BeneDict 地球歴史館

BeneDict 地球歴史館
menu

週刊スモールトーク (第40話) タイムマシンの作り方 ~研究と理論~

カテゴリ : 科学

2006.03.31

タイムマシンの作り方 ~研究と理論~

■3つのタイムマシン

タイムマシンには3つのタイプがある。1人乗りの小型タイムマシン、据え置き型の大型タイムマシン、そして、「気合い」による人力タイムマシン。中でもユニークなのが人力タイムマシン。映画やドラマで大人気のタイムマシンだが、「人力タイムマシン」はあまりみかけない。「気合いでタイムトラベル」では誰も観る気がしないからだろう。ところが、これで成功した映画もある。

1981年公開の「ある日どこかで」、原題は「Somewhere in Time」。主役は映画「スーパーマン」のクリスファー・リーブ、元「007」ボンドガールのジェーン・シーモア。タイムトラベルものでは珍しいラブロマンスとなっている。公開当初は、ほとんど話題にならなかったが、アニメ「エヴァンゲリオン」同様、後になって、熱心なファンに支持されるようになった。この世に、愛する2人を分かつ障壁は山ほどあるが、それが「時空」というのがミソ。低予算なので、全体にこじんまりしているが、映像に雰囲気がある。ラブロマンスだから、ストーリーはテキトー、という手抜きもない。好感がもてる作品だ。

■人力タイムマシン

主人公リチャードは、脚本家を目指す大学生だった。ある日、見知らぬ老婦人が、彼に懐中時計を渡し、「帰ってきて」と一言残し、去っていく。その8年後、リチャードは町のホテルで、一枚の肖像画に心を奪われる。見るからに美しい女性で、かつて、このホテルで人気の舞台女優だったという。

ところが、それは数十年前の話。そこで、リチャードは彼女に会うためにタイムトラベルを決意する。そして、大学時代の恩師から伝授されたのが「自己催眠による人力タイムマシン」だった。この映画では、タイムトラベルの原理は一切触れられていない。ただ、原理を自己催眠におくなら、理論的なバッググランドは心理学だ。一方、タイムトラベルは物理学の産物なので、心理学と物理学のブリッジ理論も必要になる。

だが、この映画を観ていると、そんな無粋な理屈はどうでもよくなる。この映画の素晴らしさは、タイムマシンの原理や理論にあるのではないから。もちろん、ラブロマンスでもないのだが。リチャードは服装、持ち物すべて、当時にものに交換し、ホテルの一室にこもる。次に、自己暗示により催眠状態に入り、時間と場所を呪文のように唱える。そして、ついに時空を超える。リチャードは肖像画の女性と巡り会い、恋に落ちる。

ところが、その女性こそが、リチャードに時計を渡したあの老婦人であった。やがて、物語は思いもよらぬ結末へ。いわゆるSFとしてみれば、こんな「人力タイムマシン」は邪道だろう。ところが、この映画と似た実話?も存在する。1901年8月10日、真夏の暑い日、パリ郊外にあるヴェルサイユ宮殿。イギリスから観光旅行に来た2人の女性がのんびり宮殿を散策していた。2人は女子カレッジの学長と副学長で、シャーロット・モバリーとエレノア・ジョーダンといった。2人は、古風で美しいヴェルサイユ宮殿を十分堪能し、帰国した。

そしてその3年後、もう一度ヴェルサイユ宮殿を訪れた2人は驚愕する。周囲の光景が一変していたのだ。古風な服装に身を包んだ人々もいない。やがて、2人は、その時見たヴェルサイユ宮殿が現実であり、3年前に見たのは、1792年8月フランス革命当時のヴェルサイユ宮殿だったと確信する。3年前、テラスで見かけた美しい女性はマリーアントワネットの肖像画そっくりだったからである。2人は100年前にタイプスリップした?

そういえば、散策中、気分が重く、夢遊病者のような歩き方をしていた、と後に2人は語っている。もちろん、この事件に物的証拠はない。唯一のよりどころは、この2人が教育者であり、気軽にホラなど吹かないだろうという「信用」だけである。また、歴史上実在したサンジェルマン伯爵も、タイムトラベラーの疑いがかかっている。

サンジェルマン伯爵は18世紀のヨーロッパ世界に現れた人物で、「紀元前1000年のイスラエル王国や、紀元後1100年の十字軍の時代にもいた」と吹いていたという。また、錬金術や薬物の研究にも長け、王族や貴族の間では人気者だったらしい。では、彼はこの時代の人間ではない?サンジェルマン伯爵がタイムトラベラーだったとして、彼のタイムマシンは何型だったのだろう?彼の部屋から奇妙な音が聞こえたという証言もあるので、一人乗りの小型タイムマシン?それとも、人力タイムマシン?

少なくとも、据え置き型ではないだろう。こんなおバカな話が飛び交うのも、サンジェルマン伯爵が歴史上著名な人物に目撃・記録されているからだ。話が長くなったが、ここで言いたいのは「人力タイムマシン」は決して邪道ではないということ。

■据え置き型タイムマシン

とはいえ、SFの世界では人力タイムマシンはマイナー。というか、皆無。やはり、正統派SFオタクがワクワクするのは据え置き型タイムマシンだろう。もちろん、原理が理論的に説明されていることも重要だ。この条件に合致するのが、TVドラマ「タイムトンネル」である。タイムマシン史上、最大にして最強、そして最も不安定なタイムマシン。ハラハラドキドキのタイムトラベルの神髄がここにある。

「タイムトンネル」は、アメリカの国策タイムマシンで、アリゾナ砂漠の地下深く、800階建ての巨大センターの中に建造された。見てくれは超弩級だが、仕掛けや原理は大味ではない。第8話「秘密兵器A-13」で、主人公のダグが「タイムマシンの作り方」を講釈するシーンがあるが、技術系SFオタク必見。「えっ、ホンモノがあったのでは?」と思わせるほど、泥臭くリアルなシーンである。また、時代考証もしっかりしていて、歴史が好きな人にもお薦めだ。ただし、昔LD版が出ただけで、DVDもBlu-rayもナシ。著作権の問題でもあるのだろうか?

もう一つの据え置き型タイムマシンが映画「タイムライン」。原作はベストセラー作家マイケル・クライトン、CGはILMが担当している。過去にタイムスリップした教授を救出するため、学生たちが14世紀の世界にタイムトラベルするというストーリーだ。このタイムマシンは、据え置き型にしては小ぶりで、一部屋ほどのサイズ。動作原理は量子力学まで取り込んだが、新鮮みはない。ただ、原作が面白いので、観ていて退屈しない。

■小型タイムマシン

そして、タイムトラベルの真打ちといえば、H・G・ウェルズの「タイムマシン」。タイムトラベルの神髄は「時間の壮大さ」で、この点で、ウェルズの「タイムマシン」に優る作品はない。そのためか、1960年に映画化され、2002年にはリメイクされている。1960年版はすでに名作として歴史年表を刻み、2002年版は多少脚色はあるが、ストーリーは面白い。CGはILMが担当し、映像は透明感があって美麗。1960年版に優るとも劣らない名作だ。

この2作で使用されたタイムマシンは、1人乗りの小型タイムマシン。大型バイクを一回り大きくした感じだ。ただ、旧作も新作も、タイムマシンの作り方、原理・理論まで深掘りしていない。また、一世を風靡したタイムトラベル映画「バックトゥーザフューチャー」シリーズもこのタイプだ。実在した名車「デロリアン」をタイムマシンに仕立てている。というわけで、夢多きタイムマシンは映画やドラマで大活躍だ。では、タイムマシンって本当に作れるの?

■未来へのタイムマシン

未来に行くタイムマシンは、すでにメドはたっている。方法は2つある。光速に近いスピードで移動するか、強い重力場の中にいれば、確実に未来に行ける。あと、邪道だが、冬眠カプセルという手もある。光速移動によるタイムマシンの原理は、以下のとおり。宇宙船に乗り込み、光速で飛行、往復20年で地球に帰還する。すると、地球では2000年が経過している。結果、2000-20=1980年分だけ未来に行ったことになる。

この現象は、「高速で移動する世界では、時間の進みが遅くなる」というアインシュタインの相対性理論で説明される。別名「ウラシマ効果」。この原理は、冬眠カプセルで細胞の活動が低下し、老化が遅れるという話ではない。空間そのものの「時間の進行」が遅くなるのだ。このような時間の遅れは、強い重力場の中でも起こる。たとえば、地下に住む人は、地上100階で暮らす人より強い重力をうける。そのため、地下で住む人の時間は遅く進み、その分長生きできるわけだ。もっとも、誤差の範囲だが。

というわけで、未来へのタイムマシンの作り方はクリア。ただし、問題もある。未来に行ったが最後、過去には戻れない

■過去へのタイムマシン

次に、過去へのタイムトラベル。こっちはかなり難しい。そもそも、消えて無くなった過去へどうやって行くというのだ?ところが、1988年、カリフォルニア工科大学のキップソーンらが、過去にも行けるタイムマシンの作り方を提唱した。まともな科学者が、こんなおバカな研究をやっているのか・・・きっとヒマなんだろうな。もっとも、科学者たちの気分転換ネタ、というウワサもあるが。

過去へのタイムマシンの作り方は以下のとおり・・・

宇宙空間に2つのブラックホールがあったとして、それぞれをA点とB点とする。次に、この2点を結ぶワームホールを生成する。ワームホールは空間を直結するバイパスなので、2点間を移動するのに時間はかからない。つまり、一瞬で移動できる。時刻「0:00」に、B点だけを光速で移動させて元の位置に戻すと、時刻が「2:00」だったとする。アインシュタインの相対性理論によれば、光速で運動する時空の時間は遅れるので、A点の時刻はB点より2時間進んで「4:00」だった。つぎに、A点の時刻「4:00」(B点の時刻は「2:00」)に、ロケットがA点を出発し、1時間後にB点に着いたとする。このときのB点の時刻は「B点の時刻2:00+1時間=3:00」となる。ここで、ロケットはB点のワームホールに飛び込み、そのままA点に出たとする。ワームホールを通ったので移動は一瞬。また、ワームホールの両方の入口は同じ時刻でつながっているので、ロケットはA点の入口から出ると時刻は「3:00」。ところが、ロケットがA点を出発したのは「4:00」。つまり、ロケットは、1時間過去に戻ったことになる。

これを一読して、「ふ~ん、なるほど」と唸る人はどうかしてる。確かに、文章はつながっているが、なにかどこか騙されているような・・・まぁ、百歩譲って、理屈があっていたとしても、ワームホールをどうやって作るのだ?ブラックホールをどうやって光速で移動させるのだ?さらに、もっと重大な問題がある。

このタイムマシンでは、ワームホールを生成した時間より過去へは行けない。つまり、2006年3月にワームホール型タイムマシンを作ったとして、2006年3月より過去には行けない!?おいおい。これで、過去へタイムトラベルできると言える?根本が矛盾している。だが、科学者たちはこう反論するかもしれない。「宇宙のどこかに、昔できたワームホールがあるはずだ。それを使えばいい」さて、これ以上深入りするのはやめよう。学はないが、本物かニセ物かの区別はつく。今後、こんな似非タイムマシンに研究費が使われることがないよう願っている。

■時間のパラドックス

仮に、タイムマシンの作り方をクリアしたとして、タイムトラベルにはまだ問題がある。「時間のパラドックス」だ。1958年、ジャックキルビーはエレクトロニクスの大革命「IC」を発案した。その後、「IC」は「LSI」に進化し、今では電子機器に欠かせない部品となっている。ここで、誰かがタイムマシンを発明し、お金儲けをもくろんだとする。1957年にタイムトラベルして、ICの特許を出願すればいいわけだ。ビル・ゲイツ並みの大金持ちになることは間違いない。

だけど、そうなると、ICを発明したのは誰?このコソクな人物は歴史年表を盗み見しただけで、ICを思いついたわけではない。もちろん、ジャックキルビーもこの栄誉からはずれる。歴史上、彼のIC発明は1年後になるので、彼は他人の論文を見てICを知ることになる。

では、ICは誰が発明したのだ?

車イスの物理学者ホーキング博士は、過去へのタイムトラベルは不可能とする「歴史保存仮説」を発表した。原因と結果の連鎖が崩れてしまうから。先の問題も、結果が原因に直結するから、おかしなことになるのだ。原因は原因、結果は結果、いっしょくたにしてはいけない。タイムマシンにからむ”理論めいた”話はほとんどフリンジ(疑似科学)である。

■空間の謎

大学の理工学部に入ると、まず、「初等力学」なる科目が待ち受けている。「初等」とは名ばかりで、高校の物理なんか吹き飛ぶほど難解である。理論の厳密さがまるで違うのだ。本物の数学を用い(高校の数学はまがいもの)、水も漏らさぬ論理でたたみかけてくる。高校の数学が得意だからといって、理工系に進学するのは薦められない。青春を謳歌するなら文系だ。

この初等力学で面食らうのが「空間の歪曲」。強い重力場の周辺では、空間が歪曲するというのだ。でも、目に見えない空間が曲がるのをどうやってイメージするのだ?この空間の歪曲を極めると、タイムマシン製造に欠かせないブラックホールとなる。ブラックホールはよく聞く宇宙用語だが、まだ観測されていない(2006年3月時点)。ただ、理論上は存在するので、そのうち発見されるだろう。

ブラックホール理論によると、ブラックホールの構造は、いたってシンプルだ。中心にある「特異点」と、その周りに「事象の地平面」があるだけ。ここでいう特異点とは、密度が無限大の点である。点のくせに無限大とはなんだ、と反論されそうだが、だから「特異な点」なのである。とにかく、密度が無限大なので、とてつもない重力場が発生する。その結果、空間を極端に歪曲させる、というわけだ。

このブラックホールの内部と、外世界との境界が、先の「事象の平面」。ん~、何のことだかさっぱり、主語と述語の区別しかつかない。理論はともかく、ブラックホールって、何がどうなの?たとえば、宇宙船がブラックホールに近づくとする。すると、重力がどんどん大きくなり、時間の進み方も遅れてくる(前述)。そして、最後には、宇宙船の時間は停止する。つまり、ブラックホールの中心点は、時間が停止した世界。時間が止まれば、時間の概念、存在の概念もなくなる。想像を絶する世界だ。

■時間の謎

ところで、「時間」は本当に存在するのだろうか?時間は「時計」を介して間接的に認知されるもので、時間を直接見た人はいない。昔、机の上に小さな虫が忙しそうに動き回っていた。気にはなったが、無用な殺生はしない主義なので、そのままにしておいた。すると、翌日には死に、日が経つにつれ、変形し、最後には干からびてしまった。数日という時間が経過することで、虫が変形したのだ、とわれわれは考える。もし、時間が虫に直接作用し、虫を変形させたのなら、確かに時間は存在する。だが、虫を変形させたのは、大気の成分であり、時間そのものではない。それでも、時間は存在するというのだろうか?

我々は日常、「時は流れる」という言葉を使う。ある瞬間が、時間が流れることで過去となり、別の瞬間が現在となる。つまり、過去、現在、未来と時間は流れているが、実在するのは現在のみ。ところが、科学者たちは、このような「時間の流れ」は幻想だと考えている。過去、現在、未来、いずれも等しく現実だというのだ。つまり、時間は流れているのではなく、空間とともに実在する。

もしそうだとしたら、過去、現在、未来、いずれも現実として存在するのだから、タイムマシンを作る方法がないとは言えない。また、科学者たちは「プランク時間」という時間の最小単位まで決めている。10のマイナス43乗秒というとてつもなく短い時間だ。現在、高速のトランジスタは、ピコ秒で動作するが、ピコ秒は10のマイナス12乗秒で1兆分の1秒。プランク時間がいかに短いかがわかる。それにしても、これ以上分割できない時間なんて、どうやって決めたのだろう?

■予言は可能か

ややこしい話のついでに、予言の世界にも話を広げよう。現在、ミクロ世界の最強の理論は「量子力学」だが、毎年、数学自慢の学生たちを打ちのめしている。この中に「不確定性原理」という難解な理論がある。二枚目のドイツ人物理学者ハイゼンベルクが20代で導き出したものだ。本当は、数学の塊なのだが、簡単に言うと、「未来は予測不能」2006年トリノオリンピックで、日本のカーリング娘が話題になった。

カーリングがあれほどはまるスポーツとは思わなかった。ミクロ世界ではないが、カーリングを例に話をすすめよう。

相手のストーンに、自分のストーンをぶつけるとして、その後の2つのストーンの動きを正確に言い当てることはできない。これが「不確定性原理」の核心部分である。自分のストーンと相手のストーンの位置、さらに、自分のストーンの速度と衝突角度が分かれば、予測できそうなものだが、これができないというのだ。衝突後の2つのストーンの動きは、無数の可能性がある。ただし、それぞれの可能性が現実となる確率は計算で求めることができる。裏をかえせば、どれが現実になるか断定することはできない。つまり、現実に衝突が起こり、人間が観測してはじめて、未来は決定され、過去となる

だんだん、物理学か哲学か分からなくなってきた。ということで、小難しい話はこれでおしまい。タイムマシンにはもっと面白い話がある。

■ジョン・タイター事件

2000年、アメリカのインターネット掲示板に、突如、タイムトラベラーが現れ、ジョン・タイターと名乗った。

彼は2036年の未来から来たと宣言し、掲示板は大いににぎわった。ジョン・タイターはすでに、自分の世界に帰還したことになっているが、その間、多くの情報を公開した。タイターが乗ってきたポータブルタイムマシンもその1つで、写真や図面まである。つまり、タイムマシンの作り方まで公開したのだが、その後、タイムマシンが発明されたという話は聞かない。

もっとも、タイムマシンを発明したとして、それを吹聴するバカはいないだろう。こっそり、使うに決まっている。また、ジョン・タイターは未来も予言している。そのいくつかは適中したが、どれも当時の世界情勢から十分予測できるものだ。一方、当たりはずれがまだ確定していない予言もある。

その1つが、「中国が台湾、韓国、日本を征服する」なかなかインパクトのある予言だ。原文は「conquer」なので、「武力征服」は間違いない。最近、中国の軍事予算は増える一方で、アメリカはやがて、「世界の警察」を辞めざるをえなくなる。そこがターニングポイントだろう。70年前の日本と中国の歴史を思い起こせば、「因果は巡る」かもしれない。

さらに、2015年にはアメリカ、中国、ヨーロッパ、ロシアの間で、全面核戦争が起こり、30億人が死亡するという。つまり、世界の終わり。こちらは、ホラ吹きタイムトラベラーのヨタ話ではなく、真摯な未来警告ととらえるべきだ。「核を使えば、使った方も滅びる。全面核戦争なんか起こるわけがない。核はあくまで外交カード」という戯言(たわごと)を真に受けている政治家や評論家がいるから恐いのだ。

1962年の「キューバ危機」を思いだそう。あの時、指導者がケネディとフルシチョフだったから世界は救われたのだ。ブッシュとブレジネフなら間違いなく全面核戦争だった。歴史を決定づけるのは国の損得ではなく、指導者の資質なのだから。核戦争は、人類が突然変異で進化しないかぎり、必ず起こるだろう。理由は簡単、核があるから。それは、整然とした歴史の方程式からではなく、指導者の気まぐれで起こるかもしれない。となれば、予測不能。

ジョン・タイターが本物か偽物かは、インターネット上で多くの議論をよんだ。彼は、自分が乗ってきたタイムマシンの写真まで公開したが、それを本物と信じた人はいないだろう。どうせ写真を出すなら、なぜ、未来のニュースを出さない?それなら、世界中の人々が信用しただろうに。個人的には、ジョン・タイターがタイムトラベラーとは信じていないし、その予言も作り話だと思っている。「ロズウェル事件の宇宙人解剖フィルム」同様、初めから見せるために作られた偽装の臭いがするから。もちろん、当たる予言もあるだろうが、結果が一致したからといって「予言」とは限らない。ただの「あてずっぽう」。

だが、気になる予言もある。全面核戦争とその後の世界だ。放射能汚染で世界は分断され、閉鎖的なコミュニティが支配する社会。ジョン・タイターが語った未来はあまりにも暗い。

参考文献:日経サイエンス2002/12「時間とは何か」田中三彦/武内孝夫共著「タイムトリップ」学研

by R.B

関連情報