■信長の旅・近江商人の町 2012.12.02
安土城跡に入るとき、検問所のおばさんに、「午後5時に閉山です」と念を押されたが、時計を見ると、もう4時半。日が落ちたら大変だ。
山中に「明かり」は一切なく、迷子になるのは見えている。それに、安土城は400年前に焼かれたので、ヘンな霊に取り憑かれてはたまらない。ということで、小走りで下山した。
駐車場に着くと、車は2台しかない。人影もまばら、と言いたいところだが、僕とカミサンとおチビの3人だけ。感動的な閑古鳥だ。
もっとも、観る方にしてみれば、閑古鳥の方がいい。その昔、PCゲーム「GE・TEN~戦国信長伝~」を作ったことがあり、信長に思い入れもあるし、一人で静かに、堪能したいから。
そんな信長オタクにとって、安土山頂の「天主」跡は聖地だろう。400年前にタイムスリップしたような、信長の意識を共有したような、不思議なカンカクで、創造力がかきたてられる。これが心理学者ユングの「象徴」だろうか。
というわけで、すっかりご機嫌になって、ホテルに帰還した。
夕食は、近場の焼き肉屋で、近江牛を食べることにした。ホテルのレストランは、昨晩で懲りたので。
ホテルのフロントに行き、焼き肉屋を紹介してもらったが、月曜日ということで、どこも休業。しかたがないので、ホテルの近江牛鉄板焼き「伊ぶき」で食べることにした。
ところが、メニューを見ると、「近江牛」というだけで、「黒和牛」の2割り増し。
昨晩の中華レストラン「桂林」みたいに、1人11,000円も出して、不味くもないし、美味くもないでは、寝付きが悪くなる。そこで、8,800円の「多景島(黒和牛)」にした。
鉄板焼きなので、目の前でジュージュー焼いてくれる。一見、美味そう・・・でも食べると・・・不味くはないが、美味くもない。はぁ、またー?行きつけの焼き肉屋のステーキの方がよっぽど美味いぞ。しかも、アルコール付きで半額以下。
コストパーフォーマンスには、人一倍敏感なので、いつもの戦闘思考モードに突入。まずいなぁ・・・そこで、耳の後ろのリセットボタンを押した。(ウソです)
翌朝、8時に起床。今日は最終日。ホテルの朝食はバイキングなので、おチビとカミさんに、昼食ぶんまで食べといてね、と念を押す。(生まれ育ちはこういう所に出る)
でも、以前、カミさんに聞いたのだが、温泉に行ったとき、朝食のおひつのご飯で「おにぎり」を握って、その日のランチにしたらしい。たしか、カミさんの実家は医者だったぞ。金持ちほどケチって、本当だな。この暴露がカミさんに見つかりませんように。
ちなみに、朝食のバイキングは、ちょっと不味い方かなぁ。バイキングはどこも同じはずなのだが・・・ということで、安土(近江八幡市)は食べ物は期待しないほうがいい。(安土うどんは美味かった)
チェックアウトをすませ、金沢に直帰しようと思ったが、せっかくなので、近江八幡市を見学することにした。
市内に、観光用の駐車場があったので、そこに駐車し、徒歩で観光する。近江八幡市はこぢんまりしていて、観光スポットも集中しているので、効率がいい。
いきなり、昭和初期の雑貨屋を発見。氷あります。懐かしいなぁ↓
しばらくすると、おチビが、お腹が痛い、もう歩きくたくない、と言うので、1人で回ることにした。
近江商人の屋敷が連なる新町通り↓
ん~、いい感じだ。江戸時代にタイムスリップしたような。
たぶん、近江八幡市は、太平洋戦争中、爆撃をうけていないのだろう。京都にしろ、金沢にしろ、戦争で被災していない町は、古い町並みがのこっていて、懐かしい気分になれる。
そして、近江八幡といえば「近江商人」。江戸時代から、凄腕商人としてその名を知られているので、今の近江市民もさぞかし・・・と警戒したのだが、まったくもって、のんびり、おおらか。
郵便局のお兄さんが、配達しながら、すれ違う人みんなに会釈をしている。「ALWAYS三丁目の夕日」の世界・・・いい町だなぁ。
ネットを調べると、はじめに「白雲館」に行くべし、とある。観光案内所を兼ねているらしい。こぢんまりした洋風の建物で、お土産も売っている↓
留守役の息子たちに、「近江牛」を約束していたので、店の人に、
「お土産に、近江牛買いたいんですけど、いいお店紹介してください」
と尋ねると、
「今日はほとんどの店が休みなんですよ」
観光客が多いお盆に開店するので、代わりにこの時期に休みをとるらしい。
あらら・・・
ところが、店員がなかなか親切な人で、わざわざ問い合わせをして、開いている店を1件だけ見つけてくれた。
店員に感謝して、お土産も買わず、その店にむかう。(1つぐらい買ってあげればよかったかな)
10分ほどで目的地に到着。小綺麗な店で、肉の販売のほかに、レストランもやっている。ところが、昼間にもかかわらず、ほぼ満員。昼間っから近江牛?ありえない!
安土・近江八幡市は、信長の城下町だったので、信長の財宝が管理されていて、住民がナイショで支給されているとか、くだらないことを考えている間に、カミさんが買い物をすませていた。1枚3000円のサーロインを5枚買ったという。3000円×5枚=1万5000円!?思わず、卒倒しそうになった。
僕が何か買うたびに、もったいないとか、ムダだとか、なんだかんだ難癖つける癖に、自分が大好きな牛肉なら、1万5000円でもオッケー!?納得できんわ!育ちが育ちなので、当分立ち直れそうにない。
近江八幡から、高速道路にのり、金沢にむかう。
1万5000円の近江牛が、頭から離れないので、ドライブに集中することにした。近江牛ごときで、子供の前で、夫婦げんかしたくないので。
今年の3月に買った新型カムリは、高速道路で威力を発揮した。ハイブリッドといえば燃費だが、追い越しがじつに爽快なのだ!
アクセルをちょっと踏み込んだだけで、キュィーンと急加速、先行車をあっという間に抜き去る。その気持ちのいいこと・・・ジェット戦闘機のアフターバーナーは、こんな感じなのだろうと、1人で悦に入っていた。
新型カムリは2500ccだが、2000ccとはゼンゼン違う。たった500ccで、こんなに違うんだ。しかも、燃費はリッター20km。トヨタの技術は魔法だな。
家に帰り、その晩は、もちろん、近江牛ステーキ。
で、感想は?
まぁまぁ。昔食べた「蓼科(たてしな)牛」や「神戸牛」のほうがうまかったような・・・調理方法もあるだろうけど、最高級じゃないとダメなのかな。(もっと高い近江牛がいくらでもあった)
結局、僕みたいな平民は、どうせ味は分からないのだから、焼き肉屋のステーキで十分なんだろう。
ということで、2泊3日の「信長の旅」は、無事終了した。
by R.B