BeneDict 地球歴史館

BeneDict 地球歴史館
menu

スモールトーク雑記

■新型コロナ・検査拒否がまかり通る日本 2020.02.14

中国で発生した新型コロナウイルスが、猛威をふるっている。

起きたことはしかたがない。問題は今後の対応だ・・・ところが、日本政府の対応は、あまりにも酷い。

たとえば、武漢から帰国した政府チャーター便。検査を拒否した帰国者を、そのまま帰宅させたという。政府のコメントは、ムリヤリ検査すると人権侵害になる。

アタマ大丈夫!?

未知のウィルスに感染した可能性のある人間を、人口密集都市に放つ、驚くべき愚かさ。

しかも、新型コロナウィルスは、ワクチンも治療法も見つかっていない。一体、どれだけのリスクがあるかわかっているのだろうか。

そもそも、「検査を拒否する人権>パンデミック(感染爆発)の脅威」って、どういうこと?

物事の優先順位もつけられない?

パンデミックの恐ろしさを知らない?

1918年に世界で流行した「スペイン風邪」は、感染者5億人で、約1億人が死んだ。死者の数は、第二次世界大戦の犠牲者に匹敵する。しかも、世界の人口がまだ18億人の時代。ところが、今は78億人、しかも、国際化がすすみ、人間の接触機会は1918年とは桁違い。こんな状況で、同じことが起きたら・・・

危機意識の低さに驚くばかりだ。それが政治家、国のリーダー?

政治家ばかりではない。TVに出る専門家ものんきなものだ。

先日、TVで専門家が、こんな発言していた。

「発症していない人から感染することはまれなので、神経質になりすぎないように」

はぁ?

今回の新型コロナウィルスは、潜伏期間中も感染することがわかっている。ニュース観てないの?

ほんとうに専門家?

さらに気になるのが、専門家・識者の口グセ・・・日本は感染者が少ない。

検査してないから少ない、と考えたことはないのだろうか?

今、日本は、新型コロナウィルスの検査を受けるには、条件がある(2020年2月)。

1.武漢への渡航歴があること(今は湖北省まで拡大)。

2.37度5分以上の熱と、呼吸器症状があること。

等々。

問題は、これらが「or(または)」ではなく、「and(かつ)」であること。つまり、条件がすべてそろわないと、検査してもらえないのだ。

ところが、すでに、日本人から日本人への感染が確認されている。武漢とか湖北省とか中国とか言っている場合ではないのだ。

つまりこういうこと。

日本は、「感染者が少ない」のではなく、「少なく見える」だけ(検査ができてないから)。すると、必ずこんな反論が出てくる。検査体制が整っていないから仕方がない。

だから?

話はそこではなく、感染者はもっと多い、その感染者が人混みに紛れ込んでいる。だから、今後の対策は「感染者はもっと多い」を前提にすべき、と言いたいのだ。

「感染者はもっと多いはず」の理由はまだある。検査が陰性でも、その後発症する例もあるのだ。2月11日、厚生労働省の発表によれば、武漢から政府のチャーター機で帰国した日本人男性2人が、新たに感染が確認された。2人は、帰国直後の検査で陰性だったが、その後発症し、再検査で陽性と判定されたという。しかも、1人は自宅で待機中だった。

自宅待機!?

家族は感染してない?

帰宅した経路で感染してない?

つまり、現在の感染者は氷山の一角なのだ。

専門家や識者でなくても、わかることがある。

未知のウィルスが発生したら、「封じ込め」と「隔離」がすべて。さもないと、パンデミック(感染爆発)になるから。14世紀のペスト流行では、全世界の人口の1/4~1/3が死んだ。ただし、ペスト流行はこの時だけはない。他の時代でも何十回もおきているのだ。

為政者は歴史から学ぶべきだろう。経験から学ぶのは子供でもできる。知名度と見てくれで、議員を選んでいる場合ではないのだ。

じつは、政府はもっと重大な誤ちを犯している。

彼らの口グセ・・・過剰な反応をせずに、全体をみてバランスをとって対応していく。

風評被害で経済が落ち込まないように?

この場におよんで、まだ金儲けかよ。

中国が感染の「封じ込め」に失敗したことは明らかだ(誰も言わないけど)。感染は、中国全土にまんべんよく広がり、封鎖される都市が増え続けている。首都の北京も、巨大経済都市の上海も機能停止。

中国のような強権発動ができる国でさえ、この有様なのだ。「検査拒否して帰宅」が許される間抜けな国なら、どれだけ感染が拡大するかわからない。こんなカンタンなロジックも描けないのだろうか。こうすればこうなる、のタダの2段論法。想像力が欠落している、なんて上等な話ではない。

政府は、危機管理の常識がスッポリ抜け落ちている。非常事態では、最悪のケースを想定し、なりふりかまわず・・・は民間企業の常識。それを怠って、稚拙な対策を小出しにして、破綻した企業も少なくない。政治も軍事も同じ。中国政府は、他の国では絶対ムリな強権発動しても、今も封じ込めていない。この現状を、事実として受けとめるべきだ。

ところが、日本は、冷静に対応しよう、過剰反応してはいけない。

過剰に反応すれば!

最悪に備え、ヒト・モノ・カネをかける。それで、何事もなければ、いいではなか。失うのは、モノ・カネですむから。一方、大事になれば(パンデミック)、大勢の人間が死ぬ。モノ・カネとヒトの命とどちらが大事?

われわれは、それを2011年の「東日本大震災」で学んだ。

2011年3月11日、遡上高14m~15mの津波が防波堤を突破し、福島第一原子力発電所を襲った。全電源が喪失し、メルトダウン、あれだけの大惨事を引き起こしたのだ。対応に要する費用は約80兆円。最悪の津波を想定して、防波堤をもう少しだけ、高くすればよかったのだ。その方がどれだけ安くついたか。どれだけの人命が救われたか。

滅多に起こらないが、いざ起こると、壊滅的被害をもたらす、これをブラック・スワンという。つまり、ブラック・スワンなら、ケチらず万全の準備をする方が得。そんなこともわからない?

日本は、戦後、安穏の中で暮らしてきた。戦争も紛争もなく、米国の核の傘のもとで、金儲けに精を出していればよかった。そんな生ぬるい環境が、人間を狂わせたのだろう。

ではどうしたらいいのか?

非常事態では、明敏な人物に指揮を任せるべきだ。

たとえば、ウィルス学が専門の東北大学の押谷教授。2003年のSARSのときに、WHOの最前線にいた研究者だ。押谷教授の発言や記事は、豊富なデータと確かなロジックに裏付けされている。何が言いたいのかサッパリの御用学者や、TVによく出るウンチク系専門家とは一線を画す。やはり、現場を経験した人は強い。

彼の主張を要約すると・・・

・中国以外で最初に感染拡大するのが日本になる可能性は十分ある。すでに、感染連鎖が成立している可能性もある。それが、ある日突然、顕在化する(的中すると確信している)。

・日本政府は、湖北省滞在の外国人の入国を拒否するなど、水際対策を強化しているが、今となっては遅すぎる(検査拒否を許すのは論外ですね)。

・今回の感染症は人類が経験したことのない、まったく新しいタイプの呼吸器ウイルスによる感染症だ。今夏の東京五輪までに収束している可能性は低い(恐ろしい話をしている)。

押谷教授が描く未来は、他の専門家が描く未来より「暗い」。だが、どちらが的中するか重要ではない。「暗い未来」を想定して、対策を打つしかないのだ。パンデミックはブラック・スワンなのだから。

《つづく》

by R.B

関連情報