■天皇の生前退位 2016.07.18
天皇陛下が、天皇の位を皇太子に譲る「生前退位」を望まれているという。
昨年末、天皇陛下は記者会見で、
「年齢というものを感じることも多くなり、行事の時に間違えることもありました。一つ一つの行事に注意深くのぞむことによって、少しでもそのようなことのないようにしていくつもりです」
と話された。国家元首というお立場を考えると、誠実で真摯なご発言だと思う。
考えてみれば、天皇陛下は82歳で現役、しかも、公務の重要性は一般人の仕事の比ではない。
ほとんどのサラリーマンは、60歳で定年退職し、再雇用に入る。給料は安いが責任がないお気軽な勤め・・・これが、一般的な人生なのだ。
ところが、天皇陛下は82歳というご高齢で、体調もすぐれない。そのような状態で、国家元首の公務を続けるというのは、肉体的にも精神的にも相当な負担がかかっているだろう。
一方、宮内庁や政府は慎重な態度をとっている。「生前退位(正しくは譲位)」はルールを変える必要があるからだ。事情は理解はできるが、問題の本質はそこではないだろう。
今上天皇は波乱に満ちた人生を歩んでこられた。
太平洋戦争の戦犯を裁く極東軍事裁判で、7人が死刑判決をうけたが、刑が執行されたのは12月23日、今上天皇の誕生日だった。GHQの底知れぬ悪意を感じる。ところが、戦後もこのようなパッシングは続いた。太平洋戦争の「戦争責任」というわけだ。
しかし、太平洋戦争の原因は日本の侵略主義にあるのではない。
そもそも、太平洋戦争は国家安全保障にもとづく戦争だった。しかも、戦争をせざるを得ない巧妙なワナが仕掛けられていたのだ。「戦争は外交の最終手段」を忘れてはならない。
とはいえ、戦争は勝ってなんぼ。負けたが最後、悪者にされるのが世の常。その「勝者の裁き」を背負われたのが昭和天皇と今上天皇だったのである。
国の安全保障を守る戦争が「悪」とされる・・・・その辛苦は想像に難くない。
一刻も早く、法が整備され、「譲位」が成ることを願っている。そもそも、「天皇の譲位」を決めるのは、政府でも宮内庁でも国民でもない。天皇ご自身なのである。
by R.B