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週刊スモールトーク (第253話) コーヒーをやめた理由~効能と弊害~

カテゴリ : 社会

2014.05.17

コーヒーをやめた理由~効能と弊害~

■断酒その後

2年前の定期健康診断で、「不整脈」が見つかった。不整脈とは、心臓の脈が乱れること。

なんて言われると、ますます脈が乱れるわけだが、気に病むことはない。歳をとれば、不整脈は珍しくないから。実際、自覚症状があっても、放置する人が多い。とはいえ、心臓に疾患がある場合は注意が必要だ。突然死を引き起こすこともあるから(コワイコワイ)。

そこで、定期健康診断の1ヶ月後、病院で精密検査を受けた。まずは、血液検査。その後、心電図測定、さらに、軽い運動後の心電図測定。そして、帰る間際に、心電図ホルダを身体に装着され、24時間の心電図測定を行った。

結果、心臓疾患はなく、普通に生活していいとのことだった。ただ、担当医には、酒とコーヒーは飲み過ぎないようクギをさされた。心臓バックンバックンがよくないのだという。そこで、運動もダメかと聞いたところ、

「あなたの場合、運動後は不整脈が消えるので、むしろ、運動したほうがいい」

という。

心臓バックンバックンはだめなんじゃ?

ようわからん・・・

じつは、定期健康診断で不整脈が見つかった時点で、禁酒を始めていた。ネットで「酒とコーヒーはダメ」と書いてあったから。おかげで、1ヶ月後の精密検査では、不整脈は出たものの、血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖値は正常値にもどっていた。これに気をよくして、酒は、料理酒を含め、一滴も飲まないことにした。禁酒ではなく「断酒」!

それから、日を追うごとに体調が改善していった。

頭も体も軽く、思考もスッキリ、くわえて、記憶力も若干改善した。ただし、頭の回転だけはもどらなかった。いまだに、女子高生の電光石火のケータイ操作がまぶしい。

ところで、肝心の不整脈だが、1年間断酒しても、ほとんど改善しなかった(自覚症状がある)。

さらに、困ったことに断酒の弊害もでてきた。

1.甘い物が無性に食べたくなる(糖尿のリスクあり)

2.接待などの宴席が全然楽しくない(お客さんにも失礼)

3.対人で不機嫌になる

1.と2.は仕方がないとして、「3.対人で不機嫌」は問題だ。

人と話していると、こんな思いがして、イライラするのだ・・・

・結論から言えよ

・要点しぼれよ

・ロジックが逡巡してるぞ

・ごたくはいいから、さっさと解決しろよ

もともと、こういう性格なのだが、これまでは、アルコールで脳が麻痺していたので、表面化しなかったのだろう。ということで、職場ではいつも心臓バックンバックン、不整脈が加速しているわけだ。

あらら、本末転倒・・・

ただし、一人で考え事をしているときはご機嫌だし、仕事もはかどる。そこで、この3つの弊害は目をつぶって、断酒を続けることにした。

■断酒が破綻

そして、1年経ったある日・・・

友人からメールが届いた。古い付き合いのSさんが、日経新聞の「新社長欄」に載っているという。そこで、日経新聞をチェックすると、なんと、上場会社の代表取締役社長になっているではないか。平取から一気に社長へ、これは凄い!知人・友人の中では一番の出世だ。

そこで、情報交換とお祝いをかねて、飯でも食おうということになった。1ヶ月後、東京出張のついでに、秋葉原で会食した。元々、ウマが合うので、宴席は大いに盛り上がった。社長就任の自慢話は1分で終了し、すぐに新規事業の話に。

Sさんは、今度社長になった会社の創業メンバーで、20代で取締役になっている。行動力もアイデアもあり、馬力はハンパじゃない。既存事業をマネージメントしながら、新規事業にも意欲的だ。実際、彼と話をしていると、アイデアが湯水のように湧いてくる。

ということで、まずテーマだが・・・ズバリ、富裕層向けビジネス。

広く浅くチマチマ稼ぐのではなく、大金持ち相手にドカーン!

彼が言うには、世界にはとんでもない大金持ちがいて、カネを使いたくてウズウズしているという。金融資産が1000億円超なら、フェラーリを100台買っても20億円、消費税にもならない。それに、色違いのフェラーリを100台買ったところで、空しいかぎりだ。そもそも、フェラーリなら普通の金持ちでも買える。だから、満足感がないのだという。

とはいえ、富裕層ビジネスで、まず思い浮かぶのがフェラーリ。グッチ、ブルガリ、クリスチャン・ディオールのような日用品ブランドなら、他を我慢すれば、普通の人でもなんとかなる。ところが、フェラリーは2000万円超!他を我慢したところで、どうにもならない(我が家と同じ値段だぞ)。

そもそも、車の本来の目的は「移動」。であれば、200万円も出せば、おつりがくる。そんなものに2000万円も払うって?

一体、何を考えているのだ?

でも、それは、われわれ平民のカンカクであって、富裕層にしてみれば、2000万円ははした金なのだろう。

とはいえ、いくらはした金でも他に使い道があるはず。なんで、車なのだ?

じつは、フェラーリのモンテゼモロ会長は、こんなことを言っている。

We don’t sell a normal product.We sell a dream.

(われわれは並の製品を売っているのではない。夢を売っているのだ)

カッコいい、キザな野郎だ・・・賛否両論ありそうだが、モンテゼモロ会長は舌先三寸口八丁というわけではない。フェラーリは、2013年、不況のイタリアにあって、最高販売台数を記録しているのだ。つまり、実績がともなっている。

そこで、閃いたのが「コンピュータのフェラーリ」だった。

つまり、「道具」としてのコンピュータではなく、「魔法」のコンピュータ!

じつは、ここ1年ほど暖めている「魔法のコンピュータ」がある。それをSさんに説明すると、彼は目を丸くしてこう言った。

「そんなコンピュータ、本当に作れるんですか?それって、『未来を予知する』と同じことでしょう」

「ええ、5年先ぐらい予知できないと、このシステムは成立しません。ハードのスペックもハンパじゃないんで、価格は1000万円ですね」

すると、Sさんは、こう言い切った。

「そんな世界を見れるのは、大金持ちの特権ですよ。富裕層にしぼって、1億円でいきましょう!」

1億円×100台=100億円!?(大金持ち&歴史大好きが100人いると想定)

「いぃ~ですね!うまくいったら、ハワイに行って、お尻でも焼きましょう、ガハハハ」

とまぁ、いつものように天井まで盛り上がってしまった。

そして、気がついたら・・・

生ビールを5杯も飲んでいた。

こうして、1年の完全断酒が、「魔法のコンピュータ」とともに崩壊した(Sさんのせいだぞ)。まぁでも、Sさんのおかげで、

「魔法のコンピュータ」→「1億円コンピュータ」

のアイデアをもらったことだし、それは収穫だったかな。

ところが・・・

その翌週、たまたま、知り合いのCGクリエーターと話す機会があった。彼女は歴史ゲーム「GE・TEN~戦国信長伝~」を制作していた頃のデザイナーで、今も良きアドバイザーだ。

以前、村上龍の「五分後の世界」を紹介してくれて、それが、今回の「1億円コンピュータ」につながっている。

そこで、彼女に「1億円コンピュータ」の話をすると、思わぬ言葉が返ってきた。

「そんな凄いコンピュータなら、100人しか見れないのはもったいですよ」

じゃあ、500円×1万本=500万円!

意気消沈・・・あの会食は一体何だったのだ?

■断酒から禁酒へ

そんなこんなで、ムシャクシャしていると、取引先のCG会社から連絡があった。知り合いの専務が社長に昇格したので、挨拶に行きたいという。というわけで、また宴席・・・その席で、断酒をやめた話をすると、彼はこう言った。

「奇遇ですね。僕も持病があって、医者から炭水化物を止められているんですよ。でもね、どうしても、食べたいときは食べますよ。ご飯はおいしいですから。だから、お酒も、宴席ぐらいいんじゃないですか」

と言いながら、最後にでた特製おにぎりを、おいしそうに食べていた。

気に入った人との宴席だけ、酒を飲めばいいわけか。そうすれば、宴席は楽しいし、対人で機嫌が悪くならなくてすむかも。

でも・・・

そんな都合良く、飲んだり飲まなかったりできるものだろうか?

1年の断酒を破ったのだから、なし崩し的に、晩酌の生活に戻るかも・・・

ところが、そうはならなかった。

酒を飲むのは、大事な宴席と、家族と焼き肉食べに行ったときだけ。つまり、「断酒→禁酒」が成立したのである。

結果、

1.甘い物が無性に食べたくなる

2.接待などの宴席が全然楽しくない

は解消された。ただし、

3.対人で不機嫌になる

は、いまだに解決していない。

中途半端に飲んだり飲まなかったりが一番難しい。それなら、断酒の方がまだ楽、と思っていたので、この結末は意外だった。

ではなぜ、禁酒が成立したのか?

ビールは今でも大好きだが、飲むと、翌日、思考がにごる。思考がにごれば、ロジックもにごる。それがたまらなく不快なのだ。1年間の断酒で、脳がノンアルコールの快感を覚えたのだろう。

とはいえ、不整脈は、断酒でも直らなかったので、禁酒で直るはずがない。

そこで、酒は「断酒→禁酒」とゆるくした代わりに、コーヒーをやめることにした。

■禁コーヒーに挑戦

ところが、コーヒーは酒ほど簡単ではなかった。

もともと、仕事も趣味もガツガツ超集中型なので、毎朝、コーヒーが欠かせない。ためしに、朝、コーヒーを抜くと、午前中ぼんやりして、仕事の効率が悪い。結果、機嫌も悪くなる。

ところが、数日たって、面白いことに気がついた。

寝付きが、若干、改善されたのだ。寝付きが悪く、眠りが浅いのは、昔から。だから、すぐに気づかなかったのだ。ためにしに、翌日、コーヒーを飲むと、わずかだが、眠りか浅くなる(夜中に目覚める回数でわかる)。

そこで、自分をモルモットにして、いくつか実験をしてみた。

その結果、眠りの浅い順に、

1.朝一番と、午後一番と、夕方に1杯づつ。

2.朝一番と、午後一番に1杯づつ。

3.朝一番に1杯のみ(かなり改善される。午後以降のコーヒーがダメ?)。

4.全く飲まない。

あたりまえやろ、と言うなかれ。若い頃は、1日、2杯~5杯とばらつきがあったが、差はまったく感じなかった。齢とともに、身体が敏感になっているのだろう。

そんな不毛の実験をしているとき、偶然、知人から気になる話を聞いた。

彼は、子供の頃から不可思議な心の病気で苦しんでいるのだが・・・

「心の病気は、カフェインがNGなんです。コーヒーはもちろん、チョコレートもダメ。眠れないからではなく、神経に障るから」

そういえば・・・

10年ほど前、TVで長寿の番組をやっていて、世界一長寿の婆さん(アメリカの黒人女性)がこんなことを言っていた。

「長生きの秘訣は、刺激物をとらないこと」

コーヒーだめじゃん。

さらに、最近、ネットでコワイ記事をみつけた。暇な人がいて、大麻の代わりに、コーヒー豆をすったら、どうなるか実験したというのだ。その結果、少量なら、気持ち悪いですむが、大量に吸うと、吐き気がして、まっすぐ歩けなくなったという。

じつは、カフェインを含むのは、コーヒーだけではない。紅茶、緑茶、ウーロン茶、抹茶、コーラもカフェインを含んでいる。とはいえ、これらすべてが「吐き気」と「まっすぐ歩けない」に直結しているとは思えない。つまり、カフェインというより、コーヒーに原因があるのではないか?

もちろん、コーヒーには効用もある。心臓病の予防、ガンやアルツハイマーの抑制効果もあるという。それに、古い時代には、薬としても使われていた。

でも、それって、DHCを摂取すると頭が良くなる的な、0.01%の効用の話ではないか?

それに、コーヒーは心臓病を予防するいいながら、不整脈を悪化させるという。さらに、ガンの抑制効果があるといいながら、膵臓ガンだけは促進するという。早い話が、五十歩百歩。

ところが、コーヒーを飲むと眠りが浅くなるのは、0.01%どころか、100%確実なのだ(個人差はある)。であれば、確率の高い方で、善し悪しを判断するべきではないか?

こんな屁理屈をコネながら、なんとか、コーヒーをやめる方法がないか、考えあぐねていた。

■コーヒーから抹茶へ

コーヒーが辞められないのは、コーヒーが飲みたいからではない。飲まないと、仕事がはかどらないから。

そこで、「眠気覚まし=カフェイン」の入った飲料を、いろいろ試してみた。

1.コーヒー(スタバ・ミラノエスプレッソ)

速効で頭が冴えるので、眠気覚ましに最適。くわえて、重厚なテイストで、飲んだ後の満足感が最高。しかも、カロリーが低い(普通のコーヒーの半分以下)。というわけで、これまで、ずっと愛飲していた(ただし、216円と高い)。

2.紅茶(紅茶花伝・ロイヤルミルクティー)

紅茶はコーヒーよりも、カフェインが多いというが、目覚まし効果は、コーヒーに劣る。「紅茶花伝」は、ミルクが効いて甘くておいしいのだが、コーヒーのような満足感がない。それに、かなり甘いので糖尿が心配。

3.緑茶

眠気覚まし効果ナシ。しょせん、お茶なので、満足感は皆無。

4.チョコレート

大好きなのだが、どのチョコレートも目が覚めない。そこで、目が覚めるまでバクバク食って糖尿になったどうするのだ?

散々試したあげく、見つけたのが、スタバの「京都抹茶ラテ」だった。抹茶は意外にカフェインが多く、グラムあたりの含有量はコーヒーと変わらない。

実際、「ミラノエスプレッソ」ほどではないが、若干、シャキッとする。ただし、甘ったるいので、飲んだ後の満足感はいまいち。一方、抹茶とミルクのブレンドが絶妙で、とてもおいしい。つまり、飲んでいるときの満足感は高い。

そこで、しばらく「京都抹茶ラテ」を飲んでみた。ところが、1週間経つと、「ミラノエスプレッソ」が恋しくなった。やっぱり、コーヒーの方が頭が冴えるなあ・・・そこで、確認するため、1週間ぶりにミラノエスプレッソを飲んでみた。

すると、2、3分後に脳がシャキーン!

ところが・・・

「頭が冴える」というよりは、「頭を締め付ける」感じ。そこで、あるシーンを思い出して、ゾッとした。孫悟空の頭の「金の環」である。孫悟空が悪さをすると、玄奘が念仏を唱え、「金の環」が縮んで、孫悟空がのたうちまわるアレ。

それを想像した瞬間、気分が悪くなった。

そして、二度とコーヒーを飲みたいと思わなくなった。

コーヒーを飲む→金の環が頭を締め上げる→頭がシャキーン

この三段論法のおかげで、コーヒーをやめることができたのだ。

人間て単純なものですね。

お前だけだろうって?

かもですね。

■消えた不整脈

そして、2週間ほどたって、面白いことに気がついた。

いつの間にか、不整脈の自覚症状が消えていたのだ。

ひょっとして、不整脈がなおった!?

そして、待ちに待った定期健康診断。

その結果・・・

中性脂肪、コレステロール、血糖値など血液検査は異常なし(禁酒が続いているのであたりまえ)。

そして、心電図だが・・・異常ナシ。

つまり、今回は不整脈はでなかったのだ。もっとも、不整脈は出たり、出なかったりするので、完治したとは言い切れない。とはいえ、定期検診でOKだったのは事実だし、自覚症状もないので、改善しているのはたしか。

さらに、思わぬ副産物もあった。

中学生のときから、トイレが近かったのだが、それが改善された(コーヒーは利尿作用があるのであたりまえ)。さらに、腹囲にでていた「じんましん」もでなくなった。じんましんは、刺激物が原因になることが多いので、コーヒーをやめたせいかもしれない。おかげで、半年間服用したじんましんの薬から解放された。

というわけで・・・

コーヒーをやめたら、不整脈は消えるし、思わぬ副産物もゲットできた。メデタシ、メデタシ。

ところが、笑えそうで笑えない話がある。今回の定期健康診断で一つだけ警告がでたのだ。血圧・・・下が90で、上が150。

禁酒に禁コーヒーで、なぜ血圧が上がるのだ?

健康診断の日、禁酒で機嫌が悪いところへ、朝一番でトラブルが発生、それで、頭に血が上ったのだ。

ということで・・・

短気を直す飲み物はありませんか?

by R.B

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