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週刊スモールトーク (第411話) 金融の未来(4)~株価暴落と世界戦争~

カテゴリ : 戦争社会経済

2019.01.05

金融の未来(4)~株価暴落と世界戦争~

■金融の2つの顔

「金融」には表と裏の顔がある。

表は「金貸し」、裏は「世界の破壊者」。「世界の破壊者」とはおだやかではないが、証拠もある。

もし、歴史年表から1929年の「世界恐慌」が消えれば、1939年の「第二次世界大戦」も消える。年表で確認しよう。

①1928年、ナチ党がドイツの国政選挙で12議席を獲得(第9党)。

②1929年、ウォール街株価大暴落(世界恐慌が始動)。

③1930年、ナチ党が国政選挙で107議席を獲得(第2党)。

④1932年、ナチ党が国政選挙で230議席を獲得(第1党)。

⑤1933年、ナチ党が政権獲得(ヒトラーが首相に就任)。

⑥1934年、ヒトラーの「東方生存権の拡大(ロシア征服)」が始動。

⑦1939年、第二次世界大戦勃発。

吹けば飛ぶような零細政党が、世界征服にリーチをかけた驚くべき記録だ。まず「①→②→③」に注目。「②ウォール街株価大暴落」を境に、ナチ党が「①12議席」から「③107議席」へ、5年後には「⑤政権獲得」!

これがどれほど「ありえない」か、日本の選挙にあてはめてみよう。

2017年10月の第48回総選挙で、日本共産党が「12議席」を獲得した。その5年後に日本共産党が政権をとるようなもの。奇跡の大躍進!とはしゃいでいる場合ではない(日本共産党を蔑むものではありません)。

冷静に考えてみよう。

「5年間で、第9党から政権政党」は、サイコロを10回振ったらすべて「1」が出るようなもの。ラッキーとか奇跡のたぐいではない。何か原因があるのだ。サイコロなら「1」がでる仕掛けとか。

では、「ヒトラー政権」の原因は「1929年の世界恐慌」?

「年表(データ)」からはそう見えるが、イギリスの寓話「哀れな七面鳥」の疑いもある。因果関係を決定づけるのは、データの並びだけでは不十分なのだ。原因と結果をつなぐ強固なロジックが必要だ。

では、「世界恐慌→ヒトラー政権」をつなぐロジックは?

1929年10月24日、米国ウォール街の株式市場が大暴落した。金融不安が炸裂し、金融資産のメルトダウンがはじまった。預金の取り付け騒ぎ、銀行の連鎖倒産、企業の倒産・・・未曾有の大不況が世界を襲った。歴史上有名な世界恐慌である。唯一、社会主義のソ連だけが難を免れたが、ドイツは悲惨だった。

この頃のドイツは「ヴァイマル共和国」である。民主主義の理想とまでいわれた「ヴァイマル憲法」を礎にしていたが、国内は大混乱だった。これには理由がある。

1919年6月、ドイツは第一次世界大戦で敗戦し、屈辱的なヴェルサイユ条約を強いられた。植民地はすべて没収、軍備は警察程度に制限され、莫大な損害賠償を課せられた。あげく、大工業地帯のルール地方をフランス軍に占領され、モノが作れない。深刻なモノ不足が続き、人肉缶詰のウワサが流れるほどだった。食うや食わず、夢も希望もない、暗い世相・・・

そんな中、アドルフ・ヒトラーが「ドイツ・ファースト」をかかげ、颯爽と登場したのである。

ヴェルサイユ条約を破棄する!

損害賠償金は1マルクも払わない!

失業者をゼロにする!

栄光のドイツ帝国を復活させる(ドイツ第三帝国)!

心地よい響きだ、地獄から逃れるにはこれしかない、そう信じた国民はナチ党に投票した。ドイツは伸るか反るかで、「ヒトラー政権」にかけるしかなかったのだ。選択肢が一つなら「世界恐慌→ヒトラー政権」は究極の必然である。

もし、世界恐慌がなければ、ナチ党は絶対に政権をとれない。ヒトラーはお騒がせ政治家で終わっていただろう。その場合、第2次世界大戦も起きない。イギリス、フランス、イタリア、誰も戦争を望んでいなかったから。

ヒトラー内閣誕生」の歴史は小説のように面白い。ところが、その先に待っていたのは「大破壊と大量死」だった。第二次世界大戦で数千万~1億人が死んだのである。

つまり、金融の裏の顔は「世界の破壊者」。2008年のリーマンショックで、そうならなかったのは、国の指導者たちが「並」だったからだろう。

■金融は資本主義のゴミ溜め

ではなぜ、金融は世界を破壊する力をもつのか?

金融は「資本主義のゴミ箱」だから。

資本主義経済の不都合が積もり積もって、行き着く場所が「金融」なのだ。だから、ねじれエネルギーがハンパない。溜まり溜まったマグマのようなもので、一旦、噴き上げたら、タダではすまない。

そのプロセスを詳細にみてみよう。

1929年のウォール街大暴落の前に、米国の経済はおかしくなっていた。誰もが、好況は永遠に続くと信じて、イケイケドンドン、モノを作りすぎたのだ。結果、「生産量>>消費量」になり、倉庫には不良在庫が積み上がっていた。一方、「幻想の好況」で生まれたマネーが株式市場に流れ込み、NYダウ平均は6年で5倍に。どう考えても異常である。6年で、実体経済(GDP)が5倍になるはずがないから。

つまりこういうこと。

フェイクな好況が生み出したフェイクなマネーが「金融資産=借金」を増やし続けていたのである。もちろん、借金は永遠に増え続けることはできない。いずれ返済できなくなるから。これが「金融は資本主義のゴミ箱」のゆえんである。

ところが、最近、金融は単独で悪さをする。

その象徴が2008年の「リーマン・ショック」だろう。生産過剰でデフレになったとか、モノ不足でインフレになったとか、「実体経済」が原因ではない。インチキ証券「サブプライムローン」の破綻、つまり「金融経済」の単独犯だったのだ。

実体経済とは、モノやサービスの取り引きである。具体的には、衣食住、社会インフラ、医療、娯楽など、人間が生きていく上で欠かせない価値を生む。

一方、金融経済は、人間に直接役に立つ価値を生まない。カネがカネを生むだけ(正確には所有権)。銀行に預金すれば、何もしなくても、利息がつくように。

そして、ここが肝心、「金儲け」に徹するなら、金融経済の方が効率がい。

たとえば、「モノづくりで商売」を考えてみよう。

まず、土地を取得して、工場を建てて、ヒトを集めて、材料を購入して、生産し、販売する。気の長い話だ。一方、株式投資(金融経済)は株を売り買いするだけ。しかも、カネさえあれば、コトは一瞬ですむ。

そのルールを、膨大な過去データで証明したのが、フランスの経済学者トマ・ピケティだ。彼の著書「21世紀の資本」によれば・・・

人類の資本主義経済は、わずかの期間をのぞいて、「資本収益率>経済成長率」が成立するという。意味するところは、「資産が生む利益>労働が生む利益」、つまり、汗水流して働くより、カネを転がす方が、儲かるわけだ。

この仕組みを作ったのは人間である。だから、人間の望みは「楽して儲ける」こと。では、一生分稼いだら、遊んで暮らす?

ノーノー、人間の本性はそんなに甘くない。

「楽をする」を超えて「貪欲」なのだ。

遊んで暮らせる身分になっても、人間は満足しない。もっと財産を増やそうとする。井上陽水の名曲「限りない欲望」ではないが、人間の欲望は限りがないのだ。

野村総研は、日本の資産カーストを定義した。頂点に君臨するのが「超富裕層」で、金融資産が5億円超(借金はのぞく)。日本だけで、7.3万世帯というから、かなりの数だ。

そんな大金どうやって手に入れた、はドーデモよくて、重要なのは「5億円」、一生遊んで暮らせる金額なのだ。では、超富裕層は、資産を取り崩して遊んで暮らしている?

とんでもない。

5億円を10億円にすべく、投資に余念がない。それが、カネがカネを生むマネーゲームなのだ。つまり、金融経済とは「生存のための手段」ではなく「人間の強欲」なのである。

その象徴が「仮想通貨」だろう。これほど、人間の貪欲・強欲を体現するモノはない。

■仮想通貨ビットコイン

仮想通貨といえば「ビットコイン」だが、最近は雨後のタケノコ、その数は数百を超える。ところが、仮想通貨は(一部を除いて)誰も管理していない。

管理されない通貨!?

ふつう、リアル・マネーは国が管理している。1万円札が「1万円」で通用するのは、国の「保証=信用」があるから。それがなければ、子供銀行券と同じだ。

一方、仮想通貨は誰も管理していない。「ブロックチェーン」というアルゴリズムが黙々と動いているだけ。

ブロックチェーン?

トランザクション(取り引き)を記録するコンピュータ式台帳のことだ。取り引き対象はヒト・モノ・カネなんでもOK。ただし、タダの台帳ではない。暗号を用いた強固なアルゴリズムで、現実的に改ざんできない(理論上は可能)。さらに、世界中のコンピュータに分散記録されるので、障害にも強い。一方、処理量がハンパない。そのため、膨大な数のコンピュータが自主参加している。この作業を「マイニング(発掘)」とよんでいる。

つまり、ブロックチェーンの「信用」は、「国の保証」ではなく「記録の信頼性と安全性」で担保されている。

それってコワくないですか?

コワイです。事実、マネーが盗まれたり、消えたりのトラブルが起きている。しょせん人間が作ったものなので、あたりまえですよね。

話はそこではなく・・・

ビットコインの投資効率はすさまじい。数年で1000倍に値上がりしたのだ。これほど割のいい投資はないだろう。モノづくりやサービス業はもちろん、株式投資でさえかなわない。

そもそも、「株」は金融資産だが、実物資産の裏付けがある。

「株」は会社の「所有権」だが、会社はヒト・モノ・カネを所有しているから。そして、たいていの金融資産も実物とリンクしている。だから、リアルな裏付けがない仮想通貨は特殊なのである。事実、仮想通貨に懐疑的な人が多い。

たとえば・・・

金融大手のJPモルガン・チェースのダイモンCEOは、2017年9月、ビットコインは「詐欺」と言い切った。ところが、その3カ月後、ビットコインは4倍に暴騰。ダイモンCEOは発言を撤回し、反省の意を表した。ところが、2019年1月現在、ビットコインは最高値から87%下落している。

ダイモンCEOは正しかったのだろうか?

今のところ、誰もわからない。

でも、個人的にはこう思っている・・・みんなが上がると信じている間は上がる。でも、疑念が湧いた瞬間、「ゼロ」に近づく。そもそも、マイニングが割に合わなくなったら、誰もやらなくなる(自主参加なので)。計算し記録するコンピュータがなくなれば、ブロックチェーンも仮想通貨も自然消滅する。オランダのチューリップ・バブルのように。砂上の楼閣どころではない。砂粒一つ残らないのだ。恐ろしい話だ。

ただし、仮想通貨にも良いところもある。決済が便利なこと。銀行を介して海外送金すると数日かかるが、仮想通貨なら数秒ですむ(最速の「リップル」)。しかも手数料も激安だ。だから、最終的に、決済は仮想通貨にいくだろう。ただし、メガバンクや日銀が管理する仮想通貨になる可能性が高い(郵貯かも)。

一方、仮想通貨は地球環境を破壊している。

地球の平均気温を押し上げ、壊滅的な気候変動を引き起こすというのだ。

バーチャルな仮想通貨が現実世界を破壊する!?

仮想通貨は「ブロックチェーン」によって成立している。ブロックチェーンはマイニングが必要で、膨大な数のコンピュータが稼働している。だから、発熱がハンパなく、気温が上昇するわけだ。

国連の報告によれば、気温が1.5度上昇すると、壊滅的な気候変動を引き起こすという。そして、1.5度以上の気温の上昇はビットコインのマイニングで20年以内に起こるというのだ。

人間はオモシロイ生き物である。

環境を破壊し、自分の首を絞めることを知りながら、今日明日の金儲けに血眼になる。しかも、金融資産は負債なのでいずれ暴落する。それでも、暴落する前に売り抜けられる、と信じているのだ。

わかっちゃいるけど、辞められない、それが人間というものだろう。

《つづく》

 

by R.B

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