■主人は1年、部下は3年 2013.01.27
主人は1年、部下は3年・・・
主人を見極めるには1年で十分だが、部下を見極めるには3年かかる、という意味。主人より部下のほうが評価が難しいわけだ。
で、その根拠は?
主人は高い所に鎮座して、部下はそれを見上げ、鼻毛までお見通し。だから、部下の方が観察しやすい、というわけだ。
では、これを会社に当てはめると、どうなるか?
まず、主人=社長、部下=社長以外として、「社長は1年、部下は3年」は成立するか?
確信はないが・・・たぶん、イエス。
これまで勤務した会社は、
①N社(東証一部上場企業)
②V社(100人のベンチャー企業)
③H社(350人の老舗の中堅企業)
④D社(35人のミニベンチャー企業)
の4社だが・・・N社の社長は、面接試験と入社式以外見たことがないので、何とも言えないが、その他の社長は、本性が見えるまで1年もかからなかった(と思う)。
というのも、社長というのは、会社で一番偉い人なわけで、部下に気を遣う必要はない。だから、いつも地でやっている。そのぶん、本性は丸見え。
一方、部下は常に社長の目を気にしている。昇給、昇進は社長の腹一つだし、ヘタをすると、リストラされるから。
つまり、社長は地でやるが、部下は偽装する。
そのため、部下の「良し悪し」を見分けるには、偽装を見破る必要があり、そのぶん、時間がかかるというわけだ。
ゆえに、社長は1年、部下は3年・・・
大ざっぱだが、当たらずとも遠からずだろう。
ところで、「良し悪し」って何?
たとえば、「良い」部下とは?
これは至極簡単。頭が切れて、行動力があって、リーダーシップがあって、忠誠心が高い。
まさに、神スペックだが、理論上の話で、実在するかどうかはわからない。(僕は見たことはない)
だいたい、「頭脳明晰&行動力OK&リーダーシップOK」なら、いつかは独立するだろう。つまり、忠誠心は低い。
いくら有能でも、辞めたら元も子もないので、「良い部下」の条件に、忠誠心は欠かせない?
でも・・・
「辞めない=忠誠心が高い」とは限らない。会社を興すなんて夢物語だし、よその会社じゃ勤まらないし、会社辞めるのもメンドーだし、居座るしかないよねー、の人もたくさんいる。もちろん、この場合、「忠誠心」は関係ない。
だいたい、人材の宝庫「三国志」でも、「忠誠心付き」の切れ者は、諸葛亮孔明と姜維(きょうい)ぐらいだろう。
というわけで、良い社員、悪い社員の定義は難しい。
では、社長はどうか?ズバリ、「良い社長」とは?
じつは、これも難しい。
たとえば、部下に仕事を任す、高給をおしげもなく払う、自分の子供に後を継がせない。
なるほど、これなら立派な社長だ。ところが、見方を変えれば・・・
【部下に仕事を任す】実務が面倒臭いだけでしょ?「スティーブンジョブズ」見習ってよ。あんな大会社(アップル)のCEOでさえ、死の直前まで、実務(開発)やってたんだから。
【高給をおしげもなく払う】カネでしか、部下のモチベーション上げられない?芸がないなぁ。それに、おカネは麻薬と同じで、増やすほど効かなくなるのに。
じつは、これを説明する「ハーズバーグの2要因理論」なる経営理論がある。
部下の「満足」、「不満」は、別の要因だというのだ。
まず、「動機付け要因」。たとえば、仕事で何かを達成し、それが認められ、昇進すると、強い「満足感」を覚え、仕事のモチベーション(動機付け)につながる。ただし、これがなくても、「不満」を覚えるわけではない。
次に、「衛生要因」。たとえば、作業環境が劣悪(狭い、汚い、暑い、寒い)、人間関係が悪い、給与が安いと、強い「不満」を覚える。ただし、これが満たされても、「満足感」は得られない。
つまり、こういうこと。
給料が低いと、「不満」だが、高くても、「満足感」はえられない。だから、給料でモチベーションを上げるのは邪道、というわけだ。もっとも、マネーゲーム業界は「カネ」しかないだろうが。
でも、マネーゲームでなくても、高い報酬で「満足」が得られるケースが、あるような気もする。そこで、こう考えてはどうだろう。
自分は何もしていないのに、会社の売上が伸びて、給料がドーンと増えた。その時はとりあえず、「ヤッター!」
でも、1年後に、そのシーンをイメージした時、「満足感」を得られるだろうか?
逆に、自分が、驚異的な売上を記録した、あるいは、画期的な商品を開発して、会社から称賛され、昇進したとする。そのときの満足感は、50年経っても、昨日のことのように思い出せるだろう。
つまり、ただの嬉しい、ではなく、「感動付き」の嬉しい、かどうかが分かれ目になる。もちろん、モチベーションにつながるのは後者だ。
話を「良い社長」に戻そう。
【自分の子供に後を継がせない】たしかに、立派に見えるが、子供が会社に夢も希望も感じないので、継いでくれないのでは?あるいは、会社が倒産寸前で、コワくて継げないとか。(子供が継げないものは他人は継げません)
また、代々、子孫に継がせるなら、100年企業を目指すだろうが、他人に継がせるなら、自分がいる間、もってくればいい、と考えても不思議ではない。
バッサリ言うと・・・
このタイプの社長は、善良だが、会社に対する愛着がない。もっと言えば、会社や仕事に対して”熱い”ものがない。当然、”熱い”部下は、モチベーションが上がらない。
ということで、社長は見方を変えただけで、良い社長にも、悪い社長にもなる。
こういう話をすると・・・
あー、社長なんかやっとれん!何を言っても、何をしても、ケチをつけられる。世の人は我を何とも言わば言え、我なすこと、我のみぞ知る、ゆえに、我キャバクラに行かん!
よくわからんが、2代目社長に多いタイプだ。
ところが、創業社長は別格。はじめに光あれ、会社の創造主なのだから。頭は切れるし、馬力はあるし、リーダーシップはあるし・・・と言いたいところだが、そうでもない。
ただ、成功する創業者には、必須の資質があるような気がする。
まず、頭がいいこと。もちろん、学歴(読み書きソロバン)のことではない。真実を見抜き、問題解決の方法を見つける脳力である。
そして、カリスマ。
これさえあれば、感情をあらわに怒鳴り散らそうが、何度失敗しようが、人はついてくる。ただし、30人ぐらいの会社なら、切れ者が1、2人は必要だろう。でないと、日常業務がまわらないので。
ところで、カリスマとは?
人を引き寄せる磁石みたいなもの。
無実の罪で怒鳴られて、社長なんか死んでしまぇー、と、はらわたが煮えくりかえるのに、翌日には、社長の顔が見たくなるような・・・(いたなー、そんな社長)
まぁ、こんなあいまいなもので、良し悪しが決まるわけだから、「良い社長」など、定義できるわけがない。あえていえば、持って生まれた「運命(ほし)」だろうか。
by R.B