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スモールトーク雑記

■2016年の鳥瞰図2・英中黄金時代 2016.03.05

天国のしもべより、地獄の支配者の方がいい!

なんて、連中がいるから、戦争がなくならないのだ。

その一方で・・・

みんな仲良しこよし、貧しいながらも楽しい我が家!

なんて、連中がいるから、「オレ様」が世界を支配してやっているのだ。だって、そうだろう。地球は「ダーウィンの法則」が支配する世界。弱肉強食、適者生存なんだからね~

どっちが本当?

は、重要ではない、見る角度が違うだけ。

では、何が重要?

世界の指導者のほとんどが「地獄の支配者」派だということ。

いわば、究極の「オレ様」で、こんな連中が国を率いて、国益を追求しているのだから、戦争がおこるのはあたりまえ。

もちろん、非難しているのではない。やらないと、やられるから。

たとえば・・・

尖閣諸島の資源と軍事的重要性に気づいた中国は、自国領土だと主張し始めた(わかりやすい)。そこで、平和主義に徹して、どーぞどーぞ、なんて気前のいいこと言ってると、次は、「沖縄も中国領だよん」なんてことになりかねない(事実中国軍部にそんな主張がある)。つまり、譲ったら最後、丸取りされるのだ。

だから、日中尖閣戦争を恐れて、妥協してはならない。妥協したが最後、つぎは沖縄、さらに、九州もプレゼントするハメになるから。もっとも、中国は核兵器を使うことに躊躇しないから、一気に、日本本土にリーチをかけるかもしれない。

というわけで、人類1万年の歴史は内紛、争乱、戦争・・・血にまみれている。

そして、2016年、新たな火種が生まれようとしている。世界のパワーバランスが崩れようとしているのだ。

戦後のパワーバランスをみてみよう。

1945年、第二次世界大戦が終結すると、「米ソの2極体制」がはじまった。その後、1991年、壊し屋「ゴルバジョフ」がソ連を解体し、「米国の1極体制」が確立した。

やっと、対立の時代がおわり、これからは、「パクス・アメリカーナ(アメリカによる世界平和)」がはじまると喜んだ矢先、2008年、サブプライムローン&リーマンショックが勃発。震源地の米国は大打撃をうけ、相対的に、中国の存在感が増した。

それをみた一部の識者は「米中の2極体制」到来とぶち上げたが、そうはならなかった。

パワーバランスが、ガラガラと音を立てて崩れ、一気に「多極体制」へ・・・

多極体制?

早い話がバラバラ。

まず、米国と英国の関係が悪化している。これまで、いつでもどこでもいっしょ、究極の仲良しだったのに。

たとえば・・・

20世紀初頭、満州鉄道の利権を外相の小村寿太郎に阻止された米国は、日本を深く恨んだ。そこで、英国に圧力をかけて、「日英同盟」の延長を破棄させたのである。

さらに、ルーズベルトは、まともな主権国家なら絶対に呑めない条件を日本に突きつけ、日本に先に銃を抜かせ、太平洋戦争を引き起こした。その後、米英は手に手を取って、ドイツと日本を屈服させたのである。

戦後も、米英の蜜月はつづく。

2003年に、米国がひきおこしたイラク戦争も、世界の非難をあびながら、英国は米国に加担した。

ところが・・・

2015年3月、英国は、米国の反対を押し切って、中国主導の「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」への参加を表明した。すると、われもわれもと、57もの国がAIIBの参加を表明したのである。その中には、親米国のオーストラリア、韓国、イスラエルまで含まれていた。米国のポチに徹したのは日本ぐらい・・・

というわけで、英国のせいで、米国の面目は丸つぶれ。

くわえて、

2015年10月、中国の習近平・国家主席が訪英すると、英国政府は下にもおかない「おもてなし」ぶりだった。バッキンガム宮殿で開催された晩さん会では、キャサリン妃が中国の象徴「真っ赤な」ドレスを着て歓待した。一方、キャメロン首相は「英中黄金時代」という気恥ずかしい言葉で、蜜月時代の到来をアピールした。もちろん、米国は面白くない。

さらに、

2015年12月、英国は再び米国を裏切った。中国・人民元をSDR構成通貨にする運動を主導したのである。SDR構成通貨になれば、国際通貨としての扱いをうける(現在は米ドル、ユーロ、日本円、英ポンド)。

もっとも、SDR構成通貨というだけで、特別優遇されるわけではない。まぁ、勲章のようなもの。とはいえ、米国は面目丸つぶれ。

AIIB、真っ赤なドレス、SDR構成通貨・・・英国の中国への「おもてなし」は尋常ではない。

人権問題とチベット問題で、中国を非難した人道主義国家はどこへ行ったのか?

「太陽の沈まぬ国」といわれた誇り高き大英帝国はどこへ行ったのか?

世の中、カネカネカネ、背に腹はかえられません~

ただし、カネといっても単純な話ではない。

現在、英国は「EU離脱か残留か」でもめている。

EUは「欧州連合」だが、実質は「ドイツ帝国」。刃向かえるのはフランスぐらい。というのも、フランスは物騒な原子力発電所をたくさんこさえて、電力をドイツに供給している。

ドイツが、

「原発反対、我が国はエコです!」

とカッコつけられるのは、ひとえにフランスのおかげ。

だから、英国は「EU=ドイツ帝国」が面白くない。これには、英国の対ヨーロッパ戦略も深くかかわっている。

歴史的に、英国のヨーロッパ大陸の戦略は一貫している。

「ヨーロッパ大陸が1つにまとまらないようにする」

19世紀、フランスのナポレオンがヨーロッパ支配にのりだすと、英国はドイツ(当時はプロイセン)とくんで、フランスを打ち倒した。

ところが、20世紀、ドイツのヒトラーがヨーロッパ支配にのりだすと、今度は、フランスとくんで、ドイツに対抗した。ところが、フランスは1ヶ月で降伏したので、仕方なく米国を引きずり込んで、勝利した。

つまり、英国は、ヨーロッパ大陸に、統一勢力が誕生するのを何より嫌う。

その元凶がEUなのだ。

ここで、2014年の世界のGDPを見てみよう(単位は10億USドル)。

1位:アメリカ(17,348.08)

2位:中国(10,356.51)

3位:日本(4,602.37)

4位:ドイツ(3,874.44)

ところが、「EU」でみると「18,527.12」・・・なんと、米国の上!

つまり、こういうこと。

ドイツは、単体では世界第4位だが、「EU」という経済圏でみれば世界第1位。英国が警戒するのはあたりまえ。EUのメンバーであるかぎり、ドイツの風下に立つのは避けられないから。

そもそも、ドイツは歴史的にみて強国だ、とてつもなく。

常に、ヒト・モノ・カネの劣勢を、テクノロジーと創意工夫でカバーしている。

たとえば、第二次世界大戦。

ノルマンティー上陸作戦で、ドイツの「タイガー戦車」と米国の「M4シャーマン戦車」が対戦した。そのとき戦った米軍兵士の証言によると・・・

タイガー戦車が1両破壊されると、M4シャーマン戦車は3両から5両が炎上していた。つまり、4倍の戦力差があるわけだ。

また、米国が究極のレシプロ機「P-51ムスタング」で得意になっていた頃、ドイツは成層圏を突き抜ける史上初の大陸間弾道ミサイルを完成させていた。

これが「V2ロケット」で、最大射程距離320km、最高高度93km(成層圏の上)、マッハ3・・・探知不能、迎撃不能、10年未来をいく超兵器だった。

同時期、ドイツのテクノロジーと肩を並べるのは米国の「マンハッタン計画(原子爆弾)」ぐらいだろう。

ドイツ恐るべし。

かつて、地政学の父、ハルフォード・マッキンダーはこう主張した。

「東ヨーロッパを支配するものがハートランドを支配し、ハートランドを支配するものが世界島を支配し、世界島を支配するものが世界を支配する」

ハートランドとは、ユーラシア大陸の心臓部をさす。かつて、この地をめぐって、ナチスドイツとソ連は死力を尽くして戦った。それが、第二次世界大戦の独ソ戦で、史上最大の陸上戦として知られている。

ドイツはこの戦いに敗北し、その後、米国・英国・ソ連軍に攻め込まれ、本国は焦土と化した。

ところが、その後、めざましい復興をとげ、東西ドイツを統一し、EUを巧みに利用して、米国と肩を並べる輸出額を誇っている(日本の2倍)。まるで、フェニックス(不死鳥)ではないか。英国がEUを毛嫌いするのは当然だろう。

ところが、英国のEU離脱には、1つ問題がある。

英国ポンドの下落が避けられないこと。経済力では、

EU >> 英国

だから。

ポンド安なら、英国の輸出は増えるはずだが、そうはならないだろう。日本の円安、韓国のウォン安をみてもわかるが、最近、通貨安は輸出増に貢献しないのだ(他の要因の方が大きい)。

逆に、ポンド安なら、輸入物価は確実に上がる。市民生活は苦しくなるし、経済的なメリットはほとんどないだろう。

というわけで、英国のEU離脱の条件として、力の背景が必要になる。現在のところ、米国か中国か?

ではなぜ、英国は中国を選んだのか?

話はカンタン。

もし、米国に冷たくしても、長年の付き合いがあるから、最悪にはならない。逆に、米国にすり寄ったら、中国を完全に敵に回すので、最悪。

ゆえに、中国と仲良くした方が得。

さらに、あと10年で、中国は米国を追い抜く。それなら、今のうちにつばをつけておいた方が得。

というわけで・・・

2016年6月の英国の国民投票で、EU離脱が決まれば、英国には信念も戦略もある!

逆に、残留なら、10年後どうなろうが知っちゃいねぇ~、目の前の生活が大事!

つまり、6月の国民投票は英国の試金石でもあるわけだ。

20世紀初頭、ヨーロッパでこんな格言が流行した。

「生まれてくるなら英国人、でも、米国人も悪くはない」

さて、英国はその栄光を取り戻せるだろうか。

《つづく》

by R.B

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