっそのこと、中国にしたら?
そこまでして生きたいとは思わないですね!
そうかも・・・
一方、核なしの局地戦、たとえば、日中尖閣戦争なら、株は買い。開戦当初は株価は暴落するが、戦争が終われば必ず上がる。これは、歴史が証明している。
また、スポーツも株価に影響を与えることがある。
「1964年東京オリンピック」の開催が決まると、1962年から1964年まで好景気が続いた。太平洋戦争が終わってまだ20年で、インフラが不十分だったから。たとえば、国立競技場などの競技施設、選手村、さらに、東海道新幹線や首都高速道路などの交通網。これらの建設で、土木建設業界がうるおったのである。さらに、オリンピックを観るため、テレビも飛ぶように売れた。日本中が、オリンピック景気に沸いたわけだ。
そして、2015年現在・・・
「2020年東京オリンピック」にむけて、土木建設業界の好況が続いている。
新幹線も、首都高速も、競技施設も選手施設も揃っているのに?
今さら、何を造るの?
そもそも、今、本当に、オリンピック景気?
イエス!
2015年3月、北陸新幹線「東京-金沢」が開通した。じつは、その前から、金沢駅前の分譲マンションの販売が好調だった(今も)。物件によっては、抽選もあるという。大手ゼネコンの知人の話では、分譲マンションは売れるのは分かっているけど、建てられないという。下請けの建設業者が東京と大阪にとられて、確保できないから。ムリに頼むと、割り増し料金をとられるので、悩ましい・・・とのこと。
ところで、東京オリンピックで、なぜ大阪が建設ラッシュなのだ?
景気は「気」からというから、オリンピックで日本人の気分が好転したのだろう。いずれにせよ、景気が上向けば、企業の業績が上向くので、株式相場にはプラス。
というわけで、間接要因は人間の「気」なのかもしれない。
by R.B