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スモールトーク雑記

■2016年の鳥瞰図1・金融市場は大荒れ 2016.02.27

年明け早々、世界は、政治も経済も大荒れだ。

裏で何か起こっているのかな?

とカンぐりたくもなる。陰謀好きな人はたまりませんね。

そういえば、1960年代、学生運動が世界を席巻したとき、フランスのド・ゴール大統領はこんな迷言をはいたものだ。

「裏で何か世界的陰謀があるに違いない。でないと、こんなことがおこるはずがない」

あの石頭のド・ゴールが妄想癖?

これはビックリだ。

ド・ゴールは軍人出身で、第二次世界大戦中、戦車の活用に気づいたのはいいが、中途半端で、ドイツ軍にボコボコにされた。戦車は「歩兵の盾」という既成観念から抜け出せなかったのだ。

一方、ドイツのグデーリアン将軍は、戦車の画期的な運用方法を思いついた。「電撃戦」である。高速の戦車を、低速の歩兵から分離し、単独で敵陣の背後まで突進し、その後、大回転して包囲殲滅する。結果、フランスはわずか1ヶ月でドイツに征服された・・・おっと、話はそこではない。

ド・ゴールが生きていたら「陰謀論」をもちだしてもおかしくない状況だということ。

まずは経済から。金融がなんかおかしい。

もともと、金融はカネがカネを生む、詐欺師のような世界だが、今の金融はそれどころではない。アウターリミッツかトワライトゾーンか?

とにかく、つじつまが合わない。30年以上、投資をしてきたが、こんなメチャクチャは初めてだ。

ことの始まりは、2015年12月の米国の利上げ。

米国の中央銀行・FRBが、政策金利を「0~0.25%」から「0.25~0.5%」に引き上げたのだ。7年も続いたゼロ金利政策をやめたのである。

ゼロ金利?

カンタンにいうと、貯金しても利息がつかない、借金しても利息を払わなくていい。どう考えても異常だ。もちろん、不自然なことには理由がある。

事の発端は、2008年のリーマンショック

100年に一度といわれた金融危機で、銀行間金利が急騰した。「信頼と安定」がウリの銀行が、お互いに疑心暗鬼におちいり、貸し渋ったのである。このままでは、1929年の世界大恐慌の再来・・・

そこで、FRBは資金不足で恐慌がおこるのを防ぐため、大規模な金融緩和を行った。大量のおカネをバラまき、金利をゼロにして、おカネを借りやすくしたのである。

とはいえ、ゼロ金利はどう考えても異常だ。そこで、FRBは、2015年12月、経済指標が好転したのを確認して、金利を上げたのである。

そしたら・・・

いきなり、米国株が急落。

それにつられて、ヨーロッパも日本も新興国も株価が急落。ついでに、中国・上海株も急落したが、こちらは「ゼロ金利」のせいではない。その前から暴落していたから(バブル崩壊)。

ではなぜ、株価は急落したのか?

金利が上がれば、預金金利も上がる。それなら、リスキーな株を買うより、安全で利息のつく銀行預金の方がいいかも・・・その結果、株から預金へ資金移動が起こったのである。だから、株価は下がってあたりまえ。

一方、金利を上げたのは景気が好転したからで、これだけみれば、株価は上がるはず。であれば、目先株価は下がってもすぐに持ち直す、と踏んでいたのだ。ところが、現実は、株価は下がりっぱなしで、すでに20%も下落している。FRBにとっては想定外だっただろう。

さて、ここからが問題。世界同時株安よりもっと深刻な問題があるのだ。

新興国の資金が米国に引き揚げられていること。

これまで、大量の資金が新興国に投入されていた。米国金利がゼロなので、米国に投資してもうまみがない。そこで、高利回りを求めて、BRICs諸国を始め新興国に資金が流れこんでいたのである。

ところが、米国金利が上がると・・・

アブナイ新興国(失礼)に投資するくらいなら、安全な米国に投資する方がいい。そこで、新興国から資金の引き揚げが始まったのである。

それで何がおこる?

新興国から米国に資金が移動すると、(新興国の)自国通貨が売られ、ドルが買われる。売られるものほど安く、買われるものほど高くなるから、自国通貨は下落する。

そうなると、輸入物価が跳ね上がるので生活が苦しくなる。一方、輸出価格が下がるので輸出量は増えるが、自国通貨の下落分ドル建ての手取りは減る。だから、急激な通貨安は国を破綻させる可能性がある。それが現実になったのが、1997年のアジア通貨危機だった。

さらに、新興国から資金が逃げ出せば、国内が資金不足になって不況になる。

そこへもって、資源価格の暴落だ。原油だけなく、金属、穀物まで下落している。BRICs諸国のように、資源の輸出におんぶにだっこの国は泣きっ面にハチだ。とくに、原油にあぐらをかいて、製造業を育てなかったロシアは目も当てられない。原油価格がピーク時の1/5まで落ち込んだのだから(どーするの?)。

もちろん、米国にしてみれば、これは想定内。よその国のことなど、知っちゃいねぇ~(どこの国も同じだが)。

ところが、日本にとって想定外があった。

米国が利上げすれば、日米の金利差が開く。金利の高い方に投資するのはあたりまえ。だから、ドルを買って、円を売る圧力が高まる。つまり、ドル高円安だ。

ところが、現実は真逆のドル安円高。

あわてた日銀・黒田総裁は、日米の金利差を広げようと、禁断のマイナス金利に踏み込んだ。

マイナス金利?

民間の銀行は、日銀に当座預金をもっていて、そこにおカネを預けている。もちろん、利息はつく。ところが、マイナス金利になると、利息をもらうのではなく払うことになる。

そんなアホな!

なのだが、世界的にみて珍しくはない。

そこで、何が起こるか?

銀行はバカらしいので、日銀の当座預金から資金を引き揚げて、融資や投資にまわす。これで、景気は上向く・・・と日銀は期待したわけだ。

ところが、融資はゼンゼン増えていない。マネーサプライ(一般企業や個人の通貨量)が増えていないからだ。

なぜか?

大企業の資金は潤沢で、無借金の企業も珍しくない。さらに、資金調達が、融資から株式市場、債券市場(社債)にシフトしている。つまり、融資の需要が減っているのだ。いくら金利が安いからといって、ムダにカネを借りるバカはいない。さりとて、吹けば飛ぶような中小企業(失礼)に融資したくない・・・

それなら、バブル期のように、不動産や株に投資する?

まずは不動産・・・

当地、金沢は「新幹線開通」という特殊事情があって、地価もマンション価格も上がっている(ただし駅前だけ)。東京のマンション価格も上昇しているが、人件費と材料費が上がった分上乗せしているだけ。ところが、その高値で売れているわけではない(契約率は激減)。価格が上がっても売れなければ、何の意味もない。だから、不動産市場に資金が流入しているわけではないのだ。

では、株式市場は?

年初から下落が続いている。

考えてみれば、おかしなことばかり??

米国金利>日本金利

なら、円安ドル高なのに、現実は、円高ドル安。

マイナス金利なら、預金は融資か投資に向かうはずなのに、そうはなっていない。

一体どうなっているのだ?

では、エコノミストに聞いてみよう。こんなときのためのエコノミストなのだから。

ところが、そのご高説たるや・・・

とってつけたような、その場かぎりの、こじつけばっかり。しかも、さすが専門家ですね~と言われたいのか、やたら、ディテールにこだわる。結果、ますますわからなくなる。状況が複雑なときに、ディテールにこだわると、木を見て森を見ずで、真実が見えなくなるのだ。

では、どうすればいい?

木を見ず森を見る。

たとえば・・・

なんで、株価が下がる?

なんで、ドル安円高になる?

理屈に合わないぞぉ~!

相場を決めるのは「理屈」ではありません。

そのわかりやすい例が「フラッシュ・クラッシュ」だ。フラッシュのようにクラッシュする、つまり、金融市場で価格が短時間で急落すること。

たとえば、2010年5月、ニューヨーク・ダウ平均が数分間で9%(1000ドル)下落した。史上最大の大暴落が、たった数分間で起こったのである。もちろん、数分で実体経済が9%も悪化するわけがない。

さらに、2013年4月にも、フラッシュ・クラッシュが起こっている。

では、なぜこんなおかしなことが起こるのか?

2015年5月のフラッシュ・クラッシュは、ヘッジファンドが出した大口売り注文で先物価格が急落、「ボット(bot)」がそれに追随して、売りの連鎖が起こった(らしい)。

ボット?

金融市場で売買注文をだすコンピュータのこと。じつは、現在、金融市場の取引はほとんどコンピュータが行っている。このように、コンピュータを使った金融市場の高速売買を「HFT(High Frequency Trade)」とよんでいる。

 また、2015年5月のフラッシュ・クラッシュは、AP通信のTwitterのデマ情報、

「ホワイトハウスで爆破あり、大統領が負傷したもよう」

を鵜呑みにしたボットが売りを浴びせた(らしい)。

なんで、らしい?

ボットが何を根拠に判断したか、人間にはわからないから。

金融市場の取引で使われるコンピュータは、人間の脳を模倣したニューラルネットというテクノロジーが使われている。じつは、これがくせ者なのだ。

というのも、中味はブラックボックス・・・中で何が起こっているか、設計者にもわからない。脳のニューロン(神経細胞)を観察しても、何を考えているかわからないと同じ。しかも、この神秘のコンピュータは学習機能を備え、日々進化しているのだ。

おいおい、そんな得体の知れない化け物に、金融を任せるなよ!

なのだが、時すでに遅し。

金融市場の90%を人工知能(AI)がすでに支配しているから。

最近は、「人工知能(AI)」にくわえ、「フィンテック(Fintech)」もよく聞く。Fintechとは「Financial technology」の略語で、ITを駆使した金融技術のこと。ところが、実際は、そんな生易しいものではない。最強の人工知能というか、「未来予測マシン」なのだ。

未来予測マシン?

じつは、金融のキモは「未来予測」にある。失敗すれば、大損こくから。もちろん、金融の世界で「損」は最大の罪悪。だから、いかに正確に予測するかが重要なのだ。

では、金融の未来はどうなる?

エコノミストは呪文のように「円高ドル安」をとなえている。理由は、年明け早々そうだし、今もそうだから。つまり、今の延長で考えているわけだ。事実、「円安ドル高」を予測するエコノミストはほとんどいない。

ここで、基本に立ち返ろう。重要なルールがある。

為替レートに影響を与える最強の要素は「経済のファンダメンタルズ」。具体的には次の3つ・・・

1.人口

2.資金量

3.イノベーション

先進国で、唯一、人口が増えているのは米国。世界中の資金が集まるのは米国。イノベーションが生まれるのも米国。しかも、軍事力は世界最強ときている。つまり、政治、経済、軍事で無敵なわけだ。日本なんか逆立ちしてもかなわないですよね。

現在、円高の理由として、必ず出てくるのが「リスクオフ」。市場が弱気になって安全資産に向かう状況では、円が買われるというのだ。つまり、リスクに強い「日本円」。これは笑える。軍事力が弱い国が、どうしてリスクに強いのだ?

アメリカのドルが、基軸通貨(事実上の世界貨幣)として認められているのは、経済力にくわえ、圧倒的な軍事力があるから。アメリカが戦争に負けて国が滅んだら、ドルは紙くずになる。「紙くずになるかも」通貨が基軸通貨になるわけがない。

では、日本円は?

リスクに強いとは言えない。

たとえば、日朝戦争がおこったら?

北朝鮮がテポドンを、偶発的だろうが意図的だろうが、日本本土に打ち込めば、日本の脆弱さ(リスク)が露呈する。さらに現実味のあるのは、日中尖閣戦争。中国が尖閣諸島を占領すれば、次は沖縄、日本本土も占領されるかも・・・その瞬間、円は暴落する。日本が中国・日本省になれば、日本の通貨「円」は紙くず同然になるから。つまり、金満大国でも、軍事力のない国はリスクに強いとはいえないのだ。

でも、「リスクオフ」って金融の話では?

ノーノー!

日朝戦争と日中戦核戦争のシミュレーションでわかるとおり、金融と戦争は根っこでつながっている。

だから、エコノミストの解説に惑わされてはいけない。そもそも、彼らがよりどころにする「経済学」からして怪しい。厳密には「学問」とはいえないのだ。どちらかというと「社会学」か「文学」か・・・は言い過ぎかもね。

だって、そうではないか。

経済学で金融の未来を予測できる?

ニュートン力学のように弾道を予測できる?

ムリ。

ニュートン力学は、膨大な観測データで裏付けされたケプラーの法則から、水も漏らさぬ数学で導き出された神の方程式。奇人変人天才ュートンだからできた離れ業なのだ。

ところが、経済学は、一見ナルホドなのだが、アバウトで厳密性に欠ける。しょせんは、絵に描いた餅。一時期、「経済学は死んだ」といわれたが、ナットク。

しかし・・・

悪いのは、エコノミストではない。受け入れる側のマスコミ、世間に問題があるのだ。

というのも・・・

エコノミストは分かるから答えるのではない。聞かれるから答えるのだ。

つまり、こういうこと。

金融市場は人工知能が支配している。だから、短期的には何がおこるかわからない。しかも、判断アルゴリズムはブラックボックスなので、後付けで説明することもできない。もちろん、1秒間に1000回、1万回も売買注文を出すコンピュータに、人間が勝てるわけがない。

では、どうすればいい?

短期的な値動きは気にしない。中長期的に判断すればいい。そのとき、役に立つのは、前述したルール。普遍的原理といってもいいだろう。

さて最後は、地味な金(Gold)でしめくくろう。

金とドルは二律背反の関係にある。片方が上がれば、片方は下がる、逆もまた真なり。歴史的に、金はモノの代表、ドルはマネーの代表として扱われてきた。

そのため、インフレになれば、モノの価値が上がるので、金も上がる。デフレになれば、マネーの価値が上がるので、金は下がる。

もう一つ、金にからむルールがある。

昔も今も、世界中の中央銀行は紙幣を刷りまくっている。だから、マネーの量は増える一方。ところが、地球の金の埋蔵量は、「20m×20m×20m」しかない。しかも、その75%がすでに産出されているという。つまり、伸びしろは25%。

というわけで、

マネーの量>>金の量

ゆえに、

マネーの価値<<金の価値

事実、米国が金ドル交換を停止し、「ドルの刷りまくり」を始動した1971年、金は1トロイオンス「100ドル」だった。ところが、2016年2月現在「1300ドル」。つまり、金の価値はドルの13倍になったのである。

というわけで、2016年の大混乱の中にあって、金(Gold)だけが、つじつまが合っている。金(Gold)は化学的に安定しているが、金融的にも安定しているのですね。

《つづく》

by R.B

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