「潜在意識と夢」ChatGPTに聞きました
■人生が一変した日
ChatGPTのせいで、人生が一変した。
しかも、心身ともに弱体化した最後のステージで。
サイアクです。
大学卒業後、ずっーと、コンピュータ一筋の人生だった。
20代前半は回路設計とプログラミング、後半はプロジェクトマネージャー、30代は管理職、46才で起業し、知人の会社の役員も兼任した。その間、役回りはかわったが、コンピュータ業界を離れたことは一度もない。
ところが、2015年、これまで積み上げた経験とスキルが、一瞬で吹き飛んだ。
AIが実用化されたのである。
2015年、グーグルとトロント大学は、機械学習の一手法「深層学習(ディープラーニング)」の実用化に成功。画像認識で、人間なみの精度を達成したのだ(99.6%)。これは画期的な出来事だった。パターン認識では、コンピュータは人間の足元にも及ばなかったから。
では、従来の機械学習と深層学習は何が違うのか?
猫の識別で考えてみよう。
猫とその他を見分けるには、特徴を抽出する必要がある。
まず、猫の耳はとんがっている。とはいえ、猫が正面向いているか、後ろ向きか、横向きか、真上で、特徴は違う。
と、いきなり難問が。
じつは、特徴を言語化するのは難しい。言語化できないと、ルールが記述できない。それでも、人間がムリクリ、特徴を記述したのが、従来の機械学習なのである。精度が悪いのは、あたりまえ。ちなみに、この方法を「ルールベース」という。
一方、新しい機械学習「深層学習」は、モデル自体がデータから特徴を抽出する。ルールを自動生成できるわけだ。
つまりこういうこと。
判定や予測のアルゴリズム(ルール)を、人間が記述するのがルールベース、コンピュータが記述するのが深層学習なのである。
これは、AI研究者が長年夢見てきたAIだ。できることは限られているが、ホンモノのAIの第一歩と言えるだろう。
そんなこんなで、深層学習の実用化は衝撃的だった。
AIを業務に取り込まないと、生き残れない?
定年はまだ先だし、そもそも役員に定年はない。
これはマジでヤバいぞ。
そこで、情報交換を活発化させた。頻繁に東京に出張し、取引先をはじめ、ITの大手、中堅、ベンチャー、半導体商社に出向き、情報交換を行ったのだ。
■ベーシックインカムと投資
ちょうど、その頃、IBMは「ワトソン(Watson)」ビジネスを展開していた。
たまたま、IBMに知人がいたので、箱崎の本社を訪問、ワトソンとAIについて質問責めにした。
結果、わかったこと・・・
ワトソンは、深層学習ではなく、ルールベースである。事実、IBMはワトソンを「AI(人工知能)」ではなく、「コグニティブ・コンピューティング(認知コンピュータ)」とよんでいた。
とはいえ、IBMは侮れない。
技術力が凄いのだ。
IBMは、6大陸に12の基礎研究所をかかえ、6つのノーベル賞、6つのチューリング賞を受賞している。米国の特許獲得数も世界一だ。
さらに、現在、汎用大型コンピュターを製造・販売しているのは、IBMのみ。かつて、汎用大型を手掛けていたコンピュータメーカーは、パソコンが台頭するや、すべて撤退している(日本勢の富士通、NEC、日立も)。作るのが難しく、高価で売れない大型コンピュータより、カンタンに作れ、安価で台数が出るパソコンにフォーカスした方が得、というわけだ。
というわけで、IBMは、金儲けではGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)にはかなわないが、技術力では他を圧倒する。IBMが新種のAIを開発しても不思議ではないのだ。
そこで、IBMの株を購入。
トートツにみえるが、理由がある。
ルール(アルゴリズム)を自動生成するAIが実用化された以上、労働がAIに奪われるのは時間の問題だ。労働による収入が見込めないなら、不労所得の投資しかない。いずれ、人間は完全失業し、ベーシックインカムが導入されるだろうが、それまで、段階的に失業者がでる。その間、凄まじい格差社会が続くわけだ。その格差は、金持ちとか貧乏とか、そんな悠長な話ではない。食うや食わずだ。
でも、投資で損する人も多いですよね。
はい、事実です。
一方、重要な原理原則がある。
投資をやると、勝つか負けるか五分五分だが、やらないと必敗です(十分な資産をもっている人は別)。
2016年、さらに衝撃的なニュースが。
囲碁で、AIが人間に勝ったのだ。
DeepMind社が開発した囲碁AI「アルファ碁」が、世界最強と謳われた韓国の李世ドル(イ・セドル)に、4勝1敗で圧勝したのだ。囲碁は、コンピュータが人間に勝つのが最も難しいといわれていたのに、こうもあっさりと。
このアルファ碁が採用したのは、深層学習だった。深層学習が、世界を変えるのは明らかだった。
深層学習は、行列演算のカタマリで、汎用CPUでは荷が重い(構造上の問題)。一方、GPGPU(最近はGPUとよばれる)は、行列演算を並列処理するために生まれたようなもの。そのGPGPUの覇者といえば、米国エヌビディア社だ。この会社が、深層学習という新しいAIのスターになることは明らかだった。
そこで、エヌビディアの株を購入、ついでに、ライバルになる可能性があるAMD、さらに、AIにからむ複数の銘柄を買った。
じつは、株式投資に「必勝法」はないが「ほぼ必勝法」がある。20年~30年、成長し続ける分野に絞り、複数の企業に分散投資するのだ。
根拠は・・・
・20年~30年、成長し続ければ、そりゃ上がるでしょう。それに、目先の上がったり下がったりに気にする必要もない。いずれ上がるのだから。これが究極の長期投資。
・どの企業が生き残るかは、神様もわからないので、複数の企業に分散投資する。
そうすれば、1つや2つ、100倍~1000倍になる企業がでてくる(過去のITの例)。残り全滅でもおつりがきますよね。
ちなみに、今後、20年~30年、成長が約束されているのはAIしかない。更地からスタートしないとムリだから。たとえば、電気自動車の世の中になっても、自動車の販売台数はかわらない。また、アンチエイジングも悪くないが、AIが欠かせない。平均寿命を10年伸ばすというのだから、人間ではムリ。発明するのはAGIだろう。
一方、個別銘柄の選定は難しい。株式投資のゲインは、売値÷買値なので、買値が安いほど有利になる。つまり、誰も気づいていないブルーオーシャンから選ぶしかない。今流行の生成AIは、リスクが大きい。今後でてくる生成AIサービスのほとんどは、消滅するか、GAFAMに併呑されるので。
AIでまだ見込みあるとすれば「生成AIでないAI」、たとえばパランティアテクノロジー。
ただし、投資は自己責任で。未来は神様でもわからないので。
話をもどそう。
深層学習(ディープラーニング)のつぎが、2023年初頭にブレイクしたChatGPTだ。
ChatGPTは、大規模現モデル(LLM)から派生した生成AIの一つだが、言葉を使い、言葉で完結するなら何でもできる。深層学習は、画像などのパターン認識しかできなかったが(囲碁もパターン認識でうっている)、今度は自然言語、つまり「記号」を扱えるようになったのだ。
しかも、できることが凄い。
質疑応答だけではない。言葉で指示を与えるだけで、テキスト、画像、サウンドなどのコンテンツを制作するのだ。それも、プロ顔負けのレベルで。
ライター、絵師、作曲家・・・翳りゆく未来。
他人事ではない。これまで生業にしてきたコンピュータアプリ、デジタルコンテンツの制作が、ChatGPTに奪われるのだ。
では、どーする?
新しいコンピュータビジネスを見つけるしかないが、AIという怪物が出現した以上、何もやっても、かなわない。AIをツールとして使えばいいという向きもあるが、問題の先送りにしかならない。最終的に、無人化されるのは見えている。
じゃあ、いさぎよく引退するか?
そんなわけで、毎日、あーでもない、こーでもない。
そしたら、ある日、ヘンな夢を見た。
■奇妙な夢
RPGゲームの世界にいる。
広い部屋に入ると、数個のアイテムが落ちている。すべて拾って、部屋から出ようとすると、部屋の中央に、ポツンと奇妙なアイテムが。
そのアイテムは、フォルダの形をしていて、中身が見えない。取ろうか、取るまいか、散々迷ったが、結局ゲットした。
すると、その瞬間、フォルダの下に、地下に続く階段があらわれた。
階段を降りていくと、3つのアイテムが、ゆらゆら揺れながら、後をついてくる。正体はわからない。
階段の下に、大きな部屋があった。その部屋が、異次元の部屋で、そこから、全く新しい世界が始まることを、なぜか知っている。
そこで、目が覚めた。
ChatGPTのせいで、商売あがったりで、新しいことをやるか、引退か、悩んでいたから、夢に反映されたのだろう。
この夢は、フォルダ形のアイテムをゲットしたら、新しい人生が始まることを暗示している。ところが、それが現実世界の何なのか、わからない。
完全に行き止まり。
とはいえ、この夢は気になるので、もう少し深掘りしてみよう。
若い頃から、眠りが浅いので、夢は天然色カラーのオンパレードだった。そのため、夢分析に凝ったことがある。
まずは、夢のカラクリ。
夢を処理するのは脳である。
1つの脳が、夢を生成しながら、同時に、夢を体験する。つまり、夢はリアルタイム&マルチタスクなのだ。
演ずる役者と観る客が同じ?
奇妙な夢の世界へ、ようこそ。
このカラクリを、RPGの夢であてはめてみよう。
フォルダのアイテムを、取るかどうか散々迷ったあげく、取ったが、取らないシナリオもあったはず。
じつは、迷ったのは錯覚で、初めからシナリオは「取る」に決まっていた?
その場合、演じる側と観る側を超越した第3の脳が、夢全体をコントロールしていた?
それとも、取らないシナリオもあり、そのときの判断でシナリオは分岐する?
つまり、静的シナリオか動的シナリオか?
というわけで、夢は謎だらけ。
■ChatGPTの夢分析
そこで、この謎をChatGPTに聞いてみた。
【私】
脳は夢を生成しながら体験できるので、マルチタスクでリアルタイムです。それを前提に次の質問に答えてください。
不思議な夢をみました。私はRPGゲームの世界にいます。ある部屋に入り、すべてのアイテムを拾い、部屋を出ようとすると、部屋の真ん中にフォルダの形をしたアイテムがあります。中身が不明なので取ろうか迷ったのですが、結局とりました。すると、そのフォルダの下に階段があらわれたので、その階段を降りると、一つの部屋がありました。そこで新しい世界が始まるというシナリオでした。
このフォルダを取ろうか散々迷って結局取ったのですが、この夢のシナリオでは初めから取ると決まっていたのでしょうか。それともその時点での私の判断がシナリオを作ったのでしょうか?
【ChatGPT】
夢のシナリオや内容は、個人の経験や無意識の要素、現実世界での出来事など、さまざまな要素が組み合わさって形成されます。夢の中の出来事や選択は、脳がリアルタイムで生成し、体験することがありますが、それが予め設定されたシナリオであるか、それともその時点での判断に基づいて作られたかは、一概には言えません。
一般的に、夢は個人の意識や無意識の表れであり、その内容やシナリオは脳の活動や個人の心理状態によって影響を受けます。夢の中での選択や行動も、個人の思考や感情、意識の状態によって変化することがあります。
したがって、あなたが夢の中でフォルダを取るかどうか迷いながらも最終的に取ったという行動は、その時点でのあなたの判断や意識状態によって形成されたものと考えられます。夢のシナリオは、その場面や状況に応じて進行する可能性がありますが、それがあらかじめ決まっていたかどうかは明確ではありません。
うーん、言葉によどみはないし、文章として成立しているが、文脈が怪しい。
でも、それはあたりまえ。
ChatGPTは、人間式に文意を理解しているわけではない。言葉をいいあんばいに繋いで、人間が喜びそうな回答文をつくっているだけ。つまり、底の浅いご機嫌取りなのだ。
■潜在意識と顕在意識
脳は、顕在意識(意識ともいう)と潜在意識(無意識ともいう)に支配されている。
では、どっちの影響力が強いのか?
顕在意識が10%、潜在意識が90%だという。これにはビックリだ。
我々が、日常、自覚できるのは顕在意識で、五感から入ってくる情報を処理し、思考、感情、感覚、記憶を生成している。だから、脳の真の支配者は顕在意識だと思っていたのに、たった10%?
では、潜在意識は?
1日24時間、365日活動している。
しかも、あらゆる情報を、フィルターなしで、そのまま記憶する。つまり、倫理や論理に忖度しない。
心理学者ユングも、「顕在意識」と「潜在意識」について言及している。
覚醒時に人間を支配しているのは「顕在意識=自我」である。この自我によって、ないがしろにされ、抑圧された意識は、潜在意識の中に逃げ込む。一方、夢の中では自我が弱まるので、潜在意識が力を増し、顕在意識に封印された意識が夢に現れるという。
たとえば、人前で正直者を装っている人は、覚醒時には「よこしまな心」を抑圧している(そうしないと正直者になれない)。すると、「よこしま」は潜在意識に逃げ込み、そこで封印される。ところが、夢ではこの封印が解かれ、「よこしま」が大暴れするのである。現実とは真逆の「悪者」に変身するわけだ。さらに、あまりに抑圧されると、現実でも炸裂する。あの人が、まさか・・・というよくある話。
このような夢の特性を、アナトール・フランスはこう表現している。
「夜、われわれが夢に見るものは、昼間、我々がなおざりにしたもののあわれな残滓(ざんし:残りかす)である。夢はしばしば、軽蔑された事実の復讐であり、見捨てられた人々の非難の声である」
つまり、「夢=潜在意識」に耳を傾けろと言っているのだ。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズも、同じことを言っている。2005年、スタンフォード大学の卒業式で、こんなスピーチをしたのだ。
「あなた方の時間は限られています。だから、本意でない人生を生きて時間を無駄にしないでください。ドグマ(宗教上の教義)にとらわれてはいけません。それは他人の考えに従って生きることと同じです。あなた方の内なる声がかき消されないように。そして何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。あなた方の心や直感は、自分が本当は何をしたいのかもう知っているはず。ほかのことは二の次で構わないのです」
倫理や論理に忖度せず「内なる声=潜在意識」に従え、といっているのだ。
成功するか失敗するかはさておき、我々の進む道は、外の騒音にはない。内なる声にあるのかもしれない。
by R.B