BeneDict 地球歴史館

BeneDict 地球歴史館
menu

スモールトーク雑記

■3Dテレビ 2010.01.24

いつの間にか、「3Dテレビ」がブームになっている。メディアは口をそろえて、2010年は3Dテレビ元年!はぁ?地デジはいずこへ・・・

ココで言う「3Dテレビ」とは、3DCGのことではなく、ズバリ、立体映像のこと。わかりやすくは、「飛び出す画面」。

そういえば昔、ヘンな「立体絵」があった。赤と青のセロハンメガネで、立体っぽく見せるやつ。

念力を使うごとく、目の焦点を合わせる必要があり、苦労のわりには、ショボイ絵だった。キワモノで始まり、キワモノで終わると思ったが、今でもたまに見かける。一体、どういうことだ?

ところで、今回の3Dテレビは、大手メーカーがこぞって参入するという。すでに、ソニー、パナソニック、東芝、シャープは、試作機まで公開している。

特に、ソニーはやる気満々で、

1.液晶テレビのBRAVIA

2.ブルーレイ(BD)

3.パソコンのVAIO

4.プレイステーション3

5.デジタルカメラ

これらすべてを3D対応にするという。It’s a Sony・・・さすがだ!売れないと思うけど。

ところで、やっぱり、メガネは必要?どうやら、そうらしい。もちろん、赤と青のセロハンメガネではない。「液晶シャッターメガネ」というハイテクメガネらしい。もっとも、原理は、セロハンメガネとかわらない。

物が立体に見えるのは、右目と左目が離れているから。それが、視差を生み、人間は”奥行き”を感じるわけだ。

3Dテレビもこれと同じ。視差分ずれた右目用の映像と左目用の映像を、それぞれ、右目と左目に見せれば、立体に見える。

まず、右目用の映像を画面に表示し、メガネの左目のシャッターを下ろす。すると、右目だけが右目用の映像をとらえる。

次に、左右をかえて同じことをすれば、左目が左目用の映像をとらえる。

この切り替えを高速で行えば、左右の目が視差のある映像をとらえ、立体映像に見えるわけだ。原理はいたってシンプルだが、問題もある。高くつくこと。

まず、左目用と右目用の映像が必要なので、情報量は2倍になる。当然、制作コストは上がる。さらに、情報量が2倍になれば、映像ソースから3Dテレビへのデータ転送速度も、基本2倍になる。速度が上がれば、回路も部品代も高くつく。

現在のハイビジョンテレビは、1秒間に60枚の絵を描きかえている。これでも、被写体の動きが速いと、映像は乱れる。ところが、3Dテレビでは、左目用と右目用を表示するので、1秒間に120枚!綺麗に見せるには、応答速度の速い液晶パネル、高速なドライブ回路(液晶を光らせる電子回路)が必要だ。

だが、一番のネックは、「メガネをかける」こと。ニュースを見るのに、わざわざメガネをかける?

メガネかけっぱなしも恥ずかしいし、なんかテレビって、うっとおしいなぁ・・・と、みんなが思ったら、おしまい。

メンドーをおしてまで観るのは、アクション映画ぐらいだろう。天気予報やニュースを、”飛び出す画面”で観たい人はいないだろう。

さて、この事実は、テレビ局の暗い未来を暗示している。

3Dテレビが話題になれば、テレビ局は3D番組を制作しなければならない。ハイビジョンでさえ、コスト高でヒーヒー言ってるのに、3D映像!?さらに、3Dに対応しても、広告収入が増えるわけではない。どう考えても、大損だ。やっとれん(テレビ局)。

テレビ局の対応は3つある。

①必要な番組だけ3Dテレビに対応。

②すべての番組を3Dテレビに対応。

③3Dテレビはなかったことにする。

①の場合、視聴者は番組によって、メガネをつけたり、はずしたり・・・こんなメンドーなこと、仕事以外、絶対やらない。

結局、3Dで見たい映画だけ、テレビの前に座り、ニュース、天気予報、その他の情報入手は、インターネットに頼るようになる。つまり、3Dテレビは、稼働率の低いホームシアターと化す。

②の場合、視聴者は、メガネをつけてまで、ニュースや天気予報を観たいとは思わないので、①と同じ結果になる。ただし、①よりはるかにコストがかかるので、テレビ局にとって最悪。

③の場合、コストは増えないが、売り上げが伸びるわけでもない。つまり、ジリ貧。どう考えても、3Dテレビは、テレビ局にとって悪夢だ。

これまで、テレビを破滅させるのは、インターネットだと言われてきた。だけど、ひょっとして、テレビにとどめを刺すのは、3Dテレビかもしれない。なんという皮肉。

打つ手のないテレビ局は、3Dテレビが大コケするよう、心から願っていることだろう。だが、心配無用。3Dテレビは失敗する。

しかし・・・

テレビ局の平和は、長くは続かない。生命線の広告が、インターネットに丸取りされるからだ。そうなれば、テレビ局も広告代理店も、ただではすまない。かつて栄えた恐竜や日本航空のように、倒れる日が必ず来る。

インターネットは、究極の情報インフラ。コミュニケーションも知識も情報も、コンテンツまで、タダにしようとしている。

さらに・・・

権威づけされたマスメディアを無力にし、真の民主主義を生みだそうとしている。

さらば、テレビ・・・

by R.B

関連情報