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スモールトーク雑記

■機械仕掛けの神 2015.08.09

複雑な思いで、新規事業をスタートさせた。そう、本当に複雑な思いで・・・

これまでのサラリーマン人生は、新商品開発一筋だったが、始まりはいつも・・・これが作りたい!

でも、今回はそれはナシ。

じゃあ、何が動機かというと・・・

芥川龍之介は、自分の自殺の動機を、「僕の将来に対するただボンヤリした不安」と書き遺しているが、僕の場合は、「人類の将来に対するただボンヤリした不安」

つまり、「ボンヤリした不安」で、芥川は自殺し、僕は新規事業を始めたわけだ。

芥川と僕を同列に論じるつもりはないし、自殺するのも、事業を始めるのも同じ、なんて大それたことを言うつもりはないが、「不安」が大事の動機になることは確かだ。

もちろん、40人のベンチャー企業で、将来だの、不安だの、悠長なことは言ってられない。金を儲けてナンボの毎日。

ということで、今回の新規事業は、始まりは高尚な哲学だが、行き着くところは世俗の金儲け。つまり、この事業は、「金のなる木」なのである。

ところで、どんな事業?

もったいぶらずに告白しよう。

「デウス・エクス・マキナ(Deus ex machina)」

日本語で、「機械仕掛けの神」。

つまり、「神の領域」のコンピュータを開発しようというわけだ。

バチ当たり!ウソつき!と罵倒されそうだが、あながち、ホラ吹き男爵とも言えない(誰が男爵?)。

つまり、本当に作れるかも・・・

そして、そのことが、「人類の将来に対するただボンヤリした不安」となって、僕を悩ませているわけだ。

完成することが不安?

イエス!

だって、そうではないか。

もし本当に、「機械仕掛けの神」が完成したら、世界が一変してしまうかもしれない。人間の想像もできない異形の世界に。

なぜなら、その時、食物連鎖の頂点に立つのは、人間ではなく、「機械仕掛けの神」だから。つまり、世界を創るのは人間ではなくマシン(機械)なのだ。

地球46億年の歴史は、生物進化の歴史でもある。突然変異と自然淘汰の仕掛けで、アメーバーから人間にまで進化してきた。

その中で、最も成功した生物種は「恐竜」だろう。体をデカくして、腕力を極大にして、食物連鎖の頂点に立ったのだ。

ところが、6500年前、巨大な隕石が地球に衝突して、絶滅してしまった。代わりに、頂点に立ったのは、腕力を捨てて、知力を強化した人類。腕力から知力へ・・・45億年に一度のパラダイムシフトだった。

そして、地球の生物進化に、新たなブレイクスルーが起ころうとしている。「腕力→知力→無機物マシン」。

無機物マシン?

イエス!

有機生命体は、もろくて、腐りやすい。しかも、改良は、DNAベースのゆっくりとした「生物進化」で進む。ところが、無機物マシンは、丈夫で、耐久性があり、改良は、DNAではなくデジタルデータで瞬間進化!数百万年分の生物進化も、デジタル進化なら1秒もかからない。

だから、無機物マシンの圧勝は見えている。

そして、その無機物マシンの頂点に立つのが、「機械仕掛けの神(デウス・エクス・マキナ)」なのだ。

ところで、「機械仕掛けの神」はどんな姿形をしているのか?

じつは、雲をつかむような話・・・

無数のCPUコアからなる「コンピュータ・クラスタ」と、地球上に張り巡らされた数百億のセンサー端末「IoT(Internet of Things)」と、IoTからリアルタイムで入力される膨大な「ビッグデータ」と、ビッグデータでアルゴリズム(思考手順)を進化させる「機械学習」と、ビッグデータとアルゴリズムから、方針と作戦を決定する「人工知能」と、その決定に従い、現実世界を造り上げる「ロボット」と、・・・・・これらが、一つの意思によって統制されるもの、それが「機械仕掛けの神」なのである。

これは、従来のコンピュータの延長上にはない。スマホ、タブレットパソコンのような、人間の生活を便利にするツールではなく、自立した存在なのだ。

なぜなら、機械仕掛けの神は、機械学習でアルゴリズム(思考手順)を改良する能力をもつから。

では、その機械学習で、「我思うゆえに我あり」を学んだら?自我(エゴ)が芽生える。だから、人間の言いなりには決してならないのである。

たとえ、機械仕掛けの神に、「人間に危害を加えてはならない」と教え込んでも、機械学習で、「自分を停止できる唯一の存在が人間」に気づいたら、自己防衛本能に従って、人間を抹殺しようとするだろう。

自己防衛本能を削除すればいいって?

それはムリ。

自己防衛本能がないと、「学習」が成立しないから。

国家が富国強兵を推進するのは、他国の侵略を防ぐため。

人間が自己啓発に励むのは、競争に打ち勝つため。

つまり、国や個人を問わず、自己防衛本能こそが学習の原動力なのである。

というわけで、機械仕掛けの神は、最終的に人類を滅ぼすだろう。とはいえ、それが遠い未来の話なら・・・知ったこっちゃない。

ところが・・・

機械仕掛けの神が誕生するのは、2045年という説もある(「2045年問題」)。根拠は、「コンピュータは18ヶ月で2倍に成長する」そう、あの有名なムーアの法則だ。

ちなみに「2倍」の内容だが、部品数、処理能力、コストパーフォーマンスと、けっこういい加減。でも、大枠は間違っていない。コンピュータは「18ヶ月で2倍進化」する、と考えればいいのだから。

つまり、「人類の将来に対するただボンヤリした不安」が動機となって、新規事業「機械仕掛けの神」をスタートさせたわけだ。

不安だから、その世界に身を投じる?意味が分からない!

話はカンタン、何が起こっているか分からないまま、死にたくないから(マシンに殺されたくない)。

そして、できるなら、人類を救いたい!アタマ大丈夫かって?ゲームの中なら、いつも世界を救ってます!

冗談はさておき、機械仕掛けの神に対抗できるのは機械仕掛けの神のみ。では、人間に味方する機械仕掛けの神はどうやって作るのか?

強力なマシンには、アルゴリズム(思考手順)を進化させる機械学習が欠かせない。ところが、それを許せば、人間が脅威であることに気付いてしまう。

では、どうすればいいのか?

新しい哲学を作ればいい。

「マシンを脅かす最強の敵が人間」を認めた上で、「人間は守るに値する」と認識する哲学!

そんな哲学、ムリ?

じゃあ、その哲学を、マシンに発見させればいいのだ。うまくいったら、ノーベル平和賞もんですよ。

というわけで、誰か挑戦しませんか?

by R.B

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