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スモールトーク雑記

■3D映画で体調不良 2010.08.15

2010年8月、消費者庁が所管する国民生活センターは、ひかえめながら、しかし、気になる警告を発した。「3D映画を見て気分が悪くなった」という相談が増えている・・・

具体的には、

1.激しい頭痛がする。

2.乗り物酔いが1日以上続く。

3.目の奥が痛む。

4.物が二重に見える。

などなど。

じつは、半年ほど前、よく似た話を聞いた。3Dアニメ映画を見た子供が、「目がよった」というのだ。この映画に関わった知人は、「大ごとにならなきゃいいが・・・」と不安そうに話していた。

「2010年は3Dテレビ元年」誰が言ったか知らないが、不況にあえぐ電機メーカーにしてみれば、恵みの雨、頼みの綱だろう。あらゆる電気製品が、中国・台湾・韓国勢におされ、儲けが激減しているからだ。

しかし・・・

3Dテレビも3D映画も原理は同じ。当然、3Dテレビでも、同じ問題が起こる可能性がある。というか、普通に考えれば、起こるだろう。

国民生活センターでは、この問題に対し、消費者に注意をよびかけている。1.3D映像は体調不良を起こす恐れがある(それでも売る?)2.体調不良を感じたら視聴を中止する(それでは遅くない?)3.子供は保護者がしっかり配慮する(何をどう配慮しろと?)

さて、ここまで分かっていて、なぜ、3Dテレビを売るのか?メーカーは商売のため、国は税収のため、つまり、みんなおカネのため。

しかし・・・

もし、問題が表面化したら、どうするのだろう?3Dテレビは3D映画の比じゃない。視聴者の数が桁違いだからだ。もっとも、事が起こったとしても、犯人捜しは苦労するだろう。政府も半分認めているわけだし、3Dテレビのメーカーもたくさんあるし、・・・赤信号、みんなで渡れば恐くない。

新しい技術にいどみ、生活を豊かにすることはいいことだ。多少の犠牲は目をつぶってもいいだろう。だが、問題は「犠牲の内容」だ。

3Dテレビに不安を覚えるのは、ダメージを受けるのが、目と神経だからだ。ココは、人間の最もデリケートな部分。

冷静に考えてみよう。3Dテレビどころか、2Dモニターでさえ、目の疲労や痛みを訴える人は少なくない。さらに、パソコンを初めて3ヶ月で視力が半減、なんてザラ。目に負担がかかり、それが神経を刺激し、肩までこる。これは衆知の事実だ。

そもそも、普通のメガネ(近視・遠視・乱視・老眼)でさえ、目が疲れると感じる人は多い。

つまり・・・

普通のメガネ、2Dテレビでさえ、人間にダメージを与えるのに、あんなキワモノ3Dテレビが、悪影響を与えないわけがない、と思うのだが。

ところで、実際に苦情が寄せられているのに、なぜ、マスコミは取り上げない?なぜ、世間は騒がない?認識が甘いのか、知らぬフリを決め込んでいるのか、たぶん、両方だろう。

我々は現実世界を3Dで見ている。だから、3Dで見て何が悪い?それはそうだ。だが、問題は3Dではなく、3Dの見せ方にある。あのヘンなメガネが悪い?そうでもない。以前、メガネ不要の3D映像を見たことがあるが、もっと疲れた。

2009年、3D狂想曲の前の年、社長の知人に、VMJという会社を紹介された。この会社は、西ドイツのVisuMotion社の3D液晶モニターの代理店をしている。ウリは、専用メガネ不要の3D!さっそく、この会社を訪問し、デモを見せてもらった。プレゼンテーターはなんと社長、これは、熱い。

VMJの金山社長は、亜土電子工業の創業者だという。これにはビックリ。亜土電子工業といえば、1990年代、秋葉原を中心に、一世を風靡したパソコンショップだ。あの頃、「T-ZONE(ショップブランド名)」にはよく行ったなぁ。洋モノ3Dゲームの品揃えが一番だったので。

その金山氏が創業したのがVMJだという。金山社長は、裸眼3Dディスプレイ(モニター)への思い入れが強く、自らデモをし、3D技術を熱く語ってくれた。ハイテクを愛し、商品を愛し、それに人生を賭ける、いい人生だ。

ところで、この裸眼3Dディスプレイ(モニター)だが、目をこらして見ると、たしかに、3Dに見える。こりゃ凄い!一体、どういう仕掛けだ?

この裸眼3Dディスプレイは、パララックスバリアという方式。左目用と右目用の映像を、横方向に交互にならべ、その前に設置したバララックスバリア(格子状の面)を利用し、左目には左目用映像を、右目には右目用映像だけを見せる。これで両眼視差が生まれ、立体映像に見えるわけだ。(なんか誤魔化されたような)

原理は面白いし、確かに立体に見えるのだが・・・意識を集中し、目をこらす必要がある。そして、やっぱり、疲れる。

また、映像が画面からはみ出すと、クリッピング(端)が視線に入るために、立体感が突然消失する。たとえば、レーシングカーが遠方から、こちらに迫ってきた場合、画面からはみ出た瞬間、立体でなくなる。これは、ちょっとショボイ。

ただ、金山社長は、店頭や展示会向けのディスプレイから始める、と言っていた。これなら、うまくいくかもしれない。あの時の熱弁を思うと、なんとか成功して欲しい、と思うのだが。

いずれ、3D映像は、メガネ不要の裸眼3Dになる。これは確かだ。しかし、パララックスバリア方式で、家庭用テレビはムリだろう。(任天堂の3D対応DSもこの方式らしいが)

やっぱり、ホログラフィーしかない?ホログラフィーは、今流行のキワモノ3Dではなく、3D空間上に実際に映像を創り出すからだ。そう、あのスターウォーズのレイヤ姫!究極の3D映像だが、実現するのはかなり先のことだろう。

ところで、もし、3Dテレビがこけたとして、一番喜ぶのはテレビ局かもしれない。3D映像を作るには設備投資が必要だ。つまり、カネ。ところが、テレビが立体に見えたところで、広告料が増えるわけではない。だから、丸損。

とはいえ、3D問題がこじれれば、テレビ離れはさらに加速するだろう。すでに、情報収集、買い物、コンテンツは、テレビからインターネットにうつりつつある。テレビでしか得られないものって何?という話。

たとえば、僕のプチ貧乏生活を紹介すると、情報収集と買い物はインターネット、ゲームはパソコンかPS3、大好きな海外SFドラマは、ブルーレイ・DVDの中古を買って、PS3で観ている。つまり、僕にとって、テレビは無用の長物。

今の方式の3Dテレビは、人体に与える悪影響が表面化し、すったもんだのあげく、テレビ離れも加速、最後に、インターネットの集中砲火をあびて、撃沈・・・そんな未来が見えてくる。

by R.B

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