■プリウス試乗・ハイブリッド革命 2011.08.07
息子に内々定が出たので、酔った勢いで、車を買ってやる、と約束してしまった。(もちろん中古車)。
酔いが覚めたところで、ふと、愛車のプジョー307SWを思い出した。もう、8年も乗っているので、立派な中古車。同じ中古なら、どこの馬の骨ともわからない車より、307SWを息子に譲った方がいいのでは?と思い立ったのだ。(新車が欲しかった?)
2日後、トヨタのセールスマンが飛んできた。カミサンに「Passo」を売ったセールスマンだ。カミサンがチクった?
でもね、ハッキリ言っておきますけど、僕は国産車が大嫌い。走りはフワフワで、気持ちが悪い。鋭く曲がると、ボディがフニャリ。ボディ剛性が足りないのだ。
それに、ブレーキの効きが悪いので、マジでコワイ。しかも、イスが柔らかすぎて、腰にくる。あげく、3年経つと足回りがやれて、走りはガタガタ。
そして、とどめはあの見てくれ。信じられないほどの没個性。あのアホズラ、何とかならんのか?それが「世界のトヨタ」なのだ(失礼)。
さて、トヨタのセールマン、カミサンから、僕の”好み”を聞いて、持ってきたのが「プリウス」だった。よりによって、プリウスかよ?
セールスマン曰く、「とにかく、一度乗ってみてください」乗るまでもない、見ればわかるやろ、プリウスや!とはいえ、わざわざ、家まで持ってきてくれたのに、追い返すのも大人げない。金沢は世間がせまい。ヘンなウワサが立つとあとがメンドーだ。ということで、我慢して試乗することにした。
まずは、パーキングの解除。これがなんと電子スイッチ!やっぱりプリウスや、トヨタや、とすでに感情は逆立っている。わけのわからんシフトレバー操作をして、いざ、出陣。アクセルを軽く踏む。
あれ、無音・・・やっぱり、モーターや。自動車たるもの、力強いエンジン音でスタートやろ。
アクセルをさらに踏み込む。ん?意外にトルクあるな。けっこうスムースに加速するが、相変わらず、無音。
主線道路に出たので、さらにアクセルを踏み込む。モーターからエンジンに切り替わる。想像していたより加速感がある。ちょっと意外だ。
速度を上げて、カーブを曲がる。ボディがふにゃり、と思いきや、シャキッと曲がる。えっ、ウソ・・・ボディ剛性が高い?ありえん。
次に、急ブレーキを踏む。ブレーキは浅く、すぐにググッと効くタイプ。おー、欧州車や!これ、ほんとにトヨタ車か?
その後、蛇行したり、曲がったり、ブレーキを踏んだりと、思いつく限りの意地悪をしたが、けっこう安定している。ボディ剛性が高いのかも?いや、それはありえん。
次に、路面が荒れた道路を走行。ロードノイズはしっかり拾う(うるさい)。同乗したセールスマンすかさず、「エンジン音が小さいのでロードノイズが目立つんです」それはちょっと違うな。吸音材をけちっているからだよ。(価格を考えればしかたがないが)
また、段差のある悪路だと、凹凸をうまく吸収できない。ガタガタが直接伝わってくる。足回りをけちっているからだ。(価格を考えればしかたがないが)
さて、試乗が終わり、下車したとき、ドアの開閉音をチェックした。「ペシャッ」フムフム、やっぱりチープ。初めて味わう納得感。これでもし、「ボムッ」だったら・・・トワイライトゾーンやわ。
ところが、しばらくして、熱いものがこみ上げてきた。よくこんな車をこの価格で・・・燃費がどーのこーの以前に、車の造りが素晴らしいのだ。
プリウスは、これまでのトヨタ車とは別もの、設計思想からして違う、と思ったほうがいい。(トヨタのセールスマンもそう言っていた)
車で大切なのは、1.走る2.曲がる3.止まるあたりまえ、と思うかもしれないが、国産車で、これを満たしている車は少ない。
ドイツ車は、ここは合格なのだが、壊れまくるのが難点だ。そして、プリウス。意外なことに3つともクリアしている。ボディと足回りがしっかり作り込まれているからだ(価格の割に)。
ただ、ドアの建て付けはチープ。なので、正攻法でボディ剛性を高めたのではないだろう。バッテリーの配置、重量のバランスなどが重なって、結果として、ボディ剛性が高まった?
インパネもしかり。チープで殺風景に見えるが、ムダがなく美しい。プジョーと表現は違うが、狙いは同じ「Simpleisbest」。僕はこういう車が好きだ。まぁ、好き嫌いはあるだろうが。
そして、誰もがみとめる高燃費!リッター25kmはまさに驚異だ。ただプリウスは、モーターとエンジンの混合車。歴史をみれば明らなのだが、このようなハイブリッド(混合)技術は、必ず短命に終わる。真打ちは、電気自動車(テスラモーターズ)だろう。
しかし・・・
我々は今、実需もないのに、マネーゲームで不当につり上げられた高いガソリンを買わされている。だから、プリウスは我ら庶民のヒーローなのだ。
ということで、僕はプリウスに感動した。プリウスは20年に一度の傑作車だ。通勤、街乗りならプリウス、遠出も兼ねるならプリウスα(アルファ)それ以外の選択肢はない、とさえ思う。
いろいろキツイこと言ったけど、ホントは尊敬してますよ、トヨタさん。トヨタの経営力、組織力、技術力、そして緊張感は、間違いなく世界一。アホな政府、性根の腐った電力会社、だまされやすい国民、そんなフンづまりの日本を導いてね、トヨタさん。
by R.B