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週刊スモールトーク (第216話) プレステ4(3)~スペック~

カテゴリ : 娯楽科学

2013.07.21

プレステ4(3)~スペック~

■プレステ4VsXboxOne

2013年6月、「E3」でお目見えした次世代ゲーム機は、プレステ4だけではない。ジャックと豆の木に出てくる巨人の弁当箱のような無骨で飾りっ気のないライバル機も展示されていた。マイクソロフトの「XboxOne」である。

では、プレステ4とXboxOneどっちが凄い?

ウリ二つ。でも、XboxOneはプレステ4の劣化コピー

マイクソロフトは納得しないだろうが、大目に見ても、当たらずとも遠からず。ほんとはビンゴ!?

ところで、任天堂の「WiiU」を忘れてません?

忘れてません。

ただ、任天堂のゲーム機はスペックがどーのこーの論じても意味がないので。どんなソフトが出るのか、それだけの話。いや、じつは、それも分かっている。マリオとか、ワリオとか、ルイージとか(いっしょジャン!)・・・言ってしまえば、ネタ古だけど、ゲームバランスだけ神懸かり的なゲーム。

だから、楽しくヒマ潰ししたい人は買い、本格的なエンターテインメント派は見向きもしない。つまり、選択のプロセスがないわけで、論じても意味がないのだ。

ということで、ソニー(SCE)の「プレステ4」と、マイクロソフトの「XBoxOne」を中心に話を進める。

■発売日

まず、発売日からみていこう。

・プレステ4:2013年年末(北米)

・XBoxOne:2013年11月(北米)

・WiiU:2012年11月(北米)

あれ、「WiiU」はもう出てたんだ?

なんで話題にならないの?

全然売れてないから。

そういえば、最近、「WiiU」で面白いニュースを見つけた。

任天堂が、WiiUのゲーム開発ツールを無償配布するというのだ。これまでは、”選ばれた”ソフト会社のみに有償配布されていたのに。

WiiU、どんだけ売れてないの?という疑惑と、高ビーな任天堂にしてはなんと太っ腹な!という感動で、二重に驚いたものだが、じつはゼンゼン大したことはない。報道によれば・・・

無償で配布されるのはプログラミング言語の「HTML5」と「JavaScript」のみ。

ちなみに、「HTML5」はプログラミング言語ではありません!マークアップ言語です。

マークアップ言語とは、早い話がホームページを作るための言語。ウェブページの文章の構造や文字フォーマットを指定し、テキストや静止画や動画を組み込むだけのもの。プログラミングに必要な論理演算、数値演算、処理の流れの制御などの機能は備わっていない。だから、「HTML5」でまともなゲームを作るのはムリ。

そこで、任天堂は、「JavaScript」もサポートすることにした。
HTML5+JavaScript
の組み合わせなら、ウェブページ上でゲームを作ることも可能なので。これが今流行の「ウェブアプリ」で、ブラウザさえあれば、どんなOS、どんなハードでも動作する。

このOSに依存しない「ウェブアプリ」を推進し、OS依存の「ネイティブアプリ」の覇者マイクロソフトの売上を減らそうと狙っているのがグーグル(Google)だ。もっとも、マイクロソフトも、グーグルのこの悪意に気づき、最近は「ウェブアプリ」の開発に余念がない。

ただし・・・

「ウェブアプリ」は、実行速度、機能において、「ネイティブアプリ」に遠く及ばない。

ではなぜ、任天堂はネイティブアプリの開発環境を無償提供しないのか?

高価なハード機材が必要だし、なにより、有料のネイティブゲーム市場に素人が作った趣味ゲー(クソゲー?)が蔓延したら困るから。ユーザーの気を惹きつつ、今の市場を守る、一見、うまい落とし所にみえるが、よく考えるとそうでもない。

というのも・・・

任天堂のユーザー層は年齢が低く、「遊戯者」が圧倒的に多いので、作る側にまわるかは疑問。それに、真っ直ぐなプログラマーは、WiiUなんかより、プレステ4やXBoxOneに気持ちがいく。スペックが上だし、すでに、マイクロソフトも学生に無償で提供しているから。

さらに、プレステ4やXBoxOneのCPUはパソコンと同じ「x86」系。だから、プログラマーにとって非常に相性がいい。なぜなら、プログラマーはパソコン用、スマホ用、組み込み系をとわず、プログラムをパソコンで開発するからである。

というわけで、ゲーム制作にユーザーを参加させるやり方は任天堂ビジネスには合わない。そんな中途半端な真似をするより(これこそ劣化コピー)、お得意のゲームバランスに賭けた方いいのでは?

それはさておき、すべての次世代ゲーム機が年末に勢揃いすることになる。クリスマスが楽しみですね。

■価格

つぎにお値段。

・プレステ4:399ドル(約3万9000円)

・XBoxOne:499ドル(約4万9000円)

・WiiU:299ドル(2万6250円)

プレステ4はXBoxOneより1万円安い。ただし、XBoxOneはジェスチャー入力が可能な「カメラ・インターフェイス」込みの価格。一方、プレステ4はオプション、でも、59ドル(約6000円)なので、後で買い足してもプレステ4の方が安い。

もちろん、メンドーで疲れるだけの「ジェスチャー入力」なんて不要、と思っているコアなゲーマーはプレステ4の方がお得。だから、この価格差は大きいと思う。日本市場は初めからXBoxOneに芽はないが、米国市場でもプレステ4がXBoxに圧勝する可能性がある。もちろん、XBoxの独占タイトル次第だが。

■カメラ・インターフェイス

つぎはカメラ。

・プレステ4:PlayStationCamera

専用の2眼カメラで、プレイヤーの体の動きや顔を認識できる。用途は、ジェスチャー入力操作、さらに、顔認識によるアカウントのサインインなど。

ちなみに、カメラは超高精度とはいかないが、昔のようなちゃっちいものではない。視野角85度のカメラを2つ搭載し、人間の目のように、物体を立体的に把握できる。だから、ジェスチャー(ボディアクション)まで認識できるわけだ。

・XBoxOne:Kinect(キネクト)

プレステ4の「PlayStationCamera」に相当する入力装置。ただし、スペックは「Kinect」の方が上(たぶん)。このユニークなヒューマン・インターフェイスは、コントローラーの指入力に代わって、全身を使ったジェスチャー入力を可能にする。ただし、ソニーとマイクロソフトでは意気込みが違う。ソニーはオマケ扱い、一方のマイクロソフトは本気だ。

実際、新型Kinectは、視野角が広く、認識能力もかなり高そう。じつは、旧タイプのKinectの評判はかんばしいものではなかった。物珍しいけど、精度が悪い、疲れる、はた目で見るとバカ・・・

それでも、マイクロソフトは改良をつづけ、今度は標準装備。一方のソニーは相変わらずオプション。この違いはどこから来るのか?

ズバリ、用途の違い。

ソニーは次世代ゲーム機をゲーム専用機として、一方、マイクロソフトはゲーム機とホームエンターテインメントの中核デバイスと二股を掛けている。

もし、ゲーム機に特化するなら、レスポンスは悪いわ、疲れるわ、やってる姿を人に見られたくないわ、の三拍子そろったジェスチャー入力は二の次だろう。一方、リビングのメインデバイスを狙うなら、テレビ、ウェブ、映画のような簡単な操作で重宝する。実際、XBoxOneは、ボディアクションだけでなく、音声操作も可能だ。

■ゲーム中継機能

ゲームプレイに直接関係ないが、プレステ4には面白い機能がある。

プレイ中のゲーム画面をリアルタイムで録画できるのだ。しかも、その映像をネットを介して中継できるという。自分のプレイっぷりを自慢したくてうずうずしているゲーマーには願ったり叶ったりだ。もちろん、これは皮肉ではない。一人のゲームプレイに、複数のギャラリーが参加するわけで、新しい市場を生み出す可能性がある。とはいえ、ネット回線がフン詰まりになるのは困ったものだが。

ところで・・・

ゲームプログラムを実行するだけで、ハードは大忙しなのに、並行して、ゲーム画面を録画する?しかも、その画面を中継できる?

ありえない!

じつは、ゲーム画面を録画・再生するために、ハードウェアのエンコーダー(録画)・デコーダー(再生)が搭載されているのだ。つまり、ゲーム画面の録画・再生には、ゲームを実行するハードウェアが使用されない。だから、ゲーム&録画・再生がスムーズに並行処理できるわけだ。

やっぱり、プレステ4の一人勝ちかなー。

■旧機種との互換

プレステ4、XBoxOneともに旧機種のソフトは動作しない

両機種とも、旧機種とCPUが違うので仕方がない。ハードの違いを吸収して互換をとる「エミュレータ」という手法もあるが、プレステ4の場合、CPUだけでなく、ハードの基本構造も大きく違う。これほどハードが異形だと、模倣する(エミュレーション)のも大変だ。ムリクリやったとしても、すべてのソフトが動作するわけではない。それに、実行速度も落ちるので、やるだけムダと判断したのだろう。

というわけで、プレステ3は大事に使いましょう。おっと、XBoxも。

■独占タイトル

一般的に、大手サードパーティのタイトルは、プレステ4とXboxOneの両機種でリリースされる。ところが、ソニー、マイクロソフトの息のかかったパブリッシャーは自社陣営のゲーム機のみリリースする。これが、機種依存の「独占タイトル」だ。もし、お気に入りのゲームが「独占タイトル」なら、どっちのゲーム機にするか迷う必要はない。独占タイトルの機種を買うか、2つとも買うかだ。というわけで、重要な要素なので、2013年7月現在の独占タイトルをあげておこう。

・プレステ4

inFamous:SecondSon、Knack、TheOrder1886、Killzone:ShadowFall

・XboxOne

DeadRising3、Ryse:SonofRome、QuantumBreak、KillerInstinct、SunsetOverdrive

お気づきだろうか、ほとんどが「洋モノ」である。

最新のハードで最高のゲームを作る・・・この意気込みと制作力で、海外メーカーは日本メーカーを圧倒する。この図式は、映画の世界と相似だ。国や人種を越えて人間を感動させる映画はハリウッド映画、ローカルなワビサビ映画は日本映画・・・これと同じ棲み分けが、ゲームの世界でもすでにできている。

■ゲーム以外

・プレステ4

プレステ4は、脇目も振らず大作ゲームにフォーカス。スマホのゲームなんかタコ、あんなものはゲームでない、と信じて疑わないミドルクラス以上のゲーマーを狙っている。

実際、スマホゲームは暇つぶし、据え置き型ゲーム機は本格的エンターテインメントという棲み分けがある。もちろん、プレステ4は後者だ。コアゲーマーに不要のカメラ・インターフェイスはオプション、ゲーマー祭りに必須の「ゲーム中継機能」は標準装備・・・これがすべてを物語っている。

個人的には、「ゲーム中継機能」は目玉になると思っている。一旦火が付けば、神ゲーマーの取り巻きはプレステ4に走るだろう。ゲーム好きが納得するゲーム機を作り、コアなゲーマーを中心にユーザーを集結させ、一網打尽にする。これまでのコンストラクション型とは違う、新しいタイプのユーザー参加型ゲームだ。

じつは、この「ゲーム中継」はすでにPCゲームの世界で実現されている。我が家の息子のはまり具合を見ても、プレステ4でもブレイクする可能性は十分ある。

とはいえ、プレステ4は、ウェブ端末としても使えるし、ブルーレイ、DVDも再生できる。これまで通り、ドラマや映画のプレイヤーとしても使えるわけで、ホームエンターの基本はちゃんとおさえている。

・XboxOne

XBoxOneは、テレビ、映画、ウェブを統合するリビングのメインデバイスを目指している。実際、日本ではユーザーが少ないCATV用途にも力を入れている。

ではなぜ、マイクロソフトはゲーム一本に絞らないのか?

お金のため(だってマイクロソフトだもん)。

現在、世界のゲームユーザーは二分化している。お気軽なホワイトユーザーは、スマホに走り、ヒマつぶしゲームで貴重な人生をつぶしている。これはこれで由々しき問題なのだが、マイクロソフトにしてみればどうでもいいことだ。問題は、据え置き型ゲーム機を好むコアゲーマーが確実に減っていること。

つまり・・・

XBoxOneをゲーム機専用にしたが最後、売り上げは確実に落ちる。マイクロソフトにとっては「Doomsday(地球最後の日)」!(ちょっと言い過ぎかな)

そこで、ゲームでへこむ分を、リビング端末で取り戻そうというのだ。さすがはマイクロソフト。

ということで・・・

健全なキッズゲームに社運を賭ける任天堂、本格的な大作ゲームに賭けるソニー、脇目もふらず金儲けのマイクロソフト・・・三社三様、しかも、自分達はココでしか差別化できない的な「割り切り」が感じられ、見ていて、すがすがしい。やっぱり、生き残る会社は違いますね(皮肉ではなく)。

《つづく》

by R.B

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