■ゴッドオブウォー3・PS3 2010.04.25
12年間使ったテレビが壊れ、修理不能と宣言された。ブラウン管は、もうどこにも作っていないのだという。これ以上ない理由で説得され、結局、地デジを買うはめになった。
ついでに、ブルーレイが欲しくなり、店に行ったが、10万円!買うのをやめた。再生だけなら、プレイステーション3がベストチョイスと聞いて、結局、プレステ3に落ち着いた。
ところが、ブルーレイ対応の映画が少ない。仕方がないので、ゲームソフトを買うことにした。おカネがないので、吟味に吟味を重ね、1本だけ購入。それが、「ゴッドオブウォー3(GodOfWarIII)」だった。
ゴッドオブウォー3は、今どき珍しいプレステ3専用ソフト。それもそのはず、開発元は、ソニー(SCE)のサンタモニカ・スタジオ。聞いたことはないが、サンタモニカにあるのだろう。数あるゲームタイトルの中から、ゴッドオブウォー3を選んだのは、Amazonの評価が高かったから。ところで、なんでAmazon?
任天堂の開発者が、やたら、Amazonの評価を気にしていたから。あんな高ビーな人(失礼)が、一目置くなら間違いないだろう、というワケ。
家に帰り、さっそく、プレステ3の電源を入れる。ファームウェアをアップデートし、ゴッドオブウォー3をセットして、ゲーム開始。
おぉぉ~、オープニングが凄い!
これまで、洒落たオープニングといえば、映画「007シリーズ」と思い込んでいたが、それに優るとも劣らない。オープニングでこれなら、ゲームはさぞかし・・・と、期待に胸を膨らませ、「新しいゲーム」を選択。
ゲームの難易度は3つ。
1.簡単
2.普通
3.難しい
何ともベタな設定だ。
何の迷いもなく、「難しい」を選択。何を隠そう、僕は、かつてゲーマーだったのだ。
15年前、セガサターンのバーチャファイターにはまったことがある。だけど、それ以来、テレビゲームはやったことがない。とはいえ、パソコンでは、3Dアクションゲーム「Doom」、「Quake」を全クリしている。まだまだ、若いモンには負けん。意気揚々、ゲームを開始した。
ところが、瞬殺・・・
何度やっても、瞬殺・・・
気合いを入れても、瞬殺・・・
歳のせいかな?
あらためて、プレステ3のコントローラを凝視すると、
1.十字カーソル
2.左右のスティック
3.○、□、△、×ボタン
4.R1、L1、R2、L2ボタン
なんと、14個もある!
これじゃ、とても覚えきれん。どうせ、使うのは一部だろうと思っていたが、ゴッドオブウォー3では、すべて使う(後で判明)。
ゲームは激ムズだが、グラフィックはリアルだし、センスもいい。しかも、画面全体がアニメーションするので、臨場感は超弩級だ。そして、コアなゲームで重要なのが世界観。意識を乗っ取るほどではないが、深い没入感がある。
ということで、「最後まで見る」に集中することにした。プライドを捨て、難易度を「簡単」に落とし、再度、挑戦。ところが、おっさんゲーマーには、それでも骨身にこたえた。
アドレナリン大量放出で、セッセと指の運動。なんでこんなことをやってるんだ?
と、しごくまともな疑問もわくが、1秒ももたず、そんな疑問は霧散する。
ところで・・・
ゴッドオブウォー3のモチーフはギリシャ神話。そして、主人公の名は「クレイトス」。クレイトスと言えば、アレクサンドロス大王の家臣だったはずだが・・・ギリシャ神話と関係があるのか?
実在のクレイトスは、アレクサンドロス大王の竹馬の友だった。ところが、歴史に名高い東方大遠征のさなか、アレクサンドロス大王によって殺害される。宴席で、クレイトスとアレクサンドロス大王が口論になり、逆上した大王が、クレイトスを刺したのである。クレイトスは日頃から、大王を公然と批判していたので、積もり積もった思いがあったのだ。
だが、クレイトスは、アレクサンドロス大王にとって、幼い頃からの友であり、有能な家臣であり、戦場で大王の命を救ったこともあった。そんな大切な友人を、自らの手で殺してしまった。激情から冷めた大王は、己の過ちを悔い、何日もふさぎ込んだという。
歴史上最も有名なこの英雄は、その偉業とは裏腹に、少年のようなナイーブさが、文献のあちこちに見いだされる。不思議な人物だ。
ところが、ゴッドオブウォー3の「クレイトス」は、まるで別人だ。ゲームには関係ないが、気になったのでWikipediaで調べてみた。
すると、
1.クラトス(別名クレイトス)はギリシア神話の神。
2.強さ・力の擬人化。
3.ステュクス(母)とパラース(父)の子。
4.ニーケー(勝利)、ビアー(暴力)、ゼーロス(鼓舞)を兄弟に持つ。
なるほど、ゲームのキャラまんまだ。ただし、ゴッドオブウォー3では、クレイトスの父は神ゼウスとなっている。まぁ、些末なことには目をつぶろう。
ゴッドオブウォー3のクレイトスは、見てくれが悪い。スキンヘッドで、マッチョ。しかも、顔には赤い入れ墨がある。感情移入など、とてもムリ。しかも、ストーリーは、オリンポスの神々を滅ぼし、
最後に、父神ゼウスも殺す!親殺しゲーム?
ところが、ゲームが進んでいくと、それどころではない。とことん、グロいし、たまに、エロい。さすが、CEROZ指定(18禁)だ。こんなもの、子供に見せられない。そこで、プレステ3を居間のハイビジョン・テレビからはずし、自分の部屋のハイビジョン・モニターにつないだ。
それから、毎夜、子供に悟られないよう、照明を暗くし、ヘッドフォンをつけて、ゲームに没頭した。
暗闇に浮かぶ32インチの光景は、異形だが、現実よりリアル世界。そして、体験したことのない重い重い没入感。
未来のある青年に、こんなものをやらせてはならない!
売ってもいけない!
これは社会悪なのだ!
・・・
と繰り返しながら、毎夜、人差し指が、プレステ3の電源スイッチに吸いよせられるのだった。
by R.B