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スモールトーク雑記

■東日本大震災・2011年3月19日 2011.03.19

【3月18日(金)】東京出張から帰り、翌日出社すると、社員の質問攻めにあった。

「東京に、食料と水ありました?」

>あるに決まっとるやろ!

「電車が止まって、みんな帰宅難民ってほんとですか?」

>いつの話や?

「放射能は大丈夫でしたか?」

>オレはガイガーカウンターじゃない!

「新幹線が東京脱出組で満杯って本当ですか?」

>2ちゃんか?ガラガラ、スカスカ。

「よくこんな時、東京に行きますね?」

>仕事やろ!

どうかしてるぞ。

今こうしている間にも、福島原発では、東電の作業員が決死の作業を続けている(経営陣は50km圏外らしいが)。自衛隊、消防隊、警察もしかり。もちろん、一番辛いのは、避難所生活を送る人たちだ。その数は数十万人にも及ぶという。みんなやるべきことをやっているのだ。

ところが・・・

3月18日の毎日新聞によると、今週初め、東京電力が、福島原発にいる職員全員の退避許可を政府に求めたという。これに対し、菅首相は、

「撤退はありえない。東電がつぶれるということではなく、日本がどうなるかという問題だ」

と拒否したという。

一方、東京電力側は、

「『撤退は許さない』というのは、『被爆して死ぬまでやれ』と言っているようなもの」

と不満をもらしたという。

では、東京電力に聞く。この後始末を誰がやるのか?撤退したら、メルトダウンは本格化し、チェルノブイリの二の舞になる可能性が高い(現状でもそうなる可能性はある)。そうなれば、
首都圏もただではすまないが、それでもいいと?

そもそも、福島原発は誰が作ったのだ?

それでも作業員を撤退させたいなら、代替案がある。鉄道会社がストをおこせば、管理職が現場に動員される。それと同じ論理で、役員と管理職が現地に行けばいい。何をしていいかわからないって?心配無用、部下が教えてくれる。

もちろん、管首相が断言したように、

「撤退はありえない」

日本史上最悪の国難にあって、人ごとのように後ろ向きで、問題解決できない東京電力の経営陣。東京電力の不幸と日本の不幸の根源は、ここにある。

人の上に立つリーダーは、たとえ、状況が絶望的であっても、危機に立ち向かうべきだ。東京電力の経営陣には、そんな気概はみじんも感じられない。だいいち、部下を危険にさらしておいて、自分たちは安全圏内!?

こんなリーダーに誰がついていく。

一方、管首相の「撤退は許さない」は、一部非難はあるだろうが、正しい決断だ。平時は頼りないが、危機におよんで意外な覇気をみせる。不思議な人だ。

ネットで偶然、感動的な記事をみつけた。島根県の電力会社の社員が、応援のために福島へ向かったという。原発運転のスペシャリストで、会社が募集した応援派遣に応じたのだ。

定年を半年後にひかえているのに、なぜ?

彼は家族にこう告げたという。

「今の対応で原発の未来が変わる。使命感を持って行きたい」

娘さんは、そんな父を誇りに思い、涙が出そうになったという。

自らの命を危険にさらして、国のために尽くす。東京電力のトップは、この話を聞いてどう思ったか。

【3月19日(土)】福島原発の状況は変わらず。

3号機を冷却するため、放水しているが、当たった当たらないが話題の中心なので、焼け石に水だろう。それでも、やらないよりはマシ。

ここ2、3日、政府に対する不信感が増大している。日本はもちろん、米国からも。日本政府は真実を隠しているのではないか?という疑惑。

だが、現状をみると、真実を伝えても、状況が好転するとは限らない。むしろ、国民に希望をもってもらったほうがいい?もちろん王道は「真実を伝える」だが。難しい判断だ。

では、今後起こりうる最悪のシナリオは?

すでに、燃料棒が溶け出しているので(メルトダウン)、冷却ポンプが復旧しないかぎり、1.溶けた燃料棒が冷却水に落下→水蒸気爆発→格納容器が破損2.溶けた燃料棒が格納容器に落下→熱で底が抜ける→燃料棒が外へ

どちらにせよ、これまでとは桁違いの放射線が放出される。格納容器は放射線を封印する最後の砦だからだ。そうなれば、プロセスは違うが、被害はチェルノブイリかそれ以上になる可能性がある。

ちなみに、チェルノブイリ原発には格納容器がなかったので、爆発とともに、放射線が外に放出された。結果、作業員5万5千人が死亡し、ウクライナ国内の被ばく者は343万人(総人口の7%)に達した。その時の放射線量は、広島型原爆500発分だったという。

ところが、福島原発が内包する放射線は、その10倍を超えるという。東京電力は事の重大さが分かっているのか?よく「撤退」など口にできたものだ。

今回の事故の行く末は、ひとえに、「格納容器」にかかっている。もし壊れれば、パンドラの箱がひらく・・・それを防ぐため、東京電力の作業員、自衛隊、消防隊の決死の作業が続く。

by R.B

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