出世する人しない人~条件と特徴~
■出世と年収
出世する人の特徴は?
出世する条件は?
今どき何、とカッコつける前に、役職別の収入をみてみよう。考えがあらたまるかもしれませんよ。
某・東証一部上場企業の知人(常務)によれば、この会社の年収は、
・専務:3500万円
・常務:2500万円
・部長:1200万円
・課長:900万円
・平社員:600万円
※年齢は50歳前後。
ただし、この会社はいわゆる大手ではない。それでも、中堅・中小企業の1.5~2倍はある。だが、問題はそこではない。同じ会社でも、出世するしないで、これだけ差がつくということ。平社員と専務で、1年で2900万円、10年で2億9000万円の差!
出世するだけが人生じゃないないよ~、なんてカッコつけている場合ではない。
もちろん、サラリーマン世界も、頂上に近づくほど、サバイバル・バトルが熾烈になる。敵は最強スペックを誇るエリートだから。そんな弱肉強食のアリーナに、平凡なサラリーマンが紛れ込んだら・・・心の病気か、身体の病気か、ロクなことにならない。さらに、(大手企業の)役員になるには、「運」が欠かせない。ここまで勝ち上がってくるのは、「スペック×実績」が極大の強者だから。
では、ズバリ、出世する条件とは?
神のみぞ知る、と言いたいが、現実には「出世の条件」が存在する。
ただし、世間で流布する「出世の条件」はあてにならない。
ターゲットが係長か、課長か、部長か、役員かによって違うし、そもそも、たいていの論評はキレイごと。
たとえて言うなら、結婚したい男性の条件・・・
「イケメンの方がいいけど、モテ過ぎても困るし、高収入だけど浪費家ではなく、ただし、妻へのプレゼントは例外的に大盤振る舞いで、家庭を大事にする地味な性格だけど、家の外では社交的でカッコイイ、キモいオタクはイヤだけど、趣味は多いほどいい」
どっちやねん?
そんな男、いるわけないじゃん・・・
■偽物「出世する人の条件」
そこで、ちまたに流布する「出世する人の条件」を精査してみよう。
1.行動力がある
よく考えもしないで行動するのはケガのもと。出世する人は、行動する前に、頭の中でシミュレーションしている。「行動」してしまうと取り返しがつかないから。一方、シミュレーションはすべて脳内活動なので、コストもリスクも最小ですむ。実際、出世する人は、段取りがいいし、ムダ・ムリ・ムラがない。
2.人望がある
良いことだが、出世する人の必須条件とはいえない。そもそも、組織を動かすのに、人望に頼るのは間違い。組織は、キャラではなく、基本とルールで動かすべき。
ただし、例外がある。
プロジェクトが炎上、または、組織が崩壊している場合、リーダーの「人望」や「カリスマ」だけが頼りになる。通常の業務ルール、手法が通用しないから。
3.意志が強固
頑迷と執着が失敗をまねくことがある。ポリシーはほどほどに。一番成功するのはリアリストであることをお忘れなく。たとえば、第二次世界大戦で、ヒトラーとスターリンの能力は拮抗していたのに、スターリンが勝利したのは、スターリンが現実主義者で、ヒトラーは観念論者だったから。
もし、ヒトラーが現実主義者だったら、ドイツはロシアに勝てたかもしれない。人種偏見をすてて、占領地のスラヴ人を味方にすれば良かったのだ。実際、ドイツ軍がロシアのウクライナを占領したとき、解放軍として歓呼で迎えられたのだから。つまり、スラヴ人を反政府ゲリラとして組織し支援すれば、戦況が逆転した可能性がある。
ということで、「強固な意志」と「頑迷」は紙一重。
4.人脈がある
社長や役員ならいざ知らず、「人脈」など浮ついたことは考えない方がいい。若いうちは、自分の力を磨き、「会社の看板」だけで仕事をすること。そもそも、特殊なケースを除いて、人脈が決め手になることは少ない。
5.部下の意見に耳を傾ける
悪いとは言わないが、いちいち、部下のコンセンサスをとっていては、ビジネスチャンスを逃すことがある。「幸運の女神に後ろ髪はない」を忘れるべからず。とくに、ベンチャー企業のリーダーは蒸気機関車の先頭車両と割り切って、ガンガン行くべし(蒸気機関車は電車と違って、先頭車両しか駆動しない)。ソフトバンクの孫さんも若い頃、このタイプでした。
6.ストレスに強い
「どんなタイプ」のストレスかが問題だ。「危機的状況」のストレスに強いのは、もちろんOK。
一方、「実力があるのにチャンスがもらえない」的なストレスに強いのはNG。チャンスがもらえなくてもゼンゼンOK、言われたことだけやりまぁ~す・・・ではねぇ。
逆に、「実力があるのにチャンスがもらえない」に強いストレスを感じる人は、「弱い」のではない。むしろ、やる気満々なのだ。だから、こういうストレスに弱いは、OK。
つまり、「どんなストレス」に強いかが問題なのである。
ということで・・・
ちまたに流布する「出世する人の条件」はリアルではない。
■本物「出世する人の条件」
では、ホンモノの「出世する人の条件」は?
私的経験、私見と断ったうえで・・・
会社のトップ(社長・役員)には、共通する資質がある。
1.頭がキレる
トップは声がでかければいい、カリスマがあればいいと思いがちだが、両方ない人もいる。しかし、頭の悪いトップは見たことがない。核心を突くし、複雑なからみをカンタンに読み解く。しかも、思考が広角なので、話を聞いていると「目からウロコ」。
2.態度とコミュニケーションが簡潔
態度、話し方、話の内容、すべてにおいて、ダラダラしたところがない。そのぶん、とても緊張する。
さらに、創業社長の場合、次の条件が加わる。
3.熱い思い
自分の夢や信念を熱く語りだす(あたりかまわず)。メンドー臭いのだが、ついつい引き込まれる。
4.大胆不敵
これはアスペルガー症候群と関係があるかもしれない。成功者の中にアスペルガー症候群の人が少なからずいるからだ。はた目には、コミショ、変わり者、何を考えているのかわからない・・・
ところが、「頭がキレる」が加わると大出世する可能性がある。アスペルガー症候群のハンディを「ロジック」でクリアし、アスペルガー症候群のアドバンテージ「突破力」で誰もできないことを成し遂げるからだ。
5.逆境に強い
常人なら「心の病」必至の危険な状況を何度もくぐり抜けている。中には、宗教や哲学で理論武装している人もいる。誓って言うが、「鈍感」なのではない。
もちろん、これらの条件はすべて持って生まれたもの、努力でどうこうなるものではない。だからこそ、われわれは、努力でなんとかなる中間管理職(課長・係長)を目指すのである。
■中間管理職になる方法
では、「中間管理職になる条件」とは?
1.上司の方針・やり方を否定しない。
個々の問題ならともかく、方針・やり方を否定されたら、人格を否定されたに等しい。だから、たいていの上司は根に持つ。
もちろん、業務上の問題は反論してもOK。ただのイエスマンは意外に上司から嫌われる。ただし、反論するには注意が必要だ。問題点と解決方法のみ伝え、余計なことを言わないこと。同じ事を何度も言わないこと。一度言って聞かないなら、あとは上司の責任と割り切る(じつはこれが非常に重要)。
2.命じられたことをきちんとやる。
基本中の基本。これができないなら、職種を変える。
3.カンタンに「できない」と言わない。
「こういう条件ならできる」と前向きな言い方をする。
4.粘り強いこと
カンタンに諦める人間と思われたら最後、信用されなくなる。
これさえできれば、中堅企業・中小企業の中間管理職にはなれるだろう。
ちなみに、上記の4つの条件に共通する点にお気づきだろうか?
すべて、「直接の上司」の対応策であること。
というのも、中間管理職になれるかどうかは、直接の上司の評価にかかっている。その上のエライ人たちは、あなたのことを知らないから。だから、部下に嫌われようが、人望がなかろうが、多少ヘマをやろうが、直接の上司と仲良しこよしなら問題はない(上司が変わったら問題だが)。
逆に、「出世できない人」の特徴は・・・
1.遅刻・無断欠勤
社会人として最低条件なのだが、意外に守れない人が多い(特に若い人)。成果が出ている間はいいが、歳をくってスペックダウンしたときがヤバイ。天才、あるいは、準天才で、これで職を失った人を見たことがある。
2.与えられた仕事がこなせない
プロとアマの違いは、お金(給料)がとれるかどうか。だから、給料をとる以上、それに見合った価値を生まねばならない。もし、「給料>生む価値」なら泥棒と同じ(給料泥棒)。会社が傾けば、真っ先にリストラされる。
3.不平不満を言う
言っている内容が正しいかどうかは重要ではない。悪口は聞いていて不愉快だし、問題解決にならないし、なんの価値も生まない。第一、そんなイヤなら、他の会社に移ったら?日本は職業選択の自由があるんだぞ、と上司は思っている。
そして、ここが肝心なのだが、「出世する人=問題解決型人間」が最も嫌うのがこのタイプである。
4.斜に構える
まともな人には相手にされない。そもそも、会社は問題を解決する場であって、ポーズをとる場所ではない。
5.否定的・悲観的
スタッフならブレーキ役として重宝がられることもあるが、リーダーなら最悪。どんな問題も、解決不能におちいる。しかも、負のエネルギーで、スタッフのモチベーションを下げるので、チームプレイはムリ。だから、一人で仕事をするしかない。そんな仕事があればの話だが。
以上の条件に当てはまれば、出世どころか、クビになるかも。
でも、日本は、解雇が最も難しい国なのでは?
それは大企業の話。中堅・中小企業はそうはいかない。解雇する理由や方法はいくらでもあるから。それに、体力のない中堅・中小企業に、余剰人員を雇用する余裕はない。そして、ここが肝心なのだが、日本の労働者の70%は、中堅・中小企業で働いている。
というわけで、
「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ~♪」
は遠い昔の話。
それなら、田舎でのんびり暮らした方がいい、自然と共生しながら、人生を送れたら、どんな素晴らしいことか!と思っても不思議はない。
ところが、自然と共生するには、自然の力を利用する必要がある。つまり、ハイテクが欠かせない。そのぶん、費用もかかる。早い話、田舎のハイテク自給自足生活は、都会や地方のサラリーマン生活より、ずっと高くつくのだ。
というわけで、特別の事情がなければ、「仕事の選び方」は、地味なサラリーマンで決まり!
夢も希望もない?
とんでもない。ヘタに勝負にでると、足元で地獄のフタがパックリ・・・良い大学出て、非正規社員で年収200万円とか、スーパーで荷物運びとか、ホームレスとか、切ない話が山ほどある。だから、「貧しいながらも楽しい我が家」で感謝、感謝。
それでも、長い人生いろいろあるだろう。会社が心底イヤになったとか、他社からオファーがあったとか、はたまた、素晴らしいビジネスを思いついたとか。
そこで、会社を辞めて起業するか、安定を求めて会社に居座るか?
後戻りできないぶん、この手の選択は難しい。
では、これを数学で計算できるとしたら?
数学で未来がわかる?
イエス!(もちろん100%ではないですよ)
■「人生の損得」を計算する方法
今、あなたは中堅企業に勤めている。給与は大手ほどではないが、食べていくには十分。再雇用制度もあるから、65歳までは働けるだろう。結婚しても、奥さんが働けば、子供二人までならOK。このままいけば、人並みの人生は送れそうだ・・・
ところが、ある日、あなたは、世界を変える?画期的なソフトを思いつく。
キャバ嬢から来るメールが、「営業メールかマジメールか?」を判定するソフトだ(99.99%は営業メール)。システムの基本モデルは、迷惑メールの判定で使われているベイズ推定。ベイズ推定とは、ベイズ確率を使って原因を特定する手法で、データが増えれば増えるほど的中確率もアップする。いわば、学習する推定マシンなのだ。
そこで、まず、ネット上で、フリーのサービスを始める。タダなので、データは山のように集まるだろう。当然、的中率は瞬く間に上昇する。的中率が十分上がったところで、優良サービスに切り替える。並のゲームなら、ここでユーザーはゼロになるのだが、サービスがサービスなので、利用者は減らない(たぶん)。
ということで、大成功間違いなし。ただし、いくらデータを集めても、営業メールかマジメールか判断する術がないのは問題だが(キャバ嬢は教えてくれないから)。
とはいえ、ここで立ち止まっては、話が前に進まない。この問題は後で考えることにしよう(ココがキモやろ!)。
というわけで、この画期的なサービスを事業化するために、会社を興すべきか、サラリーマンを続けるべきか?人生の究極の選択である。
もし、事業に成功すれば、巨万の富が得られるが、失敗すれば、莫大な借金を背負い込む。自己破産はまぬがれないだろう。一方、サラリーマンは成功してもまぁまぁだが、失敗しても大事にはならない。
では、どっちが得か計算してみよう。
まずは、基本式・・・
期待値=成功確率×成功報酬+失敗確率×失敗ペナルティ・・・①
(成功確率+失敗確率=1.0)
あれ?高校で習う「期待値」じゃん。そんなもんで、計算できるの?
論より証拠、計算してみよう。
「サラリーマンの人生」と「事業家の人生」の「期待値」をそれぞれ計算して、比較するのである。もちろん、値の大きい方がお得。
【サラリーマンの人生】
・成功確率=0.8(定年まで勤められる確率。80%はあるでしょう)
・失敗確率=0.2(途中で退職する確率。心の病気とか)
・成功報酬=3億円(中堅企業の生涯年収)
・失敗ペナルティ=0円(定年前に退職しても直接的損失はない)
これらの値を①式に代入すると、
期待値=0.8×3億+0.2×0=2億4000万
ゆえに、サラリーマンを続けた場合の期待値は「2億4000万」
【事業家の人生】
・成功確率=0.01(ベンチャー企業が成功する確率は1%以下)
・失敗確率=0.99
・成功報酬=10億円(成功した場合の獲得金額)
・失敗ペナルティ=1億円(失敗すると会社の借金は個人の借金になる)
※確率と金額は事業内容によって異なるので、個別に算出すること。
これらの値を、①式に代入すると、
期待値=0.01×10億+0.99×(-1億)
=1000万円-9900万
=-8900万円
ゆえに、起業した場合の期待値は「-8900万」
2つの期待値を比較すると、
「2億4000万>>-8900万」
なので、サラリーマンを続けた方が得(フツーに考えても分かる)。
しかし、報酬を「お金」ではなく、「満足度」に設定すれば、結果は逆転するかもしれない。ただし、起業で成功した場合の満足度が「巨大」でない限り、成立しないだろう。
つまり、こういうこと。
バクチの人生は・・・
それが人生を賭けるに値するか?
成功して、大きな満足が得られるか?
それがすべてなのである。
だから・・・
もし、人生を掛けるに値する仕事があれば、その仕事を選べばいい。たとえ、失敗しても後悔はしないから。それに、人生で勝負する人間には大きなアドバンテージがある。並のサラリーマンとは桁違いのパワーが身につくこと。だから、事業に失敗しても、その力を買われて、第二の人生を歩む人はたくさんいる。
しかし、そんなものがないなら、手堅い人生を選んだ方がいいだろう。退屈かもしれないが、穏やかで満ち足りた人生が待っている。
by R.B