■死神 2009.12.13
作りたいものは、みんな作ったし、仕事は管理ばっかしで、直接価値を生んでるわけじゃなし、生きてる意味あんのかな?と思ったある日のこと・・・
会社のトイレで大をしていると、シャーッと音がした。小便器のセンサーが人間を感知し、水を流したのだ。それがたてつづけに2回。
えっ?
人はいないはずだけど。恐る恐る、扉を開けると、やはり、誰もいない。センサーの誤動作?
何度も試してみたが、センサーに異常はない。その日は休日出勤だったので、仕事をほっぽり出して、家に逃げ帰った。
その晩、寝ぼけ眼で、トイレへ。すると、後ろで、ミシッ、ミシッと廊下を踏む音がする。それも2回続けて。振り返ると、誰もいない。気味が悪くなり、そのまま、布団にもぐりこんだ。
翌朝、玄関の扉を開けた瞬間、フリーズした。扉を開けるのを待っていたかのように、一匹のネコが僕を凝視している。時間が停止し、この広い世界に僕とネコだけ、というカンカク。
そのとき、昔観たTVドラマを思い出した。ミステリー・ゾーン「死神の訪れ」だ。たしか、無名時代のロバート・レッドフォードが、出演していた。現世に何の希望ももてなくなった、一人暮らしの老女のもとに、ある日、美しい青年(ロバート・レッドフォード)が訪れる。青年は、やさしく老女に接するが、じつは、「死神」だった。
やがて、老女は青年の正体を知るが、彼にさとされ、黄泉の国へと旅立つ。めでたし、めでたし・・・
人間には、理解しても、自覚できないことがある。人間は生まれながらの逃亡者だということ。もちろん、追っ手は死神だ。
ということで、今回の不吉な事件は、僕に死神が迫っているメッセージ?
ところが、その後、真相が明らかになった・・・
1.トイレの音→人がいなくても、時々自動洗浄する。
2.廊下の音→欠陥住宅?
3.不吉なネコ→近所をうろつく有名なドラネコとのこと。
こうして、死神事件は一件落着したが、その後、無限に続くかのような気だるさからは開放された。そして、若い頃は自覚していたのに、長い間忘れていた大切なことを思い出した。「生きている限り、何かできる」
by R.B