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スモールトーク雑記

■株主総会と歌舞伎 2018.04.05

株主総会は歌舞伎と同じ。

行ってみないと、本当の面白さはわからない。

株主総会とは、株主を一同に集めた総会のこと。年に一回開催される定時株主総会と、スポットの臨時株主総会がある。

総会では、ひな壇に経営陣がならび、反対側に株主が陣取る。そこで、決算報告を行い、株主の承認をえる。

株主の承認?

じつは、会社で一番偉いのは、社長でも取締役会でもない、株主。

「株主=出資者=所有者」なので、あたりまえ。たまに、会社は社員のもの、社会のもの、みんなのものと公言する経営者がいるが、カッコつけてるだけ。自腹で家を買って、みんなものと宣言するバカはいない。

というわけで、会社の決定は株主の承認が必要だ。ただし、重要事項にかぎられるが。

備品の購入や、社員の人事や給料や、どんなビジネスをやるか、イチイチ株主総会にかける必要はない。株主総会の議案にあがるのは、会社の根幹にかかわる重要事項のみ。たとえば、取締役の人事とか、利益配分(株主配当、役員賞与)とか(会社法第296条)。

株主総会は、議長(代表取締役)が議事進行する。決算報告から始まり、株主の質問へとつづき、最後に承認をえる。

先日、某観光会社の株主総会に行ってきた。東京に出ていて、たまたま時間があったから。「チャットボット(AI)導入」のウワサも気になったし。

この会社は古い伝統と歴史をもつ。

それが株主総会に反映されている。会場をみわたすと、70歳超えの人が多い(半数以上)。もともと、株主総会は平日なので、出席者のほとんどが年金生活者、たまに関係者、まれにプータロー。だから、年齢層は高くてあたりまえ。

ところが、この会社の「高齢」ぶりは群を抜く(これまでに出席したIT企業、ゲーム企業にくらべて)。

それが?

「高齢」オーラが、株主総会を異界に変えている。たとえば、株主の質問・・・

「総会の会場はアクセスが悪い。千葉から来るので、腰が痛くて困る。東京駅から無料送迎バス出してほしい」

「飲み物もでないのは、株主をバカにしている」(会場入口にお茶が並んでました)

「仙台のホテルには、屋上に展望風呂があって気持ちが良かった。他のホテルにもつけてほしい」

「株主優待のホテルの割引券はムダ(自分が使わないから)。もっと(自分に役立つ)株主優待にして欲しい」

「年金暮らしになったので、○○の施設は高くて泊まれない。高齢者(自分)にやさしい料金にしてほしい」

・・・

お気づきだろうか、質問には共通点がある。

「会社」の損得ではなく、「自分」の損得。

「会社」に問うのではなく、「自分」のアピール。

つまり、株主総会という「公の場」を「自分の場」にすりかえているのだ。

なぜ、そうなるのか?

平均年齢70歳超・・・リタイアして、社会の接点がなくなり、誰も相手にしてくれない。自分の「存在感=価値」がどんどん薄れていく。だから、「自分」を晴れがましく演じたい。歌舞伎とおなじ「かぶき者」?

ちょっと違う。

自分の話を聞いてい欲しいだけなのではないか。

事実、株さえもっていれば、会社の社長や役員、立派な人たちが、ちゃんと話を聞いてくれる(家族より)。それで、十分満足なのだ。自分の意見が通るとは、思っていないだろうから。

つまり、株主総会にはもう一つ価値がある。

高齢者に社会の接点を提供すること。素晴らしい社会貢献ではないか(皮肉ではなく)。相手をする社長は大変だが。

ということで、有意義な体験だった。次の打ち合わせがあるので、総会を中座、帰りぎわに、お土産をもらった。満足満足。

ところが・・・

帰宅して、お土産をあけて、ビックリ!

前々回は特製の高級カステラだったのに、今回は和菓子の詰め合わせ↓

おいおい、決算は増収増益で、お土産だけ減収減益って、どういうこっちゃ!
・・・
なんて、みっともないクレームはやめましょうね、株主のみなさん。

by R.B

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