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週刊スモールトーク (第41話) 金地金と金貨 ~幻想のマネー~

カテゴリ : 経済

2006.04.07

金地金と金貨 ~幻想のマネー~

■預金の幻想

おカネで、あまり知られていないコワイ話がある。預金者が一斉にATMの前に並ぶと、おカネが引き出せない・・・もちろん、ATMの中の札束が不足するという意味ではない。銀行そのものに払い戻すおカネがないのである。これは、破綻寸前の銀行に限った話ではない。では、どうしてそんなことが起こるのか?

たとえば、Aさんが銀行に100万円を預金したとする。銀行はAさんに利息を払うため、100万円をB社に貸し付け、利息をとる。ところが、B社は借りた100万円をすぐに使わないので、一旦銀行に預金する。すると、銀行はこの「B社の100万円」をC社に貸し出す。C社もすぐに使わないので、一旦銀行に預金する。さて、この時点で、Aさん、B社、C社は、銀行にそれぞれ100万円ずつ預金したことになる。

ある日、この3つの預金者が銀行から同時に100万円を引き出そうとしたとする。合計300万円が銀行から引き出されるわけだが、元々あったおカネはAさんの100万円のみ。つまり、「300万円-100万円=200万円」が不足する。一体、どうなっているのだ?

これは、話を単純化してあるが、核心は真実である。一方、識者は現実にはそんなことは起こらないと言う。その根拠は、
「預金者が不安にかられ、一斉にカネを引き出すことはない」
と信じているから。つまり、今の金融は「信用」の上に成り立っている。そして、この目に見えない「信用」を前提に、現金の何倍、何十倍ものおカネが存在するのだ。さらにコワイのは、これが世界共通のルールであること。

今、巨大な投資マネーが有利な投資先を求めて、世界中を駆けめぐっている。この短期資本は世界の貿易決済資金量の40倍にもなる。消費や生産に必要なマネーより、働かずして儲ける投資マネーの方が圧倒的に多いのである。投資マネーは、株、債権、意味不明の金融商品、ドル、円、次々と姿を変えて世界中を駆けめぐっている。ただ、取引のたびに、株券やドル紙幣が移動するわけではない。

マネーは、あくまでコンピュータ上の数字で、実体は全く無い。権利者の間を、数字が行ったり来たりしているだけ。権利者は信用だけが頼りの「権利」を所有しているに過ぎない。しかも、その権利というのが、コンピュータに記録された数値でしかない。もし、全面核戦争が起これば、核爆発の電磁パルスでコンピュータの磁気データは消滅する。もちろん、権利も。

権利が消滅する可能性はまだある。基軸通貨のドルや株価が暴落し、金融不安に陥れば、「信用」は崩壊し、金融にからむすべての価値は崩壊する。畑のジャガイモの方がよっぽど価値がある。空腹をしのげるのだから。乱暴な言い方だが、これがマネーの本質なのだ。

■現金の幻想

高齢者に人気があるのが「タンス預金」。彼らは太平洋戦争の辛い体験から、銀行を信用せず、現金を家に隠し持っている(タンスとは限らない)。だが、「タンス預金」も「銀行預金」も似たようなものだ。行き着くところ、
「マネー=国家への信用」
なのだから。国が保証するマネーが信用できない?そう、マネーの価値が崩壊した例は、歴史上枚挙にいとまがない。

猛烈なインフレが起これば、マネーの価値は簡単に崩壊する。1930年代、ドイツで物価が1兆倍になったことがある。マネーの価値が1兆分の1になったわけだ。ここまでくると、貨幣制度そのものが破綻している。この現象はハイパーインフレといわれ、
「モノの量<<マネーの量」
が極端にすすんだ時に発生する。このときのドイツのハイパーインフレは、第一次世界大戦の後、生産力が低下し、モノ不足が深刻なときに、政府が紙幣を刷りまくったため起きた(第二次世界大戦の原因)。

また、国の政策で、マネーが崩壊することもある。1991年、ソ連政府は突如、100ルーブルと50ルーブル紙幣を無効にした。ヤミ商人が貯め込んだ高額紙幣を無効にし、ヤミ商売の撲滅を狙ったのである。ところが、当然、一般国民の高額紙幣も紙くずになった。もちろん、猶予期間がもうけられたが、制限付きの処置で、多くの国民が財産を失った。ソ連の歴史でこのような処置は一度や二度ではない。そのため、ソ連国民は自国通貨のルーブルを信用していない。一方、ヤミ商人たちは、資産の多くを「金(Gold)」で所有していたという。

■マネーの幻想

歴史をみれば、マネーは国の「信用」に依存していることは間違いない。そもそも、マネーを保証するのは国なのだから。それなら、不安だらけの自国通貨など捨てて、世界の一等国のマネーに交換すれば?たとえば、アメリカドル。アメリカドルは世界の基軸通貨で、一見、万国共通マネーにみえる。モノ、サービス、資本など国際取引決済のメインはアメリカドルだし、石油取引の決済にいたっては、アメリカドル1本(2006年4月)。これなら、間違いない?

だが、アメリカドルは神が定めた地球標準ではない。デァクトスタンダード(事実上の標準)にすぎないのだ。そもそも、基軸通貨の根拠からしてあやしい。
1.世界経済への影響力が大きいこと
2.国際金融市場が大きいこと
3.軍事力が強大であること

定性的で限りなくあいまい。当然、基軸通貨が変わることもありうる。実際、近代において、世界の基軸通貨はイギリスのポンドだった。

現在、アメリカドルが基軸通貨である一番の理由は「GDP世界一」。GDPは国内で使われたおカネの総計で、国の経済力を表す。GDPが一番なら、世界経済への影響力も一番、誰も文句は言えない。ところが、中国のGDPがアメリカを抜いて、世界一になるのは見えている。中国の人口は13億、アメリカは3億、そうなるのは時間の問題だ。一方、中国は軍事力も強化しているので、あとは国際金融市場のみ。将来、人民元が基軸通貨になる可能性もある。ユーロも伸び悩んではいるが、将来、米ドルに代わる可能性もゼロとはいえない。

ということで、マネーは断じて「絶対的」なものではない。マネーは「信用」が大前提で、信用は国頼み。しかも、国家も絶対的なものではない。しょせん、時代が生み出したバーチャルパワーにすぎないのだ。これは地球の歴史年表をみれば明々白々。人類5000年の歴史で、どれだけの王朝が滅んだことだろう。やはり、真の価値があるのは「人工」ではなく「自然」。

■金とマネー

経済には大きく2つのパターンがある。
1.モノの量>マネーの量→モノの価値が下がる→物価下落→デフレ
2.モノの量<マネーの量→モノの価値が上がる→物価上昇→インフレ

地球のこれまでの歴史をみると、たいていインフレ。技術レベルが低いのでモノの生産性が低く、「モノの量」が少なかったから。ところが、現代では、技術進歩によって生産性が向上し、世界中でモノが溢れている。つまり、デフレ。

ところが、「金(Gold)」には面白い性質がある。モノとマネーの2つの顔をもっているのだ。しかも、金には国籍がないので、国のリスク(ソブリンリスク)もない。それどころか、時間をも超越している。たとえば、タイムマシンに乗って江戸時代に行ったとして、1万円札を使おうものなら「御用」だが、金なら立派に通用する。

つまり、金の価値は地球の空間と時間を超越している。定住の地に縁がなかったユダヤ人が金を肌身離さず持ち歩いたのはこのような理由からきているのだろう。

■金をもつ理由

人はなぜ金を持つのか?WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)が2004年2月末から3月に実施した調査を紹介しよう(田中貴金属工業資料より)。
【第1位】金は無価値になることがない。
【第2位】世界中どこでも換金可能。
【第3位】金はインフレにつよい。
【第5位】金は燃えない資産。
【第6位】長期的に上昇する。
【第11位】銀行で貯金しているより安全。
【第13位】金そのものが好き。

第1位の「金は無価値になることがない」は、金特有の性質からきている。まずは、その希少性。地殻内で、1トン当たりにその物資が1g存在する量を1ppmというが、金は0.004ppm。ところが、レアメタルのウランでさえ4ppm。その希少性が容易に理解できる。

また、金は酸素や水、強い酸やアルカリにも反応しないので、容易に変質しない。だから、金は保管場所を選ばないし、価値も半永久的。保存という点では、ベストの財産だろう。

さらに、山吹色の謎めいた光沢も所有欲をかきたてる。そのため、金は古代より装飾品の素材として用いられてきた。紀元前3500年のシュメール文明、エジプト文明などの古代遺跡から、金の装飾品が多数出土している。人間と金のつきあいは古いのである。また、現代では装飾品にくえわえ、工業品にも使われている。たとえば、電気を伝えやすく、腐食しにくいため、電子部品のコネクター部分や、ICの接合部にも使われている。

また、金は赤外線を98%反射する。そのため、宇宙空間の強い赤外線を遮断するため、宇宙船や宇宙服にも使用されている。実際、スペースシャトル1機に25kgもの金が使用されているという。ちょっと、高価な断熱材だが。

第3位の「金はインフレにつよい」は、金がモノに属することに起因している。インフレになって、マネーの価値が下がれば、マネーをモノに交換したほうがいい。ただ、モノといっても、石油ではかさばるし、日用品はマネーに再交換できない。というわけで、かさばらず、交換が容易な金、ということになる。

第5位の「金は燃えない資産」というのも面白い。確かに、金は燃えてなくなることはない。高熱であぶられても、融けるだけだし、融けても金は金。金の価値は、形状ではなく素材にあるので、価値が変わるわけではない。つまり、
「金の価値=金の重量」

第6位の「長期的に上昇する」はすでに現実となっている。ところが、「長期的」にくわえ、「短期的」にも金が急騰している。過去1年間、円ベースで価格が1.7倍になっている(2006/4時点)。株式投資でも、こんな幸運には巡り会うことはめったにない。

金の長期的な高騰を数字を見てみよう。まず、金の量単位はトロイオンスで、
「1トロイオンス=31.1g」
1973年、1トロイオンス「127ドル」から、2005年には「538ドル」まで上昇している。1980年のイラン・イラク戦争では、1トロイオンス「850ドル」という歴史的高値をつけたが、それをのぞけば、ここ数年、一本調子で上昇を続けている。

金の高騰は一過性のものではないだろう。とすれば、何か原因があるはずだ。金価格は、基本的に需要と供給で決まる。
・需要>供給→金は上昇
・需要<供給→金は下落

まずは、金の需要。世界の基軸通貨アメリカドルへの不信感が高まり、世界中のマネーがドルから逃げだそうとしている。その有力な行き先が、金だ。さらに、欧米の年金基金はコンスタントに金を買い続けている。彼らは、短期に利ざやを稼ぐ投資ファンドが利益確定のため金を売れば、それを買う。また、中国やインドでは、歴史的に金が好まれるが、最近、高度経済成長の波に乗り、金の需要が急増している。しかも、宝飾品、金地金、金貨、電子機器の接続部分と、金需要のすそ野は広い

一方、金の供給はかなり心もとない。現在、年間2500トン産出され、再利用分も含めると、4000トンが供給される。また、地球に埋蔵されている金は7600トン(WGC調査)だが、その大部分は採掘困難な場所にあり、30年以内に金は枯渇するという。そうなれば、今ある金を再利用するしかない。供給が一定で、需要が天井知らずなら、価格が高騰するのは当然だ。

この5年間の金相場の推移を、以下に示す。データは1トロイオンス当たりの米ドル価格だが、金価格が1本調子で値上がりしていることがわかる。日本で、金を購入する場合、円建てなので、円・ドルの為替レートの影響も受ける。最近の為替レートは比較的安定しているので、5年前に金を買った人は、今売れば大儲け。ただし、金保有の目的はカネ儲けではなく、リスクヘッジ(インフレヘッジ)と考えたほうがいいだろう。

ドルベースでの金価格、
2001年293ドル
2002年349ドル
2003年417ドル
2004年456ドル
2005年538ドル
(田中貴金属資料)

第11位の「銀行で貯金しているより安全」は、第1位から第13位までの理由と根は同じ。また、第13位「金そのものが好き」も面白い。たしかに、石油や不動産を眺めてうっとりする人はいないだろう。

■金本位制

それなら、「マネー=金」にすればいいのでは?じつは、19世紀後半から20世紀初頭にかけてはそうだった(金本位制)。世界の主要国が発行する紙幣は、金貨との交換が保証されていたのだ。ところが、第一次世界大戦が勃発すると、各国は軍事増強のため紙幣を刷りまくった。ところが、それに見合った金がない。そこで、マネーと金の交換を放棄したのである。その結果、マネーは急増し、ドイツでは歴史的なハイパーインフレを引き起こした。

一方、経済活動がスケールアップすれば、それに見合ったマネーが必要になる。ところが、金の供給が追いつかない。というわけで、急増する経済活動を希少な金で裏付けるほうがムリ。金本位制が崩壊したのは必然であった。

■日本の外貨準備の危うさ

というわけで、増え続ける世界経済を支えるのはマネーしかない。そこで、まだマシなマネーとして選ばれたのがアメリカドルだった(基軸通貨)。日本は世界有数の金持ち国だが、外貨準備は7000億ドル(2004年)。そして、そのほとんどをアメリカドル(アメリカ国債)でもっている。

しかし・・・

為替レートは毎日変動するし、アメリカが外交につまづいたり、国内の経済が悪化すれば、たちまちドルが暴落する。もちろん、それなれば、日本の財産(外貨準備)の価値も暴落する。では、外貨準備の一部を金で持てばいいのでは?実際、外貨準備に占める金の割合は、アメリカが58%、ドイツ、フランス、イタリアなどヨーロッパ諸国は50%前後。ところが、日本は1.5%と主要国の1/30。日本の「外貨準備=財産」のほとんどが、「アメリカの成り行き」に依存していることになる。アメリカに「おんぶにだっこ」は軍事だけではないのだ。「ポチ」と蔑まれるわけだ。

では、なぜ、日本政府は金を買わないのか?そう簡単にはいかないのだ。日本は虎の子の「外貨準備=ドル」を守るため、ドルが下がれば、ドルを買って下落を食い止めようとする。これが、「円売り・ドル買い」の為替介入だ。実際、日本は2003年1年間で20兆円もの円売り・ドル買いを行っている。

一方、
「金を買う=金を買うためドルを売る」→「ドル下落→日本の財産が減る」
つまり、先の円売り・ドル買いと矛盾する。日本政府がどうしても外貨準備の金の比率を上げたいなら、一般市場ではなく、各国政府と直接取引するしかない。モタモタしていると、円高がすすみ、何もしないのに日本の財産が減っていく。やっぱり、「ポチ」。

■金の所有方法

それなら、国なんか放っておいて、個人で金を買えばいい。では、個人で金を買うとして、どんな方法があるのだろう。まず思い浮かぶのは、金貨(コイン)だ。金貨には「収集型金貨」と「地金型金貨」がある。

収集型金貨は、トリノオリンピック金貨のような記念金貨、過去に通貨として使われていた金貨である。その価値はデザインや歴史的意味、さらに希少性で決まる。売りたい人と買いたい人の需給関係で値が決まるので、いわゆる骨董品。ただ、購入時の何倍にもなることは希。この手の儲け話は、バブル崩壊と同時に終わっている。

一方、「地金型金貨(じがねがたきんか)」は、投資目的でつくられた金貨で、金の含有率が高く、価格は毎日の金相場に連動する。また、流動性が高いので換金性にも優れる。さらに、予算に応じて購入できるよう、1kgから1.6gまで、8種類の商品が用意されている。そのため、貯金代わりに購入する人も多く、特にヨーロッパでは人気が高い。

次に、金塊でもつ方法。いわゆる「金の延べ棒」で「金地金(きんじがね)」とよばれている。地金型金貨同様、予算に合わせて購入できるよう、複数の商品が用意されている。ラージバーとよばれる「1kg」、「500g」、スモールバーとよばれる「300g」、「200g」、「100g」が一般的だ。金地金には重量の他に、品質や鋳造業者名も刻印されている。品質表示は金の純度を表し、日本で売買されるのは「99.99%」、いわゆるフォーナインだ。鋳造業者は、金塊を溶解し金地金を鋳造した業者で、「ブランド」を意味する。

金取引のメッカ、ロンドン金融市場の取引に参加するには、LBMA(ロンドン地金市場協会)の審査を受けて、公認溶解業者と認定されなければならない。バーに、このLBMAの公認溶解業者の刻印があれば、純度、品質が無条件で信用される。全世界で公認溶解業者に指定されているのは世界で55社、日本は12社(2004年)となっている。金といえども、ブランドが大きくものを言うわけだ。

また、金地金を売買する時は、手数料が必要なので注意が必要だ。ただし、ラージバーは手数料は不要なので、他のバーよりはお得。しかし、ハイパーインフレになれば、金とマネーの交換を小刻みに行う必要がある。金をマネーに換えたとたん、マネーの下落が始まるからだ(インフレなので)。このような用途なら、小口で売買できる地金型金貨がいいだろう。地金型金貨は売買手数料もかからないので。

ただし、地金型金貨は注意が必要だ。地金型金貨の価格は、
「金の重量分の価格+プレミア分の価格」
ここで、プレミアとは金貨の鋳造費用や流通費用である。もし、金貨に傷がつけば、プレミア分が損なわれるので、その分価格が下がる。保管には注意が必要だ。

また、金の大手取引業者の中には、金の定額貯蓄を行っているところもある。毎月金額を決めて、金を購入するのである。金相場は毎日変動するが、購入金額を決めておけば、金価格が高いときには少量、安い時には多く購入できるのでリスクが少ない。また、業者側で金の保管もしてくれるので盗まれる心配もない。さらに、購入した金は2、3日で現金化できるので流動性も高い。

■金の未来

日本人は他国から侵略を受け、身一つで逃げ出した歴史がない。だから、世界に類を見ない「国を信用する」国民である。国を信用しているわけだから、「マネー=円」も信用し、ひたすら貯金に励んでいる。だから、「地球普遍の財産=金」に対する欲求がない。日本人の不用心さは、こんなところにも表れている。

歴史をみると、地球上の「No.1価値」は時代とともに変遷してきた。古代の「鉄」、大航海時代の「スパイス」、面白いところでは「オランダのチューリップ」。ところが、いずれもその時の価値は失われてしまった。

おそらく、現代の富の象徴「金融商品」も砂上の楼閣だろう。資本主義という制度の上で成立している権利に過ぎず、実体もコンピュータ上の数字の羅列。ところが、古代から現代まで、その価値を失わなかったモノが1つだけ存在する・・・Gold(金)。

ここに、興味深いデータがある。地球の歴史上、金は衰退する国から逃げだし、隆盛に向かう国に流入する。現在、金を大量に輸入している国は、アジアと中東諸国。一方、大量に輸出しているのが日本。1990年をピークに、日本の金の輸入量は減少を続け、2005年から輸出が急増する。金が日本から逃げ出しているのだ。

かつて、半導体は産業のコメといわれ、日本が世界を席巻した。そのピークが1990年で、その後、日本の競争力は下がり続けている。つまり、日本の金の流出と、半導体産業の衰退の時期が一致している。金は国家の衰亡を予言しているのかもしれない。

by R.B

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