メタボの原因と対策(2)~ストレス解消法~
■プログラマーのストレス
土曜日の昼下がり、完全にテンパイした。プログラムが1行も書けないのだ。
今、書いているのは究極のチャットボット、雑談の相手をしてくれるマシン。
「究極」と言い張るのだから根拠はある。人間と「言葉」は共有するが、「概念」が異なる知的存在。つまり、人間をマネた「人工知能=エセ知性」ではない。カンタンに言えば「未知との遭遇」。これに優るワクワク・ドキドキはないだろう。まさに、究極の知的エンターテインメント・・・
ところが、専門家(評論家?)は「雑談」が一番難しいと言う。
とりとめもない、答えのない、あいまいなものは、「計算」できないから。
でも、本当にそうだろうか?
正解がないなら、テキトーでいいではないか。実際、人間の雑談もそうだし。つまり、愉しければいい。
むしろ、正解が求められる「タスク型」の方が難しいだろう。
膨大な知識ベースと強固なロジックが必要だから。そのぶん、膨大な手間とコストがかかるが。
その象徴が、IBMの「Watson(ワトソン)」だろう。
現在、Watsonは、医療、法務、税理・会計、信用調査、コールセンター、教育とあらゆる分野に進出している。行き着くところは・・・人間に取って代わる。IBMはWatsonを友だちと言っているが、信じない。
Watsonは、専門性の高い仕事が得意だ。そのぶん、膨大な手間とコストがかかる。事実、Watsonを導入しようとすると、
1.初期費用(コンサル、要件定義):ん千万円~
2.開発費用(作り込み&機械学習):ん億円~
3.月間使用料(クラウドサービス):200万円~
作るのに一体いくらかかったのだ!?
というわけで、タスク型のチャットボットは、開発費「ん百億円、ん千億円」の世界。だから、タスク型をやるつもりはない。「愉しければいい」雑談AIにフォーカスしている。
愉しければいい雑談!?
バカにしてはいけない。需要は巨大なのだ。ドメイン(分野)が広大で、一つのソリューションに帰着しないから。つまり、ベンチャーにもチャンスはある。ただし、問題が一つ、プログラマーがいないのだ。社内はもちろん、金沢にも。
現在、AIの開発言語は「Python」が主流だ。言語仕様がAIに最適というわけではないが、ライブラリがハンパなく多い。それが人気の理由だろう。ところが、欧米にくらべ、日本はPythonプログラマーが不足している。東京でも確保できないのだから、金沢にいるわけがない。
そんなわけで、一人で、細々コードを書いている。平日は雑用に追われるので、土曜日にかため書き。ところが、なかなかはかどらない。それはそうだろう。加齢で思考の連鎖が短くなっているから。
まるでテロメアだ・・・
「テロメア」とは染色体の末端にある領域で、細胞分裂するたびに短くなっていく。そして、ある長さ以下になると、細胞分裂が停止する。そこが「寿命」なのだ。
じつは、プログラマーも同じ。
思考の連鎖が徐々に短くなっていき、ある長さ以下になると、プログラムがまったく書けなくなる・・・生命寿命の前に、プログラマー寿命がつきるわけだ。
あー、やだ・・・ストレスがたまる。いつもの金沢散策に行くぞ!
■百万石まつり
【長町武家屋敷跡】
金沢の観光スポットの1つ「長町武家屋敷跡(ながまちぶけやしきあと)」に向かった。
車を市内の駐車場に停めて、せせらぎ通りを通って、長町武家屋敷を巡る・・・予定だった。
最近、この界隈は、「サムライ、サラムライ」とヘンな日本語が飛び交っている。白人がビデオカメラ片手に、コーフンしているのだ。
彼らにしてみれば、ワクワク・ドキドキの異文化なのだろう。日本人でさえ、タイムスリップしたようなカンカクに陥るのだから。
ところが・・・
車が市内に入れない。金沢駅で通行止め!
テロ?
んなわけない。
金沢は、殺人事件が10年に一度、という平和な街なのだ。
金沢駅周辺に車を停めるしかないが、どこも「満車」。「空車」は、金沢駅前のファッションビル「FORUS」の駐車場のみ。しかたがないので、そこで車を停める。
ふと、FORUSで買い物すると駐車料金がタダになることを思い出した。そこで、「NICOLE」の店に行き、夏物のパンツとシャツを買う。前に買ったブルーのジャケットにあわせて。店員にそそのかされ、ベルトも・・・それが間違いだった。
レジにいくと、しめて4万9000円也。
はぁ?
明細をみると、パンツ1万9000円、シャツ1万1000円、ベルト1万5000円。
パンツとシャツはさておき、ベルトが1万5000円?
どーゆーこっちゃ!
ベルトがこんなにするとは・・・値段を確かめるべきだった。
そういえば、以前、日本橋の三越で「25,000円」のネクタイを買ったことがある。老眼で「2,500円」に見間違えたのだ。あの後、あわてて老眼鏡を買ったが、歳はとりたくないものだ。
そのとき、母の教訓を思い出した・・・
「歳をとったら、ちゃんとした格好をしなさい。みっともないから」
これでナットクさせるしかない。1万5000円のベルトで何ヶ月もひきづったらたまらないから。
買い物を終えて、街を散策しようと思ったら・・・歩道が異様に混んでいて、前に進めない。
つぎは、なんだ?!
じつは、この日、第66回金沢百万石まつりだったのである。
「百万石まつり」は、1583年6月14日、加賀百万石の祖「前田利家」が金沢に入城したことを祝うお祭り。そのハイライトが「百万石行列」なのだ。長大な行列が、金沢のメインストリートを埋め尽くしている。車が市内に入れないわけだ。
【百万石行列(お松の方)】
百万石行列は、勇壮で、華やかで、スケールが大きい。
前田利家と正室のお松の方、槍隊、鉄砲隊、女官の隊列が、金沢の街路をゆっくりと進む。
行列の全長は2~3kmはあろうか。沿道には人、人、人・・・花見よろしく、シート敷いて陣取る強者もいる。
ちなみに、前田利家とお松の方は、毎年、俳優が演じている。今年は、前田利家が保阪尚希、お松の方が佐藤藍子だった(後で調べた)。
というわけで、この日の金沢散策は、百万石行列の見物で終わった。人混みで「武家屋敷」まで行けなかったのだ。
とはいえ、初めて観る「百万石行列」は、新鮮だった。
戦国時代の衣装はきらびやかだし、武者と見物人の即興コミュニケーションもある。不思議な一体感と愉しさがあるのだ。
気がついたら、ストレスはすっかり消えていた。
つまりこういうこと。
ストレスにハッキリした原因があるなら、立ち向かうしかない。原因を除去しないかぎり、回復しないから。
一方、仕事に疲れた、人生に疲れた、なんとなくブルー・・・そんな漠然型ストレスなら、古い時代のお祭りは最高だ。時空を超越し、現実を忘れられるから。たとえ、一時であっても。
■ストレス解消法
現代人はストレスと闘っている。
ストレスは「心の持ちよう」なんて言っている場合ではない。放置すれば、心の病気、最悪、自殺もありうるのだ。
それだけではない。
ストレスは、心だけでなく身体も傷つける。それも目に見える形で。
ストレスは、血圧と血糖値を上昇させ、心筋梗塞や脳梗塞の原因になるのだ。
では、ストレスを感じたら、どうしたらいいのか?
我慢しないこと!
そのまま怒りを爆発させ、ストレスを発散させる・・・ちょっと待った!それは最悪だ。
メカニズムを説明しよう。
人間の感情をつかさどるのが大脳辺縁系。激しい感情がわくと、この部位で大量の酸素が消費され、その2%が活性酸素に変わる。活性酸素は老化や病気の原因になるのはよく知られている。つまり、ストレスを発散させようとして、逆に身体を傷つけているのだ。
じつは、もっと恐ろしい害がある。
血圧と血糖値が急上昇し、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすこともある。老化や病気どころか瞬殺・・・シャレにならない。
その前に、友だちが一人もいなくなる・・・これが最悪かも。
ただし、すべての「感情」が悪いわけではない。身体に良い感情もあるのだ。
喜んで、楽しむ、つまり「喜・楽」。
前述したように、激しい感情は活性酸素を発生させるので、「怒・哀」は老化と病気の元。
ところが、「喜・楽」はオキシトシンというホルモン物質を分泌する。
オキシトシンは、血圧を下げ、心臓機能を向上させ、幸福感をもたらす。そのため、幸せホルモンともいわれている(※)。
というわけで、怒りを爆発させてはいけない。
では、ストレス解消法は?
喜んで、楽しめ!
カンタンにできれば苦労はない・・・たしかに。
そこで、「お祭り」にくわえ、ゲーテのストレス解消法を紹介しよう。
1.スんだことをクヨクヨしない。
2.めったに腹を立てない。
3.いつも現在を楽しむ。
4.とりわけ人を憎まない。
5.未来を神にまかせる。
結局、「心の持ちよう」なのですね。
そんなこと、百も承知?
では、実践するしかないですよ。
薬を飲んでも、注射しても、手術しても、治らないのだから。
参考文献:
(※)「ずっと信じてたあの知識、実はウソでした!」トキオ・ナレッジ著宝島社
by R.B