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スモールトーク雑記

■苦痛のない葬法 2018.06.24

古代の「葬法」は奥が深い。

衛生面や利便性より、宗教上の教義が優先されるから。

「合理性」ではなく「見方・考え方」で決まるわけだ。だから客観性も普遍性もなく、一度もめると落としどころがない。永遠の平行線がつづくわけだ。

たとえば・・・

5世紀、メソポタミアに、クテシフォンとセレウキアという町があった。

ティグリス川をはさむ「お隣さん」だったが、相手のことを「異界」とよんでいた。

原因は葬法にあった。

セレウキアの住民は、キリスト教徒とユダヤ教徒なので「土葬」。死者は、町の共同墓地に葬られた。

一方、クテシフォンの住民は、ゾロアスター教で「鳥葬」。死者は山上の沈黙の塔におかれ、鳥についばまれた。

それで?

お互いの葬法が理解できなかったのだ。

というのも・・・

ゾロアスター教徒は、死体を土に埋めれば、神聖な大地と水がけがされる、だから、「土葬」はありえない!

一方、キリスト教徒・ユダヤ教徒は、死体を鳥についばませるのは死者に対する冒涜、だから、「鳥葬」はありえない!

お互いに「ありえない」で、歩みよれないわけだ。だから「異界」なのである。

でも、「異界」ってすごくないですか?

良し悪しを突き抜けて、異世界の異物、「差別」ではなく「区別」なのだ

というわけで、葬法もいろいろ。

歴史上、最も多いのは火葬と土葬だが、珍しい葬法もある。鳥葬もその一つだが、中には信じられないような葬法もある。

たとえば・・・

ボルネオのイバン族の「樹上葬」。乳幼児だけ、遺体を木に吊るすという。また、タイのカレン族は若者は土葬、年寄りは火葬と使いわけている。いわばハイブリッド「葬法」だ。

まさに、所変われば品変わる(ちょっと不謹慎かな)。

でも、お気づきだろうか?

視点を変えると葬法は2つしかない・・・「破壊型」と「保存型」だ。

火葬、土葬、鳥葬は「破壊型」。火を使うか、土壌の腐食作用を利用するか、鳥についばまさせるか、方法は違うが、目的は「死体の破壊」。

ただし、土葬には補足が必要だ。

一般的な土葬は、死体を棺桶に入れるので、土壌にふれない。土壌の腐植作用は期待できないわけだ。だから、正確には「埋葬」。とはいえ「破壊」にかわりはない。

一方、「保存型」もある。その代表が「ミイラ」だ。

ミイラは、歴史上、複数の文明で確認されているが、イチオシは古代エジプト文明。かける手間がハンパないという意味で。内蔵と脳を取り出し、炭酸ナトリウムで防腐処理をほどこし、布や包石膏でおおう・・・これほど徹底した「ミイラ造り」は他に見あたらない。

長々と葬法のウンチクをたれたが、肝心なことは一つしかない。

苦痛の少ない葬法は何か?(死後、意識があればの話だが)

そこで、My地球歴史館で調べてみた。すると、良い方法が見つかった。東アフリカ・ボルネオ島の葬法だ。穴を掘らず、死体の上に木の枝や葉をかぶせるだけ・・・

これなら、熱くないし(火葬)、息苦しくないし(土葬)、痛くないし(鳥葬)、いいね!

ただし、日本でやったら死体遺棄罪になるので注意が必要だ。死んだあと、注意も何もないが。

死は、老若男女、貴賤を問わず、誰にも訪れる。人間は生まれた瞬間から、死神の追跡がはじまるのだ。そして、いつかは捕まる。

人生はせちがらい。家族、職場、取引先、友人、知り合い・・・無数のモノ・コトがからみついている、蜘蛛の糸ように。

だから、人生最期の日にこう言いたいのだ。

「これで、ぐっすり眠れる(Rest in peace)」

参考文献:
・週刊朝日百科世界の歴史、朝日新聞社出版

by R.B

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