■タングラムスキーサーカス 2009.09.19
バブルの絶頂期、斑尾高原でタングラムスキーサーカスが開業した。ホテルタングラムを中心に、スキー場、ゴルフ場を備える「高級リゾート」だった。
やがて、バブルが崩壊し、会社がホテルタングラムの法人会員になった。おかげで、「1人1泊食事なし」で、2万円のところ、3000円で宿泊できた。こんなうまい話はないので、毎年のように利用した。
やがて、わが家では、「家族旅行=タングラム」という暗黙のルールが生まれた。こうして、我が家の歴史は、タングラムの歴史となった。タングラムを背景に、子供たちが成長していく、そんな記録映像がストックされていった。
今回のシルバーウィークは、タングラム8回目の家族旅行。今回初めて参加したおちび(末っ子)は、かつて、長男が遊んだボブスレーで、歓声を上げていた。同乗した長男にささえられながら。
その前までは、今のおちびの場所に、長男がすわり、今の長男の場所に、僕がすわっていた。景色もボブスレーも変わらないけど、そこで遊ぶ家族は成長している。
豪華だったホテルタングラムも、今では、すっかり古くなった。鮮やかだった朱色のベッドは色あせ、壁もどこか古びて、机もイスもくたびれている。
だけど、それはそれでいい。我が家族といっしょに、タングラムも歳をとっているのだ。だから、タングラムの古さは、どこか懐かしい。
タングラムの夕食は、いつも、中華料理の紅桃(ホンタオ)でとった。開業当初は、品数と、美味に圧倒された。こんな凄い中華料理は、後にも先にもはじめてだった。
やがて、不況が定着し、それに合わせるかのように、紅桃(ホンタオ)の味も落ちていった。ところが前回、突然、復活。質、量ともに、全盛期の80%まで回復したのだ。
で、今回は?選べるコースは2つしかなく、まるで、工業製品のように、コストパーフォーマンスだけが向上した。安価な素材で、できるだけ美味しく・・・企業努力は認めるけど、こういう場で、僕はコストパーフォーマンスを求めない。しかも、青島ビールがない!?中華だぞ!他はともかく、これだけは認められない。
なんかおかしい・・・あらためて、部屋を見渡すと、日本料理店の「風車」と相部屋になっている。紅桃(ホンタオ)の全盛期を思えば、悲しい光景だ。
ただ、悪いことばかりではない。絵画のオークションが始まったのだ。ホテルの廊下に絵画が並べられ、気に入った絵を入札できる。絵の番号と希望価格を記入し、ポストに入れれば、OK。ただし、チャンスは1回。
前回のオークションで、織田義郎の版画「TaraspⅢ」を落札した。小高い丘の上に修道院があり、そのふもとに、美しい家々が並ぶ。宮﨑駿のような世界だ。
一目見て気に入ったので、入札することにした。もちろん、最低価格の4万円で。ところが、みごと落札。誰も、入札しなかったのだろう。額縁だけで、2万円近くするのに・・・
それに、この銅版画(エッチング)は、版を写しとった後、1枚1枚仕上げをする。しかも、100~300コピー/版。版画家で生計を立てるのは難しそうだ。
そして、今回のオークション。前回と同じく、僕のココロをとらえた銅版画が1枚・・・上砂理佳の「リンドベルグラス館」だ。ヨーロッパの町並みで、石造りの商店街。色は薄めだが、強い世界観を感じる。さっそく、最低価格の2万2千円で入札。もし、落札できたら、「TaraspⅢ」の横に飾ろう。
by R.B