日中尖閣戦争(5)~中国が尖閣諸島を占領する~
■煮え切らない尖閣
2012年10月末現在、日中の尖閣諸島問題は小康状態に見えるが、足下では蹴り合いが続いている。
日本は恐る恐る、中国は正々堂々と!?
実際、中国は、経済・外交・文化、あらゆる分野でやりたい放題だ。
経済面では、毎度おなじみの経済制裁。
外交面では、IMF・世界銀行年次総会が日本で開催されると、それが気に入らないと中国人民銀行総裁がドタキャンした。
文化面では、台湾のオーケストラ「フィルハーモニア台湾」が中国で公演する予定だったが、日本人楽団員3人だけが、中国当局からビザの発給を拒否された。
さらに・・・
中国公船による領海侵犯も加速している。10月25日に中国の監視船4隻が尖閣沖の日本領海に侵入し、10月26日には領海外側の接続水域にも侵入している。ネチネチとしつこく、執拗なまでの領海侵犯。日本側が根を上げるまで続けるつもりだろう。もちろん、妥協すれば、おしまい、尖閣諸島海域はすべて中国領になる。
ということで、なんでもあり、戦争以外全部やっているわけだ。
ただ、これを「大人げない」と上から目線で論じるのはやめよう。事の本質を見誤るから。
「中国は日本に敵意むき出し」
と素直に受け取ったほうがいいだろう。
ところが、ここにきて、まだトンチンカンな発言をする閣僚がいる。いわく、
「石原都知事が、尖閣は都が買う、なんて言いだすから、中国が怒って、こんなことになったのだ」
この発言の意味するところは、
①尖閣諸島を日本の領土と認めていない。
②中国を怒らせないことが一番大事。
これが日本の閣僚の言うこと?早い話、この閣僚は日本より中国の国益を優先しているわけだ。中国から給料をもらっているのかな?まぁ、とりあえず、この閣僚に給料を払うのはやめてほしい。我々「日本」国民の税金なので。口の汚い人なら、きっとこういうだろう・・・売国奴。
ということで、起こりそうで、まだ起っていないのは「戦争」だけ。
・・・ふと、ある名言を思い出した。
起こる可能性のあることは、いつか実際に起こる~マーフィーの法則~
■日中尖閣戦争の引き金
あくまで、仮定の話だが、もし、日中尖閣戦争が勃発したら・・・どんな展開、どんな結末になるのだろう?
まずは戦争の引き金。
1.偶発事故
海上保安庁の巡視船と中国の監視船が偶発的に戦闘状態に入る。
2.強制占拠
中国が尖閣諸島をあからさまに占領する。
まずは、「偶発事故」から。
いかにもありそうな話だが、中国の次期政権が極端に左翼化しない限り、起きる可能性は低い。また、万一起きても、戦争にまで発展する可能性はほとんどないだろう。局地戦では、中国が負けるかもしれないし、そうなれば、共産党政権が転覆する可能性もあるからだ。
だが、もし、中国がアメリカの中立を取り付け、弾道ミサイルを使う覚悟さえ決めれば、勝機が見えてくる。そうなると、戦争がしたくてウズウズしてくるだろう。世間体(国際世論)があるので、偶発事故にみせかけるだろうが、そうなれば、日本は不意打ちを食らい、初動の損害が大きくなる。ただし、この場合は「偶発」というより、「確信犯」。
ということで、起きそうで起きないのが、【1.偶発事故】による日中尖閣戦争。
つぎに、「強制占拠」。
この場合、中国が尖閣諸島を占領するわけだが、誰がやるかで、3つのシナリオが考えられる。
①漁民
②偽装漁民(漁船の船底に中国人民解放軍)
③海兵隊(中国人民解放軍)
いくら中国でも、いきなり、「③海兵隊」では世間体が悪すぎる。なので、可能性が高いのは①②だろう。実際、中国が南シナ海でとった作戦もこれ。では、具体的にどうやるのか?
まず、中国側は、漁民あるいは偽装漁民を尖閣諸島に上陸させるため、漁船団を送り込む。これに対し、日本側は海保の巡視船で阻止するわけだが、海保の巡視船は、せいぜい数十隻程度なので、大船団なら手に負えない。以前、中国は漁船1000隻で尖閣諸島に向かう、と脅したが、ただのハッタリではなく、ちゃんとした軍事作戦なのである。
ということで、①②による上陸作戦が成功する確率は高い。だが、問題はその後だ。
■中国が尖閣諸島を占領
日本の選択肢は2つある。第一は、
「遺憾だ、憂慮する」
など、いつもの卑屈な抗議に終始し、軍事行動を起こさないケース。もちろん、この場合、「尖閣諸島=中国領」が確定する。実行支配にまさる「領有の根拠」はないので。
ところが、これをやると(何もやってないのだが)、事はそれだけではすまなくなる。
その影響は、日本にとどまらず、アジア全域に及ぶ。中国の軍事力に唯一対抗できる日本が戦わずして降参した・・・そうなれば、アジアで、中国に立ち向かう国はなくなるだろう。結果、東シナ海や南シナ海はもちろん、アジアの海はすべて中国領になる。つまり、アジアの地図が「紅一色」に塗り替えられるわけだ。
いや、そうなる前に、アメリカが黙っていないのでは?
ところが・・・
中東情勢が緊迫したり、アメリカ国内で深刻なテロ(スーツケース核爆弾など)が発生すれば、アメリカはアジアにかまっていられなくなる。そうなれば、
「アジアの海=中国領」
が現実になる。中国にしてみれば、「EEZ(排他的経済水域)」なんてクソ喰らえ、なのだから。もっとも、EEZは定義も曖昧だし、もともと、なんの強制力もないのだが。
また、このままいけば、中国がアメリカを超える日が来る。そのとき、アメリカはアジアどころか自国の防衛で手一杯になる。中国からアメリカに向けて、何百発もの核ミサイルが、お尻から煙をはきながら待機しているのだから。
そうなれば、アメリカと中国の間で次のような密約が交わされるだろう。
・アジアは中国に任せる。
・中国が日本を核攻撃しても、アメリカは中立を守る。
特に2番目は、中国がのどから手が出るほど欲しい確約だろう。これさえあれば、中国は日本に何の遠慮もいらない。通常戦で日本が何十勝しようが、核を使うぞ、と脅すだけで、すべてチャラにできるのだから。実際、過去に、中国はこの件をアメリカに打診したことがある。もちろん、この時はアメリカは断ったのだが。
だから、上記の予測はあてずっぽうではなく、史実と歴史の力学にもとづいている。もちろん、そうなれば、アメリカ軍は日本本土はもちろん、沖縄からも撤退するだろう。ただし、沖縄県民は喜んでばかりはいられない。次に、中国は沖縄を返還するよう要求してくるから。もちろん、宮古島、石垣島、西表島、与名国島を含む形で。現在、「沖縄=中国領」は、まだ中国では主流ではないが、その時は中国共産党の総意になる。
つまり・・・
中国が尖閣諸島を占領し、日本がそれに目をつむった瞬間、アジアの未来は大きく変わる。中国は、ナチスドイツ、冷戦時代のソ連同様、覇権国家を夢見ているのだから。
しかし、中国にはもう一つのシナリオがある。
中国の国力がアメリカを超える前に、中国の民意が、
「自分たちが生きている間に、貧富の格差は解消されないのでは?」
と疑いだしたとき、中国全土で反政府デモが発生するだろう。現政権は崩壊するか、一部の地域を支配するだけになる。現在の自治区は独立にむかうだろうし、清朝末期のように、軍閥が群雄割拠する時代に逆戻りするかもしれない。
結果、中国全土は大混乱に陥り、ソ連崩壊のときのように、核兵器が紛失するおそれもある。また、軍閥の中には、虫の居所が悪くて、核ミサイルの発射ボタンをおす輩もいるかもしれない。そうなれば、全面核戦争・・・
■尖閣諸島奪還作戦
というわけで、尖閣諸島が中国に占領されたら、奪還作戦を実行するしかない。放置すれば、日本とアジアにとって、国家安全保障の最大の脅威になるから。
では、どうやって奪還するのか?
尖閣諸島を占拠したのが、「①漁民」なら、海保の巡視船が上陸し、漁民を拘束する。もちろん、「尖閣諸島を実行支配」を決断した以上、中国側が指をくわえて見ているはずがない。中国の監視船が阻止しようとするだろう。ということで、準軍事船がにらみ合い、一触即発の状態になる。
さらに、ここまでくると、中国本土では大規模な反日暴動が起きるだろう。
「漁民を助けろ!13億人の中国が一丸となって、日本をたたきのめせ!」
というわけだ。
もし、中国政府が日中戦争を狙っているなら、これ幸いだが、そうでない場合、中国政府は困ったことになる。日本と戦争するしかなくなるから。漁民を日本に身柄を拘束されっぱなしでは、中国民衆の怒りは、中国政府に向かうからだ。つまり、選択肢は戦争しかなくなる。
また、先の巡視船と監視船の衝突で、もし、相手が中国の海洋監視船「海監」なら、日中戦争は避けらない。
なぜか?
「海監」は、兵装も権限も、海保の巡視船を凌駕するから。そこで、海自の護衛艦の出動となるわけだが、そうなれば、中国海軍もでてくるだろう。というわけで、行き着くところは「海戦」。
ここで、一度整理しよう。
もし、漁民または偽装漁民が一旦、尖閣諸島に上陸すると、日中開戦の確率は急上昇する。もちろん、ルールを決めるのは中国なので、どうなるかは中国次第だ。いずれにせよ、中国が戦争をしたければ尖閣諸島に上陸するだけでいい。
だから、中国の尖閣諸島占領は、宣戦布告を意味する。
また、現状、「③海兵隊」が尖閣諸島に上陸する可能性は低いだろうが、それもすべて中国の次期政権次第。すでに左翼化しているか、何らの事情で、左翼化すれば、十分起こりうる。この場合、上陸部隊は重火器をもちこむので、うかつに近づけない。最低、携帯式地対空ミサイルは持ち込むだろうから、ヘタをすれば軍用ヘリでも撃墜される。
ではどうするのか?
相手が海兵隊なら、正規軍同士の戦闘、つまり、純粋な軍事作戦となる。というわけで、ここで正式に、日中尖閣戦争勃発。
ところが・・・
この時点で、アメリカ軍は出動しない。
え?日米安保があるのに・・・アメリカ軍が日本を助けてくれない?
イエス!
■日米安保の本当の意義
じつは、アメリカ軍が日本を見捨てるのは、今に始まったことではない。
1952年に韓国が竹島を占領したときも、1957年にソ連国境警備隊が貝殻島(北方領土)に上陸したときも、日米安保条約下にあったにもかかわらず、アメリカ軍は一切出動しなかった。
だから今回も、アメリカは、
「日本の施政下にある尖閤諸島は日米安保条約第5条の適用対象となる・・・でも、領土問題には介入しないわけで・・・」
と、謎々をしている。
日本にしてみれば、どっちやねん、だが、たとえ、
「尖閣諸島は安保の適用対象」
を優先したとしても、実際にアメリカ軍が出動するかどうかは、ときのアメリカ大統領とアメリカ議会が決定する。あくまで私見だが、中国が日本に核ミサイルを撃ち込んだとしても、アメリカ本土が核攻撃されないかぎり、アメリカは中国を核攻撃しないだろう。ましてや、孤島の通常戦で、アメリカ軍が出動するわけがない。
それなら、日米安保なんて、何の意味もないじゃん!思いやり予算なんて、とんでもない!カネ返せ、アメリカ軍はでていけ!と言いたいところだが、事はそれほど単純ではない。
じつのところ、日米安保の意義は次の1点に帰着する・・・
日中尖閣戦争が勃発して、局地戦で日本が勝利したとする。そこで、中国は、
「もうやめとけ、さもないと、核を使うぞ」
と脅す。そこで、アメリカの出番だ。一言、こうつぶやく・・・
中国が日本を核攻撃するなら、アメリカも核攻撃する(かも)。
それだけで、中国が核ミサイルを発射するの躊躇する・・・まぁ、それだけのことなのだ。
逆に「アメリカの核の傘」がないと、日本は中国に対し、完全に無力になる。通常戦でどんなに連戦連勝しても、
「やめとけ、核を使うぞ」
の一言で、ひっくり返るのだから。つまり、中国のいいなり。これは、主権国家ではなく、属国である。そうなれば、力のある日本人から日本を出て行くだろう。つまり、日本はもぬけのカラ。
■日本の核武装
ということで、アメリカの属国といわれようが、なんだろうが、アメリカ様を立てるしかない。それがイヤなら、日本が核武装するしかない。
属国なんかイヤだし、核武装もイヤ?
あの、この問題は、小学生でも分かる二択問題なんですけど・・・
じつは、この二択問題には補足が必要だ。中国にとって、アメリカが脅威なのは、核ミサイルの質と数で負けているからではない。実は、アメリカの原子力潜水艦を怖れているのだ。
なぜか?
核戦争が始まれば、真っ先に、陸上の核ミサイル基地が破壊される。ところが、原子力潜水艦が海深く潜れば、探知するすべはない。しかも、クルーの食糧と心の問題さえクリアすれば、20年間も潜り続けることができる。だから、原子力潜水艦が全滅しない限り、中国の指導者は安心して眠れないのである。いつ何時、どこから、核ミサイルが飛んでくるかわからないから。
つまり・・・
原子力潜水艦が全滅するまで、核戦争は終わらない。
これは、原子力潜水艦で劣勢に立つ中国にとっては大変な脅威である。
ということで・・・
中国のいいなりになるのはイヤだし、アメリカの属国もイヤなら、日本は核ミサイルにくわえて、核を搭載した原子力潜水艦を持つしかない。
なんと大それたことを!
なんて、大合唱がステレオで聞こえてきそうだけど、これも「核武装」同様・・・小学生でもわかる二択問題なんですけど。
つまり・・・
核武装と原子力潜水艦で主権国家を目指すのか、それとも、このまま属国を続けて、最終的にチベットになるのか?
そろそろ、日本も、現実を直視し、行動する時に来ているのかもしれない。
我々が住む世界は「エデンの園」ではなく「闘技場」なのだから。
by R.B