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スモールトーク雑記

■東日本大震災・2011年3月31日 2011.03.31

【3月30(水)】原子力安全委員会は、原子炉の冷却作業は「年単位」の時間がかかる、と発表した。

事故発生から18日後、やっと本音が出たわけだ。

「何ごとも正直に」は良いことだが、大事なことを忘れている。今後、何年にもわたり、放射能汚染の恐怖におびえながら暮らせと?現場の作業員に命懸けの作業をつづけろと?

取り返しのつかない事態だが、現実を受け入れるしかないだろう。つまり、これから数年、日本は「放射能汚染列島」になる。論より証拠、原発から220km離れた首都圏でさえ、中国人をほとんど見かけなくなった。

「原発は絶対安全」、と吹いていた連中は、どう責任を取るつもりだろう?疑う余地のない虚言だし、結果、国が傾くほどの放射能汚染。

事の重大さを考えれば、辞職や退職金返納ではすまない。厳罰に処すべきだろう。放っておくと、また社会に害を与えるので。とりあえず、作業を覚えさせ、原発に行ってもらうしかない。

それはさておき、放射線をすぐに止める方法はないのだろうか?ない。放射線を止めるには、燃料棒を冷却する必要があり、それには、本来の冷却ポンプを使うしかない。では、さっさと冷却システムを修理すれば?ところが簡単にはいかないのだ。

原発内部のたまり水が、高濃度の放射性物質で汚染され、作業ができないのだ。仮にできたとしても、作業時間が限られ、作業効率が著しく低下する。しかも、汚水を排出するメドも立っていない。

それに、修復に何年もかかるとして、それまで作業員がもつかどうか?すでに、東京電力では、内定を辞退した学生もいるという。今後は、家族に勧められ、東電を退職する作業員もでてくるだろう。東電は人もうらやむ超高給だが、命にはかえられない。今後は、作業員の補充体制が大きな課題になる。

現状を整理しよう。

原子力安全委員会の言い分は以下のとおり・・・福島第1原発が安定冷却に到るまでには、何年もかかる。さらに、廃炉処理が完了するまでに数十年・・・僕はもう死んでいる。だが恐いのは、それまでに、格納容器が水蒸気爆発を起こし、大量の放射性物質を吹き上げることだ。

であれば、格納容器内の水蒸気を外に出し、内部の圧力を下げればいい。もちろん、放射性物質もいっしょに外に出るが、爆発で吹き上げるよりはマシ。

だから、最悪の事態にはならない?そうは思えない。

大気汚染は風と共に去りぬだが、土壌汚染はどうする?こっちは蓄積する一方だ。

ロシアのアレクセイ・ヤブロコフ博士は、長年、チェルノブイリ原発事故について調べてきた。彼によれば、セシウムやプルトニウムは、土壌に入り込み、食物がそれを吸収し、大気に再び放出する。だから、なかなか減らないのだという。

さらに、ヤブロコフ博士は、「日本政府は放射能被害を過小評価している」と警告している。そもそも、「健康に直ちに影響はない」という言い方はおかしい、と。同感だ。

「健康に直ちに影響はない」=「そのうち影響が出る」でしょ。これで安心しろと?、国民はバカではない。

夜、帰宅してTVを入れると、東京電力会長の記者会見をやっていた。しっかりした口調、揺るぎない自信・・・ところで、あの自信はどこから来るのだ?悲惨な現状を理解していない。作業を覚えて、原発に行けば、理解できると思うのだが。

【3月31(木)】テスラモーターズが、史上初の電気自動車の量産化に成功し、電気が「動力」の主役になろうとした矢先、福島第1原発事故が起きた。

ひょっとすると、オール電化住宅や電気自動車が後退し、化石燃料が盛りかえすかもしれない。つまり、これからのエネルギーは、化石燃料を含めたハイブリッド?

一方で、「原発廃止」の声も高まるだろう。では、不足分の電力は?太陽光発電!こう言うと、政府や御用学者はしたり顔でこう切り返す。「何もわかっちゃいない。事はもっと複雑なのだ。電力を安定供給するには原発は欠かせない」

日本人は、「理想」より「現実」を好む。国中を巻きこんだ議論の末、「やっぱり、現実的には原発しかない」に落ち着く可能性が高い。こんな大惨事を目の当たりにしてもだ。

実際、昨日、九州電力と北陸電力が、「原発の廃止」はないと明言し、事業計画に原発を盛り込んだ。つまり、こんな大惨事をやらかしたのは東京電力で、我々ではない、と。

こんな連中を悔い改めさせるには、東京電力の役員を原発の復旧作業に送り込むしかない。そうすれば、他の電力会社の役員もおびえて、原発廃止に取り組むだろう。もちろん、今の政府には、それを断行する知恵も覚悟もない。

僕は、原発ゼロでも社会は成り立つと思っている。2004年、日本の発電に占める原子力は29%。最悪、30%節電すればすむ。もちろん、クリーンエネルギーは推進すべきだ。「太陽光発電」では電力を安定供給できない?だから?そんなことは中学生でも知っている。改良するか、代わりを見つければいい。

かつて、米国で「マスキー法」という法律が可決された。自動車の排気ガスを規制する法律だが、あまりの厳しさに、フォード社のアイアコッカ社長はこう言い放った。「技術的に不可能だ!」すると、起案者のマスキー上院議員は、「技術的に不可能?ヘンリー・フォード(フォード社の創業者)ならそんなことは言わなかっただろう」絶句したアイアコッカの顔が忘れられない。

ところが、その「マスキー法」をクリアした会社が1社だけあった。本田宗一郎率いる「ホンダ」である(CVCCエンジン)。世界は驚嘆した。忘れてはならない。不可能を可能にしてきたのが、日本の技術なのだ。

一方、太陽光発電にかけるより、「安全な原発」を目指したほうがいい、と主張する人たちもいる。一見正論にみえるが、完全に間違っている。

原発に限っては「絶対安全」が不可欠、という事実を忘れている。福島原発を引き合いにだすまでもなく、事故が起これば、取り返しがつかないからだ。太陽光発電や風力発電の事故とは、次元が違う。

そして、当然のことだが、この世界に「絶対安全」はありえない。たとえば、原発に隕石が衝突したら?そんなことありえない、とは言わせない。

1908年6月30日、直径100mの隕石がシベリアのツングース上空で爆発した。その時のエネルギーはTNT火薬20メガトン、広島に落ちた原爆1333発分である。それでも耐える原発が作れると?

滅多に起こらないから大丈夫?このクラスの隕石が地球に衝突する確率は、数百年に1度。さて、それでもありえない?

原発を擁護する人間の本性は、「人の命を犠牲にしてでも、自分の利益を守る」ところが、そういう連中に限って、政府や電力会社の中枢に紛れ込んでいる。つまり、社会にとって最も危険な人物が、決定権を握っているのだ。

さて、非難するだけで終わるわけにはいかない。具体的な提案がある。集中発電ではなく、分散発電。家庭で使う電力は、各自、太陽光発電と充電装置でまかなう。この技術は、大和ハウスがすでに開発している。家庭の電力消費の占める比率は20%弱なので、これで大幅に節電できる。

この分散発電なら、もし故障しても、停電は一部ですむ。これまでの集中発電のように、首都圏全域に影響を及ぼすことはない。これが、分散発電のメリットだ。

それでも、1分たりとも停電は困る、やっぱり、安定した原発じゃないと・・・と言い張る人は、福島原発の惨状を思いおこすべきだ。つまり、「便利」と「放射能汚染=壊滅的損害」は”バーター”なのだ。

停電がつづく被災地で、家族を失った男性が、かみしめるように言った。「電気なんか、なくていい。家族さえいてくれたら・・・」

by R.B

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