■不老不死はループ 2018.05.17
「ダンテの神曲」によれば・・・
地獄の最下層に「コーキュートス」があるという。
「嘆きの川」という意味だが、見た目は「流れない川」。水流が凍結し、空間も時間も止まった世界だ。そこに、最も罪深い「裏切者」が氷漬けされているという。
「ブルトゥス」もその一人。
カエサルを暗殺し、「ブルトゥス、お前もか!」で名をあげた裏切り者の代名詞だ。そんな呪われた人間が封印されているのが、最悪の地獄「コーキュートス」。ところが、もっと恐ろしい地獄がある。
不老不死。
老いず、死なず、犬が尾を追うように、同じことを繰り返す。つまり「ループ」。罰というより呪いに近い。最悪にして究極の地獄だ。
不老不死はループ?
人間の言動は、すべてDNAの支配下にある。われわれはプログラムされているのだ。この世界を創造した神によって(宗教上の神とは限らない)。
プログラムの命じるまま、同じことを永遠に繰り返す、ループの世界。しかも、それを自覚できる程度の知恵は与えられている・・・これ以上の地獄はないだろう。
ちょっと待て、それって不老不死ではなく、現実の世界では?
しかり。
現実世界もすべてプログラムされている。だから、「自由」に考えたり、行動することができない。ハメを外したつもりでも、DNAの命令コードに従っているだけ。
この世界は、作り込まれたシミュレーションなのかもしれない。
神か悪魔かプログラムか、誰が造ったかは重要ではない。「無限ループ」が問題なのだ。知った瞬間、永遠の絶望に落とされるから。
なんか虚しい・・・
世界はなにもしてくれはない、だから、自分の世界を作る、ゲームプログラマーだった頃、本気でそう思ったものだ。現実世界もシミュレーションゲームも同じモノだから。
神は完全ではない。「神のプログラム=進化の法則」は試行錯誤の繰り返し。先を見通したトップダウン設計ではない。行き当たりバッタリの粗雑な世界なのだ。
ということは、ぼくのプログラムにバグがあるように、この世界にもバグがある?
じつは、心あたりが・・・
朝、半覚醒でまどろんでいると、見慣れた映像が脳に浮かぶ・・・周囲の街並み、仲間、みんな見覚えがある。ストーリーもちゃんとある。完全な人生の記憶だ。ところが、覚醒した瞬間、映像は憶えているが、ストーリーの記憶がない。
あの人生はどこへ行ったのだ?
ひょっとして、もう一つの世界があって、こっちとあっちを行ったり来たりしているのかもしれない。毎日、現実と夢を行き来しているように。
仮に、そうだとしたら、本来認知できないことを認知した!これは重大なバグだ!
ただのデジャビュでは?
ではもう一つ。
昨年、台風が襲来した日、不思議なものを見た。風が強く、木が激しく揺れていた。枝葉も折れんばかりだ。
ところが・・・
一枚の葉だけが、写真のように静止している。周囲の枝葉は激しく揺れているのに・・・ありえない、鉄壁の自然法則にもバグがある?
ひょっとして、世を騒がす怪奇現象は、世界システムのバグなのかもしれない。
神さま、ちゃんとデバッグしてくださいね。
by R.B