上級国民と議員特権~無症状で入院、銀座3兄弟~
■無症状で入院する特権議員
災厄が集中豪雨のように降って、菅政権を押し流そうとしている。
一方、菅義偉首相は忍の一字。さすが、苦労人、耐久力はありそうだ。とはいえ、現在の映像を未来に投影すれば、悪夢は始まったばかり。
菅内閣は、62%という高い支持率でスタートしたが、半年後に38%まで急落。原因は新型コロナの失策だろう。新型コロナが収まらないのに、GoToトラベルキャンペーンを強行し、医療崩壊を引き起こし、多くの国民が死んだから。
しかも、経済優先と言いながら、「GoTo」は旅行業・飲食業のみ。優先順位が「飲食業・旅行業>経済>国民の命」は明々白々。あまりに露骨なので、新型コロナで高齢者を減らして年金問題を解決するつもり?と勘ぐりたくなる。事実、周囲にそう言い切る人がたくさんいる。
じつはこの策は、世代間の対立を利用している。高齢者には無念だが、現役世代は社会保険料が減ってハッピーだから。菅義偉首相は、この手の陰湿で気持ちの悪い小技に長けているから、違和感はない。とはいえ、あまり露骨にやると、老人票を失うから、悩ましい。
でも一つ疑問が。
国会議員は年寄りが多いけど、感染は怖くない?
怖くないようだ。与党議員には「命の特権」があるから。
2021年1月21日、それが露見した。自民党の石原伸晃議員が、会食後、東京医科歯科大学病院でPCR検査を受け、陽性と判明。無症状にもかかわらず、即入院した。理由は心臓に既往症があるから・・・これにはビックリだ。既往症とは読んで字の如く、すでに治った病気。治った病気を理由に、即入院って、どういうこと?
東京は、2020年の年末から医療崩壊が始まった。病床が満杯で、基礎疾患をかかえ、症状があっても、自宅待機を強いられる。そんな感染者であふれている。重症化して救急車で搬送されても、入院できず自宅に戻され、死んだ人もいる。日本とは思えない惨状だ。
そんなさなか、無症状で基礎疾患もないのに、即入院?
つまり、日本には「命の格差」が存在するのだ。何を今さら、なのだが「正々堂々」やるところが凄い。これまでは陰謀論のたぐいだったのに。恥も外聞もないとはこのことだろう。
与党議員は上級国民だから、命の特権がある?
上級国民と言っても、税金で食べてますよね。納税者をなめているとしか思えない。
くだんの石原伸晃議員は1月31日に退院したが、この「10日間」は重要である。もし、この間、石原議員が埋めたベッドが空いていたら、命を救われた感染者もいただろう。つまり、無症状の特権議員が命のベッドを埋めたのである。
こんなあからさまな議員特権が行使されたのに、なぜ大騒ぎにならないのか?
理由はカンタン、新たな議員特権が次々と露見しているから。
■銀座3兄弟
2021年1月7日、東京は非常事態宣言が発令され、外出自粛要請が出ている。ところが、国会議員は「適用外」らしい。「銀座クラブのハシゴ酒」事件である。
SNSでは「銀座3兄弟」で通っているが、巧妙なネーミングだ。20年前の社会現象「だんご3兄弟」にちなむ。NHK教育テレビの「おかあさんといっしょ」のオリジナルナンバーで、あの時代、この曲が街中にあふれていた。
串にささって、だんごだんご♪
3つならんで、だんごだんご♪
しょうゆぬられて、だんごだんご♪
だんご3兄弟♪
その「銀座3兄弟」バージョンがこちら。
非常事態宣言で、銀座銀座♪
3人ならんで、銀座銀座♪
女子に囲まれて、銀座銀座♪
銀座3兄弟♪
替え歌で遊んでいる場合ではない。
週刊文春によれば、2021年1月18日、自民党の松本純議員が、イタリア料理店で会食後、銀座のクラブを2軒ハシゴしたという。松本議員は「陳情をうけるため」と釈明したが、そんな稚拙な弁解が通るはずがない。さらに、女性が2人同席していたというから「同伴」。松本議員は記者団に問われ、「同伴ではないと思います」と弱々しく答えたが、「思います」がすべてを物語っている。
ただ、「同伴」は一般に想像されるようないかがわしいことではない。クラブやキャバクラの女の子が、馴染みのお客と、食事をした後で入店すること。女の子は、同伴してくれるお客が多いほど、稼ぎがいいし、ランクも上がる。さらに、オジサン、オジイサンも若い女の子と食事ができるからウキウキ。だから、同伴も夜の店もウィンウィン、社会に貢献している(奥さんは怒っている)。
だが、今回の銀座ハシゴ酒はタイミングが悪すぎた。政府が緊急事態宣言を発令し、国民に会食自粛をお願いしているのに、言い出しっぺがイタリア料理店&銀座のクラブ!?
じつは、この事件には第二弾があった。当初、松本純議員は、クラブには一人で行ったと言い張ったが、後に同行者がいたことが判明。自民党の大塚高司議員と田野瀬太道議員である。だから「銀座3兄弟」なのだが、話はそこでなく、本来、部下をかばったのだから、部下思いなのに、ウソつき!の大合唱。始めがダメなら、何をやってもダメ、ということ。
結局、この3議員は離党に追い込まれたが、議員辞職よりマシ。というのも、議員辞職に追い込まれた与党議員がいるのだ。
■落選運動
1月22日の午後11時、公明党の遠山清彦議員が銀座の高級クラブに行ったことが判明。支援組織の創価学会からつきあげをくらい、議員辞職に追い込まれた。公明党は「庶民の政党」を掲げているからか、自民党より罰が重いのだろう。
ところが、議員先生の夜遊びがとまらない。1ヶ月後の2月10日、自民党の白須賀貴樹衆院議員が、麻布の高級ラウンジを訪れていたことが判明。女性が同行しており、週刊文春によれば「パパ活」の疑いもあるという。ただ、白須賀議員は次の選挙には出ないと宣言しているので、当人も国民ももうドーデモイイわ、これ以上騒ぐのは時間のムダだろう。
だが、この一連の不祥事が自民党に与えたダメージは大きい。
自民党の幹部はこう思っているかもしれない。内閣支持率は下がっているが、自民党の支持率が下がっているわけではない。だから、まだ大丈夫。だが、私見だが、自民党への不信感が日々増大しているようにみえる。その予兆もある。最近、補選や地方選挙で自民党が大敗しているのだ。
さらに不吉な予兆が・・・ネットメディアで盛り上がりつつある「落選運動」だ。「落選運動」とは「選挙運動」の真逆で、特定の政治家を落選させるための運動。ちなみに、対象者は無症状で命のベッドを埋めた石原伸晃議員、銀座3兄弟など、コロナがらみの特権議員だ。
落選運動は、個人でやるぶんには、表現の自由の範囲、憲法で保障されている。SNSを使えばカンタン、誰でも参加できる。SNSは政権に忖度しないので、マスメディアより「真実の力」がある。だからあなどれない。次の国政選挙で、自民党の重鎮がバンバン落選する可能性もある。
■自民党を救う立憲民主党
ところが、一方で、自民党には頼もしい味方がいる。最大野党の立憲民主党だ。
宿敵なのに、なんで?
自民党は、GoToトラベルで医療崩壊をおこし、派閥の領袖がコロナ無症状で入院し、夜遊びにふける議員が後をたたない。さらに、接触確認アプリCOCOAの信じがたいバグ、菅首相の長男の総務省接待疑惑、と今も迷走中。野党にとって政権交代の千載一遇のチャンスなのに、立憲民主党の政党支持率は3.8%、自民党の1/7!
ありえん、一体何がおきている?
原因は党首の器(うつわ)。立憲民主党の枝野代表は、ブレるのに、ヘンなこだわりがあり、ドーデモイイことに理屈っぽい。面倒くさいタイプで、人間的魅力が感じられない。まるで学級委員長だ。組織のトップは(頭の切れる)番長でないとダメ。というわけで、枝野代表が居座るかぎり、自民党は安泰だろう。
つまりこういうこと。
与野党逆転の千載一遇のチャンスを潰したのは、最大野党の立憲民主党。これは皮肉でも、ブラックジョークでもない。まぎれもない事実だ。因果関係もハッキリしている。立憲民主党は、党首の器が小さく、党のインテリジェンスも低い、さながら学級委員会だ。その証拠が「選択的夫婦別姓制度の実現」。次の選挙で公約にかかげると高々と宣言しているのだ。
それ、今ですか?
■小池新党と共産党の潜在力
新型コロナは「終息」どころか「収束」の気配もない。莫大な税金を投入した東京五輪はどうするのか?
尖閣諸島が中国固有の領土になりつつあるが、いつまで放置するのか?
専門家たちが、必ず起こると警告する「首都直下地震」、「南海トラフ巨大地震」、「富士山噴火」、「ヒトヒト感染鳥インフル」の備えは?
たぶん起こった後で考えるのだろう(それしかない策は見当たらない)。
そんな状況で夫婦別姓制度?
こんな政党に政権をとらせたくない。優先順位もつけられないのだから、日本が「大惨事」になるのは見えている。
でも、自民党も似たり寄ったりでは?
たしかに。
というわけで、野党にも1ミリの勝算はある。だけどどっちに転んでも・・・という文脈で、小池百合子都知事が浮上するのである。彼女は、自分の野心のために民の犠牲をいとわない、とインテリは警告するが、それがどうしたというのだ?
毒はあるが、自民党の実力者たちを十把一絡げでぶん回すあの豪腕は凄い。吉と出るか凶と出るかはさておき、何もできないアホのクラスター(学級委員会)よりマシだろう。
でも、個人的には、日本共産党に期待している。「共産主義」は怖く受け入れがたいけど、日本共産党には1つアドバンテージがある。ブレない、国会質問が鋭く、端切れがいい。他の党にない明快さがある。つまり、日本共産党は政界の良きスパイスなのである。
とはいえ、それだけでは問題解決にはならない。
ではどうしたらいいのか?
政治に興味をもち、議員の言動を精査し、投票に行く、それしかない。
by R.B