菅政権の悪夢~COCOA重大バグ・女性差別発言~
■COCOAの重大バグ
新型コロナが菅政権を悩ませている。
GoToキャンペーンで医療崩壊、無症状で入院する幹部議員、銀座3兄弟・・・不祥事が後を絶たず、新型コロナ同様、終息する気配はない。
そして、お次は政府御用達のスマホアプリ「COCOA」。
新型コロナ感染者と濃厚接触したら「通知する」はずが、「通知しない」ことが判明。笑える話だが、ゼンゼン笑えない。何をどうしたら、こんなおバカなことがおきるのか?
COCOAの仕組みはとてもシンプルだ。アプリをスマホにインストールすると、新型コロナ感染者との接触情報を知らせてくれる。具体的には、新型コロナの陽性登録者の半径1メートル以内で、15分以上接触すると、通知が来る。通信手段は近距離無線でおなじみのブルートゥース。ここまでは問題はない。
ところが、2021年2月3日、厚生労働省から驚くべき発表が。COCOAのアンドロイド版が、昨年9月から陽性登録者と接触しても通知されていなかったというのだ。発表時点で、ダウンロードされたCOCOAは2450万。そのうち、アンドロイド版は約3割というから、770万人が機能していなかったわけだ。ことは命にかかわるし、そもそも政府が保証するアプリ。それがなんで?
スマホアプリの開発現場にいる人なら、ピンとくるだろう。
そう、アンドロイドの互換の問題だ。アンドロイド版は、複数のメーカーが複数の機種を製造しているので、機種の数が多い。しかも、それぞれスペックが違うから、すべてカバーするのはムリ。そこで、メーカーは古い機種を切り捨てることが多い。
じゃあ、仕方がない?
ノー、この騒動には別の問題がある。まず、「通知する」アプリが「通知しない」なのだから、最悪。さらに、ロクなテストをしていなかった形跡もある。極めつけは、4ヶ月も放置されたこと。ありがちな互換の問題にすりかえて、見ざる聞かざる言わざるを決め込んだのだろう。菅首相も「お粗末なことだった」と謝罪しているから、自他とも認める大失態。
ところで、アイフォンはアップル1社が製造しているから大丈夫?
ノー!
2週間後の2月14日、アイフォン版COCOAにも不具合があることが発覚した。「初期化される」というから、このバグもハンパない。ここまでトラブル続きなら、誰もがこう考えるだろう。
政府が掲げる「デジタル改革」は大丈夫?
マイナンバーで、金融機関の口座を含めすべての個人情報をヒモづけし、国民を管理するという。COCOAがコレなら、情報のダダ漏れ、金融資産の盗難が心配だ。
とはいえ、COCOAトラブル自体は菅義偉首相に直接責任はない。
ところが、さらなる災厄が・・・東京五輪パラ競技大会組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言だ。
■森喜朗会長の女性蔑視発言
ことの発端は、2021年2月3日、JOC(日本オリンピック委員会)の評議員会で、森会長はこんな発言をした。
「女性がたくさん入る理事会は、時間がかかる(女性は話が長い)」
すると、女性差別、女性蔑視の非難がまきおこった。今、海外では「ジェンダー不平等(性差別)」が熱い。その海外からの批判が国内世論に火をつけ、収拾がつかなくなった。しかも、この騒動には第二弾がある。
聖火リレーで、観覧客の「蜜」が懸念されると、森会長がこんな発言をした。
「有名人は田んぼを走ったらいい」
てっきりジョークだと思ったら、またもや非難の嵐。やっぱり、始めがダメなら、何をやってもダメ?
結局、2月12日、森会長は辞任に追い込まれた。
トップリーダーが、公の場で差別発言すれば、非難をあびて当然だろう。だが、激しさがハンパなかった。一部をのぞく、すべてのマスコミ、識者、タレントが「最低だ、辞めろ!」で一刀両断。森会長のこれまでの苦労、実績は一顧だにされない。立ちションで終身刑を宣告されたようなもの(たとえが下品です)。
もちろん、森会長を擁護するつもりはない。悪いことは悪いこと、責任をとるのがあたりまえ。でも問題は程度だ。
「女性は話が長いよね。でも、そういうの男でもいるぞ。そりゃそうだ(笑)」ですんだかもしれない話が、なぜこんな大事になったのだろう。女性差別に対する積もり積もったマグマが噴出した?
ちょっと違うと思う。日本の民意というより、海外の圧力だろう。日本人は昔から舶来に弱いので。
とはいえ、今回の騒動は、女性差別をなくす良い機会だ。非難や評論で終わるのではなく、具体的に進めるべきだろう。国の対策を待つのではなく、身近なところから。たとえば、自分が働く会社。
■女性差別をなくす方法
これまでのサラリーマン人生「上場企業→中小企業→中堅企業→ベンチャー企業」で、女性差別はつねに存在した。4社目のベンチャーは経営側だったので、差別をなくすよう心がけた。ただし、正義というより、会社の利害による。というのも、伸るか反るかのベンチャーでは、実績につながらない主義主張にかまっていられないから。
そんなわけで、女性差別はもちろん、学歴差別、人種差別もしなかった。とはいえ、個人差の方が大きいからあたりまえ。4社目のベンチャーには、スペイン人とコロンビア人のデザイナーがいたが、ともに優秀だった。そのため、社内では「ラテン系はデザインセンスがいい」が定着したが、個人的にはそうは思わなかった。優秀でないスペイン人とコロンビア人もいるだろうから。
というわけで、自分は差別とは無縁、と思い込んでいた。ところが、あるとき気づいた。専門職、管理職は差別はしないが「女性の役員」は頭になかったのだ。
なぜか?
ベンチャーの役員は超ブラックだから。
納期が迫ると、スタッフは深夜残業、徹夜はあたりまえ。深刻な問題が発生すると、夜中でも携帯が鳴る。さらに、日中は、会社の存続にかかわる問題が次々と発生する。役員まで上がってくる問題は、煮ても焼いても食えないものばかり。しかも、ベンチャーは貧乏だから、役員もプレイングマネージャー、合間をぬってプログラムを書く。当然、土日も、盆も正月もない。さらに、役員になる年代は既婚者が多い。幼稚園に子供を預けても、熱がでればすぐに呼び出される。そんなわけで「女性の役員」は頭になかったのだ。
でも、世の中には、女性の役員も社長もたくさんいる。みんなどうやっているのだろう。話を聞くと、人それぞれ。ある女性は、夫が家事を折半してくれるという。別の女性は子供を親に預けている。さらに部下をとことん使いこなし、判断業務に徹している人もいる。みんな苦しい中、やりくりしているわけだ。
小さな会社の役員に向く資質は3つある。
・問題解決至上主義(御託はいいから、即決して実行)
・複数の問題を同時処理(優先順位をつけてビシバシ)
・執念と覚悟(あきらめない、逃げない)
あと、代表取締役は未来を見通す力と強運が必要だ。このような資質は、幸いなことに、早い段階でわかる。「栴檀(せんだん)は双葉より芳(かんば)し」というではないか。意味するところは、栴檀(香木)は双葉の頃(発芽)から香気を放つように、大成する人は幼い頃から表に出る。これらの資質は個人差の方が大きいから、男女の区別なく、早期に候補者を選び最短距離を歩ませる。それが、会社にとっても社員にとってもハッピーなのだ。
でも、それって「能力差別」では?
ですよね、否定はしません。でもベンチャーは、ジャンボジェット機を地上50メートルで操縦するようなもの。「最適化」以外に生き残る術はない。
一方、大手企業でも、女性役員の登用が始まっている。これまでも、女性を社外取締役に登用する会社はあった。ただし、メディアの露出が多い有名人、つまり、タレント議員と同じ客寄せパンダ(失礼)。ところが、この2年で女性の社内役員が1.6倍に増えたという(日本経済新聞社と企業統治助言会社プロネッドの共同調査)。社内役員は、実力で登り詰めた生え抜きが多い。客寄せパンダではなく、実力を評価された女性役員だ。というわけで、女性差別は確実に減りつつある。
でも、男性諸氏は大変ですよ。ライバルが一挙に2倍になるのだから。
by R.B