■東日本大震災・2011年3月17日 2011.03.17
【3月16日(水)】東日本大震災発生から6日経過した。福島原発の現状は以下のとおり。
原子力発電所
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概況
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原子炉
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格納容器
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福島第1原発 | 1号機 | 水素爆発で原子炉建屋が破損。 | メルトダウン | 維持 |
2号機 | 同上 | メルトダウン? | 破損 | |
3号機 | 白煙を確認。放射線量が急上昇。 | メルトダウン? | 破損? | |
4号機 | 火災発生。放射線量が高。 | メルトダウン? | 維持 | |
5号機 | 冷却用プールの水温が上昇。 | 停止 | 維持 | |
6号機 | 冷却用プールの水温が上昇。 | 停止 | 維持 | |
福島第2原発 | 1~4号機 |
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冷温停止(安定) | 維持 |
※メルトダウン(炉心溶融)
原子炉が制御不能におちいり、高熱で炉内の燃料や制御棒が融解すること。結果、炉が破損し、大量の放射性物質が外に漏出する可能性がある。原発事故としては最悪の事態。
状況はさらに悪化している。
枝野官房長官は、14日夜の記者会見で、「最悪でもチェルノブイリにはならない」と公言したが、誰も信じてはいない。枝野長官に責任はないが、政府の予測はあたらないから。東京電力が事実を隠し、報告を怠けているからだ。これには、管首相も声を荒げたらしい。
事態が収束にむかえば、東京電力は厳しく糾弾されるだろう。東京電力の経営陣には、4つの”結果”責任がある。
1.歴史上最悪の放射能汚染を引き起こしたこと。
2.事態の収拾にもたつき、被害を拡大させたこと。
3.国民の財産と安全を大きく損ねたこと。
4.東京電力の作業員が命の危険にさらされていること。
もしこれが欧米なら、責任は罪におきかえられる。経営陣が総辞職して、退職金を返納するぐらいでは、国民は納得しないだろう。
現在、政府は国民に呼びかけている。冷静に行動しよう、デマに惑わされるな、食料の買いだめはするな・・・もっともだ。だが、真に受けると痛い目にあう、とみんな思っている。
では、どうすればいい?自分と家族の安全を優先するなら、
1.デマを慎重にチェックし(政府の発表が真実とは限らない)、
2.迅速に食料を確保する(買いだめ)
もちろん、買いだめしなくても、政府が何とかするなら話は別だが。
しかし・・・
最低限の食料を確保したら、被災地のことを思いだそう。津波で家と家族を失い、放射汚染にさらされ、寒さと物不足に苦しむ人たちのことだ。
被災地の様子をTVで観た。「はやくおうちに帰ろうよ」と訴える幼児、それをなだめる母親。この母子の家は津波に流されてもうないのだ。幼児の額に貼られた痛々しい冷却シート。きっと熱があるのだろう。医薬品もほとんどないという。苦しそうな幼児の顔、悲しそうな母親の顔、とても正視できない。
こんな被災者を想えば、安全確保は最低限にとどめるべきだ。すべての物資は優先的に被災地へ、そのために何ができるのか、国民一人一人が考え、行動するべきだと思う。
【3月17日(木)】東京に出張。開発案件のトラブル処理と、東京の取引先で長期研修しているM君の顔を見るため。
M君は、大学を卒業するまで、ずっと金沢で暮らしてきた。去年結婚し、今年1月に子供も授かった。妻子を金沢に残しているが、本人も奥さんも不安だろう。東京は直接的な被災地ではないが、まだ安心できない。
東北、長野、静岡と、これだけ大地震が続けば、プレートは不安定になっているはずだ。近いうちに、関東大震災が起こるかもしれない。
それに、放射能汚染も心配だ。現在、避難勧告が出ているのは半径20km以内。ところが、米国政府は同地のアメリカ人に対して、80km圏外に避難するよう勧告した。なぜ、4倍も違うのか?大らかなアメリカ人がそう言うなら、本当の安全圏はその2倍?つまり、160km・・・首都圏はすぐそこだ。
というわけで、M君のことが気になった。彼とは毎日メールをやりとりし、防災の指示、東京から避難するタイミングも伝えてあるが、まだ伝えることがあるかもしれない。そこで、物資をリュックに詰め込み、東京に向かった。
幸い、JRに遅れはなかったが、特急も新幹線も、車内販売をしている。大して売れないのに、貴重な物資をムダに運んでいる。これを被災地に届ける方法はないものだろうか?政府が日本中のヘリコプターを貸し切り、自衛隊の飛行管理のもと、被災地に物資をバケツリレーする。できそうな気もするのだが。
午後1時10分、東京駅に到着。取引先のある秋葉原までJRで行く。照明が節約され、エスカレータが止まっている以外、特に変わったところはない。自販機もOK、店も開いている。ゼンゼン問題ナシ。わざわざ、リュックで物資を運ぶ必要もなかった。取引先に入り、M君と面談。その話をすると、笑われた。
M君によると、スーパーやンビニは、携帯食や、2リットルのペットボトルは無いが、棚の半分くらいは商品があるとのこと。M君の元気そうな顔をみて安心した。さて次は、カネがらみのトラブル処理だ。
取引先のK課長が僕の顔をみるや、
「ご苦労様です。○○案件、メーカーに確認がとれました。開発続行です」
あ~、よかった。でも、2度目のドタキャンがあるかも。
仕事の話が5分で終わったので、K課長に電車の状況を聞いてみた。ちなみに、K課長の自宅はさいたま。3日前のこと、K課長は仕事を終え、秋葉原駅に向かった。電車が動いていなかったら、会社に泊まるつもりだったが、幸い、電車は動いていた。ラッキ~と、電車に乗ったまでは良かったが、乗り継ぎ先で、電車が運休。仕方がないので、家まで歩いたという。帰宅に要した時間は5時間。どうせなら、全部運休にしてくれ、とぼやいていた。
午後4時半頃、突如、ビルの管理会社から構内放送が入った。僕とK課長は顔を見合わせ、ギクリ。
「テナントの皆様、東京電力から連絡があり、大規模停電が予想されますので、空調、照明などの節電、残業の自粛をお願いいたします」
K課長が窓の外を見て、
「人がちゃんと歩いてるから、放射能じゃないみたいですね。てっきり、放射能汚染かと思いましたよ」
1ヶ月前なら想像もつかない会話だ。
午後10時、金沢に到着。家に帰り、ニュースをみると、状況は昨日と変わらない。福島原発の緊張は続いているようだ。
by R.B