■東日本大震災・2011年3月27日 2011.03.27
【3月26日(土)】福島第1原発から半径20~30km圏内が、「自主避難」と決まった。
その意味するところは、・逃げられる人(強者)→脱出・逃げられない人(弱者)→とり残される
つまり、政府みずから「弱肉強食」の世界をつくり出している。「秩序を保つ」のが政府の仕事なのに・・・
すでに、半径40kmの飯舘村の土壌で、1平方メートル換算で326万ベクレルのセシウム137が検出されている。これは、チェルノブイリ原発事故で強制移住の対象となった値の6倍にあたる。半径40km圏内でも危険なことは小学生でもわかる。
危険かどうかは距離だけでは判定できない?なるほど。しかし、もしそうなら、半径40km以遠でも、場所によっては危険なのでは?安全をふんで、20km~30km圏内は、「自衛隊の車両を使った強制避難」しかないと思うのだが。
【3月27日(日)】福島第1原発の南放水口の海水から、法令が定める濃度限度の1250倍の放射性ヨウ素が検出された。
原子力保全・保安院の発表)東京電力によると、「汚染された水が海に流れ出た可能性が高い。たまり水との関連は否定できない」
何のんきなこと言っている。それしかないだろう。
東京電力と協力会社の作業員は、今でも、高濃度の放射線の中で、死の恐怖と極限の疲労と闘っている。同じ会社なのに、なぜ、こんなに差があるのだ?これでは、組織の一体感は生まれない。東電の経営陣は、自社の作業員の「命がけ」に見合う、行動をおこすべきだ。
現在、最も憂慮すべきは放射能汚染だろう。福島第1原発から流出した放射性物質は、大気と海と土壌を汚染しつつある。問題は、人体にどのような影響を与えるかだ。
放射線の量をあらわす指標は3つある。1.シーベルト(Sv):人間の被ばく量を表す。2.グレイ(Gy):空気など物質に含まれる放射線量を表す。3.ベクレル(Bq):放射線を放つ根源の能力を表す。
違いを一言で言うと、放射線を放つ能力は「ベクレル(Bq)」、放たれた放射線が大気や物質に含まれる量は「グレイ(Gy)」、それが人体に与える影響は「シーベルト(Sv)」で表される。
ただし、「シーベルト(Sv)=グレイ(Gy)」と考えていい。
次に、量について。「1ミリ=1/1000メートル」から想像がつくように、ミリは1/1000、マイクロは1/1000,000。これをシーベルトに当てはめると、「1マイクロシーベルト=0.001ミリシーベルト=0.000001シーベルト」となる。
また、単位をアルファベットで記す場合は、マイクロシーベルト→uSvミリシーベルト→mSv
また、たまに「nGy(ナノグレイ)」という単位をみかけるが、ナノは1/1000,000,000なので、単純に1000で割れば、マイクロシーベルトになる。たとえば、「47nGy=0.047uSv」
さて、単位がわかったところで、放射線量が人体に与える影響をみてみよう。
放射線の量(mSv) | レベル | 被爆の影響 |
7000~ | 致死 | 100%死亡。 |
3000~7000 | 重症 | 50%死亡。 |
2000~3000 | 軽症 | 5%死亡。白血球減少、出血、脱毛。 |
1000~2000 | 死亡率は低い。吐き気、嘔吐。 | |
500~1000 | 軽度 | リンパ球減少。 |
250~500 | 白血球減少。 | |
200~250 | 胎児の異常 | |
0~200 | 影響なし | 被爆の影響は確認されていない |
表の放射線量と人体への影響は、全身被ばくを想定している。なので、局所的に被ばくした場合は、表よりダメージは小さくなる。表をみる限り、被ばく量が、200mSv以下なら大丈夫そうだ。
ちなみに、人間が自然界で1年間に浴びる放射線量は「2.4mSv」(世界平均)。また、日本の法令では、一般人の最大限度は年間「1mSv」と定められている。ただし、放射線業務に従事する人は、最大限度は年間「50mSv」。放射線を浴びざるを得ない仕事なので、これが、人体に影響を与える限界と考えていいだろう。さて、放射線量と人体に与える影響の関係がわかったところで、現状を分析しよう。原発を除けば、放射線量が最も高いのは、福島県・浪江町で、150uSv毎時(3月18日15:00)。つまり、1時間に150uSvの放射線が出ている。
もし、この状態が3ヶ月続いた場合、150uSv×24時間×90日=324000uSv=324mSv上記の表でみると、白血球が減少するレベルになる。屋内にいれば、浴びる放射線は1/10程度になると言われるが、土壌はそうはいかない。確実に汚染されていく。その土地に住めるかどうかは、土壌汚染にかかっている。また、ここで期間を3ヶ月としたのは、中央制御室とポンプの修復を終え、燃料棒を安定冷却するには、1ヶ月以上かかると予測したから。
中央制御室は、コンピュータを含む複雑な電子装置で構成され、一気に通電というわけにはいかない。システム全体をブロックにわけ、1つ1つチェック、修理していくしかない。高濃度の放射線の中なので、作業は大変だ。とても、1ヶ月で終わるとは思えない。また、安定冷却に成功する前に、格納容器が破損した場合、桁違いの放射性物質が放出される。
控えめに見積もって、現在の10倍とすると、324mSv×10=3240mSv。表でみると、死亡率は50%に達する。政府が冷却ポンプ回復を最優先にする理由はここにある。
そこで、現在(3月27日午前)の各地の数値をもとに、今後を予測する。
1.格納容器が破損しない状態で、3ヶ月後と1年後の放射線量。
2.格納容器が破損した状態で、3ヶ月後と1年後の放射線量。※格納容器が破損した場合、破損しない場合の10倍として計算。
地域 | 平均値(μSv毎時) | 格納容器が破損しない | 格納容器が破損する | ||
3ヶ月(mSv) | 1年(mSv) | 3ヶ月(mSv) | 1年(mSv) | ||
東京都・新宿 | 0.116 | 0.251 | 1.02 | 2.51 | 10.2 |
埼玉県・さいたま | 0.096 | 0.207 | 0.841 | 2.07 | 8.41 |
茨城県・茨城町 | 0.505 | 1.10 | 4.47 | 11.0 | 44.7 |
水戸市 | 0.222 | 0.480 | 1.945 | 4.8 | 19.5 |
栃木県・那須町役場 | 0.37 | 0.799 | 3.241 | 7.99 | 32.4 |
新潟市・西区 | 0.044 | 0.095 | 0.385 | 0.95 | 3.85 |
石川県・志賀 | 0.046 | 0.099 | 0.403 | 0.99 | 4.03 |
すべて、50mSv以内。また、この計算は一日中外にいた場合で、屋内にいれば放射線量は1/10程度になる。格納容器が破損して、10倍を超える放射線が放出されない限り、首都圏は大丈夫そうだ。問題は、原発周辺地域だ。
誰がどうみても、半径40kmも安全とは思えない。各都道府県に割り当てを決め、、福島県の避難民を受け入れてはどうだろう。大気汚染は一時的だが、土壌汚染は長期間つづく。今後、この土地で暮らすのはリスクが大きすぎる。思い出がつまった故郷を去るのは辛いだろうが、子供や若い世代のためにも、県外移住を考えてはどうだろう。命さえあれば、どこでもやりなおせるから。
by R.B