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スモールトーク雑記

■宮崎駿「風立ちぬ」映画化 2013.01.01

2013年1月1日、新しい年が始まった。

昨年暮れは、マヤの予言「2012年12月人類滅亡」で、大騒ぎだったが、ここまでくれば、一安心。

ただ、予言を真に受けて、家を売って散財した中国人がいたらしいが、今頃、どうしているのだろう。今年の冬は寒いぞ。

2013年は、アニメ業界にビッグニュースがある。宮崎駿が5年ぶりにアニメを制作するという。監督と脚本を担当するので、完全な現場復帰だ。

ちなみに、タイトルは「風立ちぬ」。まさか、「堀辰雄(昭和初期の作家)」じゃないだろうな、と思って、調べると、主人公は「堀越二郎」らしい。

堀越二郎といえば、昭和初期の航空機技術者で、「ゼロ戦」の設計者として知られる。秀才と天才を足して2倍したような人物で、エピソードには事欠かないだろう。

でも、なぜ、「風立ちぬ」なのだ?「風立ちぬ」公式サイトをみると、堀越二郎と堀辰雄に敬意を表して・・・とある。ん~、やっぱり、堀辰雄も関係あるのかな。戦闘機の設計と純文学とどう結びつくのだろう?二人の共通点は、年齢ぐらいだし。まぁ、それは公開されてからのお楽しみ。

宮崎駿は僕を知らないが(当然)、僕は彼の人生に注目している。なぜか?

クリエーターとしての自分の命数を計るため。つまり、何歳までクリエーターをやれるか、知っておきたいのだ。(今は役員「別名:雑用係」に身をやつしているが、現場復帰を目論んでいる、ムフフ)

宮崎駿は、希有の才能があり(アニメ+脚本+オタク)、完全主義者で、しかも、執念深い。なので、クリエーターとしては最高スペックだろう。だから、彼の人生をみれば、クリエーターの限界もわかるというわけだ。

そこで、宮崎駿の年齢と作品を調べてみた。で、結論・・・60歳で創った「千と千尋の神隠し」を最後に、その後、全部ハズレ。

ここでいう「ハズレ」とは、興行収入ではなく、「ヘッドピンをハズす」こと。本来はボーリング用語なのだが、最近、ビジネスの現場でもよく使われる。

ボールにどんな威力があっても、ヘッドピンをはずすと、ピンを全部倒せない、という意味。

60歳を越えた宮崎駿の作品は、まさにコレ。制作はスタジオジブリなので、絵のクオリティは高いが、何かが足りない。たぶん、それが「ヘッドピン」なのだろう。

宮崎作品の特徴は、・よく動く、楽しい。・風通しがいい。

「千と千尋の神隠し」は、そのすべてを備え、静止画も息をのむほど美しい。そして、確固たる世界観がある。

ところが、その後の作品は・・・

「ハウルの動く城」(63歳)は、風通しが悪く、楽しくない。それに、奇妙な閉塞感がある。

「崖の上のポニョ」(67歳)にいたっては、何が何だかサッパリ・・・

もちろん、アニメの作り手ではないので、どこをどうしたら良いのかわからない。でも、「ヘン」なことはわかる。やっぱり、コンテンツは、「神のひとさじ」なんですね。

映画監督のリドリー・スコットもしかり。宮崎駿の映画版のような人で、・制作現場を熟知している。・映像にこだわる。・完全主義者。・歴史的作品を残している(エイリアン、ブレードランナー、グラディエーター)

ところが、そのリドリー・スコットも、64歳の「ブラックホーク・ダウン」がギリギリ。(あのモチーフをあそこまでもってくるのはさすがだが)75歳の最新作「プロメテウス」は、映像はいいが「面白くない」との評判だ。宮崎駿と状況が似ている。

アニメ界と映画界の両巨頭をみるかぎり、60歳~65歳あたりが、クリエーターの限界なのかもしれない。

というわけで、宮崎駿71歳の「風立ちぬ」は期待できない?

でも、ほんのわずか、望みはある。「風立ちぬ」は、宮崎駿自身が創りたい作品だから(たぶん)。

宮崎駿は、知る人ぞ知る「軍事オタク」である。彼の作品は子供向けなのに、登場する戦車や飛行機は、軍事オタクの勘所をキッチリおさえている。

さらに、「宮崎駿の雑想ノート(大日本絵画)」をみれば、彼の快感物質の出所が、手に取るようにわかる。オタクが喜びそうな軍事アイテムが、「センスの良い水彩画+気の利いた言い回し」で誌面をはみださんばかりだ。

たとえば・・・

重空中戦艦WP-30。全長24.4m、総重量25t、当時世界で2番目の巨人機だった。(誰も知らない)ボストニア国の「空中艦隊」の旗艦である。国王ペトルみずから、ドイツのユンカース社に発注したという。ちなみに、当時世界一の巨人機は、ドイツの輸送機Me323「ギガント」(たぶん)。オタクはこういう話に食いつくのである。

さらに、ドイツのリュースバルクの町にあった高射砲塔。主砲は、「128ミリ40年式連装高射砲」で、数秒に1発の間隔で、26kgの榴弾を高度14800mまで撃ち上げたという。「空の女王」とよばれたアメリカ爆撃機「B-17」の高々度を凌駕する。恐るべき高射砲だ。

ちなみに、この128ミリ砲は、名将ロンメルが愛した「88ミリ砲」の上位バージョンである。本来、88ミリ砲は高射砲(対航空機)なのだが、ロンメルは対戦車砲として利用し、大きな戦果をあげた。今となってはドーデモいい話だが、オタクにとっては快感物質のもと。

リュースバルクの高射砲塔は、この128ミリ高射砲を一つの塔に8門、6塔で48門を集中させた。恐ろしいほど濃密な砲撃で、爆撃機の損失率が20%を越えたこともあったという。5回出撃すれば、爆撃隊は全滅?まぁ、そうはならないのだが、この損失率は尋常ではない。

そして、軍事オタク定番の「多砲塔重戦車」。戦車の歴史をみれば明らかだが、戦車は、主砲が1門(対戦車・対建物)、機関銃が2、3丁(対歩兵)が常識。こんな風に↓

Tank_Tiger【ドイツのティーガーⅠ型】

一方、多砲塔重戦車は、大砲だけで数門、機銃も10丁近く装備し、そのぶん、図体もでかい。いかにも強そう。

ところが・・・

多砲塔重戦車は、あっという間に廃れてしまった。実用性に欠いたのである。

とはいえ、宮崎駿が描く多砲塔重戦車は最高だ。デフォルメは強いし、水彩絵の具でチャチャっのお気軽イラストなのだが、リアリティがあって、オタクゴコロをくすぐる。恐るべき才能だ。

そして、誌面の片隅には、こう書かれている・・・

このようなマンガ映画を観たい方は、2億円ほど持参してください。1年ほど待ってくだされば、70分の総天然色マンガ映画を創ってさしあげます。

欲しい!カネさえあれば・・・

やはり、宮崎駿は軍事オタクなんですね。そして、ここが肝心なのだが、クリエーターは、好きなジャンルでこそ、力を発揮する。

たとえば、宮崎駿にしては珍しい軍事モノの「紅の豚」。宮崎アニメのキモをすべておさえて、設定が素晴らしい。

登場する男たちはバカで貧乏だけど、陽気で明るく元気。女たちは、美しく、賢く、強い。そして、みんな人生を楽しんでいる。それが完全な世界を創っているのだ。僕は今でも、この世界に憧れている。

つまり、こういうこと。

宮崎駿は、クリエーターとしてのピークが過ぎたので、「スタジオジブリ」の、良い子のためのアニメでは、力を発揮できない。

可能性があるとすれば、宮崎駿が大好きな「軍事モノ」だが、スタジオジブリではムリ。

そこで、宮崎駿様にご提案・・・

晩節を汚さないためにも、人生を実りあるものにするためにも、スタジオジブリから離れ、残された人生を、大好きな軍事アニメの制作に捧げてはどうでしょう?

ということで、2013年夏、宮崎駿「風立ちぬ」に期待します。

もし、それが素晴らしい出来なら、70歳過ぎても、いいものが創れる証拠になるから。

宮崎駿さん、世のクリエーターのために頑張ってね!陰ながら応援してます。

by R.B

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