君たちはどう考えるか(1)~松川るいのフランス税金旅行~
■松川るいのフランス税金旅行
サンマを焼くとき、見張りが必要ですね。
その香ばしい匂いを嗅ぎつけて、盗みにくる輩がいるから。
でも、その見張り役が猫だったら?
「見張る」意味はない。
それが今の日本なのである。
2023年8月、国会議員の公金横領が発覚した。
松川るい議員と元SPEEDの今井絵理子議員ら、自民党女性局38名の「フランス研修」が「フランス観光旅行」と判明したのだ。
自民党女性局の面々は「税金ではない。自民党から出ているお金」と反論したが、これにはビックリだ。
政党交付金はまんま税金だし、自民党の党費も元をたどれば税金で、すべて人さまからお預かりした「公金」。少なくとも、あなたのお金ではない。ふつう、観光旅行は自腹で行くでしょう。
はっきり言います。
公金横領は、江戸時代なら、市中引き回しの上、縛り首ですよ。
現代でも、横領は、民間企業なら懲戒免職、知人の会社では刑事告訴までいった。国会議員は公人なので、もっと罰は重いはず。ところが、くだんの議員たちは、今ものうのうと議員を続けている。恥も外聞もない、どころの話ではない。
最近、民間で厳しく問われる「ガバナンス」はどうなっているのだ?
国会議員は上級国民だから、関係ない?
心当たりがある。
この「国会議員のフランス税金旅行」の問題は根が深く、三重構造になっているのだ。
第一に、公金でフランス観光旅行したこと。
第二に、それでも議員辞職しないこと。
第三に、それでも懲戒免職されないこと。
これでは、国会議員は上級国民といわれて当然だ。それも、自分で稼いだ金ならまだしも、下々の国民から徴収した税金で暮らしているのだから。
これでも、日本は法治国家?
しかも、この事件は第三者のスッパ抜きではない。当事者みずから、証拠写真をSNSにアップしたのだ。
その写真をみると、まんま「観光」。
エッフェル塔前で、松川るい議員が、頭の上に両手でエッフェル塔を真似て、ご満悦。
これで、ついたあだ名が「エッフェル姉さん」、「エッフェル松川」。
「ドリル優子」を彷彿させる。
衆議院の小渕優子議員のことだ。彼女は、政治資金問題の証拠隠滅のため、ドリルでハードディスクに穴をあけて、この名がついた。ドリルで勉強したわけではない。
というわけで、命名したメディアのセンスに脱帽だ。
話はそこでない。
■松川るいのエッフェル「党」
今回の投稿写真「エッフェル姉さん」は、国会議員の3つの大罪を明らかにした。
第一に、公金横領。人さまのお金でフランス観光旅行を楽しんだのだから。
第二に、無能をさらけ出した。写真が国民の逆鱗にふれることに気づかなかったのだから。
第三に、国民を愚弄した。写真をみずからSNSにアップしたのだから。
なお、この「フランス研修」の実態が「観光旅行」だったことは明々白々だ。
証拠がそろっているから。
まず、元SPPEDの今井絵理子議員の発言。
「海外研修に対して、公金を使って無駄だという指摘もありますが、無駄な外遊ではありません」
ところが、研修の日程表が公開されたら、大ウソと判明。
というのも、3泊5日のうち、研修は6時間ほどで、あとは・・・
1949年創業の老舗レストランで食事。リュクサンブール宮殿を見学。エッフェル塔で観光して、夜はセーヌ川で2時半のディナークルーズ。あげく、パリ・シャンゼリゼ通りで「自由行動2時間」。
これが無駄な外遊でなかったら、一体何なのだ!?
こう言い張る議員は、よほどのバカか、国民をなめきっているか、たぶん両方だろう。
しかも、松川るい議員は次女も同行させていたというから、三度目のビックリだ。空いた口がふさがらない。
案の定、地元でも非難轟々だ。
2023年8月7日、大阪の枚方市支部が、茂木敏充幹事長に松川るい議員の参院選挙区支部長の更迭を申し入れた。
そりゃそうだろう。
大阪は維新の会が猛威をふるい、自民党は崩壊寸前。そのさなか、自民党の支部長が、フランス税金旅行!
自民党の評判を地に叩き落とす行為で、激怒して当然です。
松川るい議員の選対事務総長だった花谷氏も、フェイスブックで「松川るいさん!我慢できないので、言います 娘さんを党の費用でパリ、議員辞職すべきです 最低限、離党ですね 党費と税金に、娘さんの旅費を一部負担させてたのですから 発覚してから返すのは 泥棒が捕まってから返すのと同じですよね」
泥棒と同じ・・・グの音も出ない。
あげく、「自民党を離党してエッフェル党でも結成しろ」という声まであがる始末。
エッフェル「党」?
おー、凄い!
エッフェル姉さん、エッフェル松川のはるか上をいく。いたく感動したので、ぜひ、今年の流行語大賞に。
あ、話はそこではない。
でも・・・しつこくて恐縮なのだが、本当に「エッフェル党」結成したら面白いぞ!
トレードマークは、もちろん「両手でエッフェル塔の被り物」だ。
一方、笑えない話もある。
■多すぎる日本の国会議員
くだんのフランス税金旅行の航空チケットは、ファーストクラスだったというのだ。
お一人様300万円なり。
この議員さんたち、「日本の労働者の4割が、年収300万円以下」という事実を知っているのか?
というのも、年収300万円の国民から絞り取った税金で、300万円の空の旅を楽しむなら、国民が悔しがるのを、楽しんでいる可能性もある。もし、そうなら、少なくともサイコパス、最悪ダークコアの可能性がある。断定はできないが、国民をなめているという次元ではない。
これが国の指導者なら、日本がおかしくなるのはあたりまえ。
そういうと、日本をディスって煽る輩と、非難されるが、日本が劣化しているのは事実である。
というのも、日本の賃金は、先進国で最低なのだ。
それどころか、日本より賃金が低い国は、旧社会主義国と、ギリシャ、イタリア、スペイン、メキシコ、チリぐらい(2020年)。つまり、OECDの中でも日本は最下位グループなのだ。
ところが、日本人のほとんどは「日本は経済大国」と信じている。つまり、日本は「ゆでガエルの法則」で、知らぬ間に、三等国に堕ちていたのだ。
話をもどそう。
納税者は、自分たちの血税が、こんな信じがたい無駄遣いに使われていることに、怒るべきだ。そして、行動をおこすべきだ。そのための手段が「投票」なのである。
それにしても、ここまでやっても、処分されない日本は異常だ。
日本に、北朝鮮の体制を非難する資格はあるのか?
というわけで、日本の国会議員は「上級国民」と揶揄されてきたが、事実だったのだ。
さらに問題がある。
その上級国民が、異常に多いのだ。
日本の国会議員の数は、衆議院が465人、参議院が248人で、合計713人。
一方、米国は、上院議員100人で、下院議員は435人で、合計535人。
あらら、おかしいぞ。
米国の人口は日本の3倍なのに、議員の数は日本の方が多い!
どういうこと?
ムダな議員が多いということ。だから、フランス観光旅行の議員がでてくるのだ。
ではなぜ、議員の数を減らさないのか?
それを決めるのは国会議員です。
つまり、サンマの見張りが猫、という話。
おー、ここでやっと結論だ。
■機能不全の日本
本当は、松川るい議員に少し期待していた。
おバカ丸出しの議員が大勢を占める中、まだマシにみえたから。
昔の佐藤栄作、田中角栄、中曽根康弘、宮澤喜一の時代の国会議員が、随分まともにみえる。元衆議院議員の亀井静香もこう言っている。
「今の国会議員は小者になった」
至言かもしれない。
松川るい議員は、東大卒の元外務官僚なので、頭はいいだろうし、知識もあるだろう(推測です)。テレビの発言を聞く限り、政策通だ。腹が座ったところがあり、ものおじしない。
一方で、地元の評判はかんばしくなかった。メディア発信ばかり熱心で、地元のイベントや祭りに顔を出さないというのだ。
ワタシ、教養のない地元民に媚びるつもりはない、政策一本でいくわ、と言ったかどうかは知らないが、そうとられてもしかたがない(想像です)。
志は高く、勇ましくて、けっこうなのだが、こういう局面では裏目にでる。「東大卒で元外務官僚のエリートやし、べっぴんさんやから、お高くとまっとるんちゃうか」で、全員が敵が回るわけだ。
というわけで、松川るい議員は残念でした。
せっかくの人材を、甘やかしてダメにしたのは自民党の責任ではないか。個人的にはそう思っている。
それでも、自民党政権は揺るがない。
なぜか?
野党がまったく機能していないから。
最大野党の立憲民主党は、政治の素人集団で、学芸会をやっている。一番の問題は党首だ。泉代表は、戦略どころか、言う事なす事、脈絡がなく、そもそも成果がまったく出ていない。一刻もはやく交代させるべきだろう。ここまで追い込まれたら、小沢一郎議員を担ぎ出すしかない。
事実関係は明らかだ。
自民党がどんなヘマをやっても、選挙で負けないのは、最大野党の立憲民主党が、もっとヘマをやっているから・・・ではなく、何もやっていないから。本来、立憲民主党がやるべきことは一つ。野党を主導して、「政権交代」を実現すること。それ以外、何をやっても意味はない。あーだこーだ、なんでも反対で、税金を無駄遣いする「穀潰し(ごくつぶし)」ではないか。
ところが、それを理解しているのは小沢一郎議員だけ。彼は毒のある政治家だが、政局を変えうる最後の切り札「ジョーカー」だ。何をやってもダメなときは、人柄やら、人の和なんて言っている場合ではない。
機能していないのは野党だけではない。
マスメディアも同じだ。
この公金横領事件は、Youtubeはさかんに取り上げ、的を得た批判をしているが、マスメディアは驚くほどぬるい。
最近、広告関係の友人が「テレビの広告枠が埋まらない。こんなことは初めてだ。マスメディアはオワコンかも」と話していた。
マスメディアが、役目を果たしていないから、こんなことになるのだ。あ、それ以前に、若い世代はテレビ観ませんから。
つまり、日本は、政権のお目付け役である野党もマスメディアも機能していない。もし、どちらかが機能していれば、松川るい議員と今井絵理子議員ら自民党女性局38名は、この時点で処分されていただろう。江戸時代に習って、市中引き回しの上、縛り首とはいかないだろうが。
それだけではない。
有権者も機能していないのだ。
証拠がある。
元SPEEDの今井絵理子議員は、これまでも問題をおこしながら、選挙のたびに当選している。前述のドリル優子も、8選中で、選挙はめっぽう強い。つまり、投票している者がいるのだ。
そもそも、参議院は、あからさまな人気投票で、SPEEDやら、おにゃんこクラブやら、政治も経済も歴史も知らない議員が跋扈(ばっこ)する世界。もちろん、ちゃんとした国会議員もいる。彼ら彼女らは、腸(はらわた)が煮えくり返っていることだろう。
それにしても、こんなことが許される社会が全く理解できない。
医学の知識がない外科医の手術をうけますか?
食品知識のない料理人が作った料理を食べますか?
政治も経済も歴史も知らない国会議員も、おなじだ。
そして、ここが一番の問題。
そんな輩に投票する者がいること。
もし、有権者が政治を真剣に考えて、おバカな議員に投票しなければ、こんなことにならないのだ。
というわけで、日本は、政権与党、野党、マスメディア、有権者、すべてが機能不全におちいっている。
日本が高転びに転げ落ちしてくのは当然だろう。
煽って、気を引こうとしている?
ノー、それを示す決定的なデータがあるのだ。
by R.B