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週刊スモールトーク (第409話) 金融の未来(2)~株価暴落の予感~

カテゴリ : 社会経済

2018.12.01

金融の未来(2)~株価暴落の予感~

■ブラックマンデー

2018年11月19日、朝4時、いつもの「脳の暖機運転」が始動・・・

ベッドに横たわり、半覚醒状態で、仕事のこと(商品開発、組織・人事、AI、Chatbotプログラミング)、お金のこと(株式、金、原油、仮想通貨、為替)、趣味のこと(歴史、オリーブ栽培)・・・一斉に思考空間を駆け巡る。ドメインをまたぐ串刺し思考なので、フォーマットもアルゴリズムも定まらない。だから、意味のある情報をつかまえるの難しい(自分の脳なのに)。

タダの妄想じゃん!

そうかも。

そのとき、突然、胸騒ぎがした。

株価が暴落する!?!

漠然としているが、津波のように間断なく心に押し寄せる。逃げ場のない不安だ。

この種の胸騒ぎは、過去に二度あった。

一つは、1987年10月19日ブラックマンデー。その前日の10月18日(日)、町営の温泉施設でくつろいでいた(温泉に入らなければタダ)。テーブルの上に日経新聞が広げてある。誰かの読みかけだろう。一瞥すると、

「株価が100ドル急落。一般投資家が売りに回ったもよう」

心臓がドックン。

機関投資家は、業として株を売買するから、株が急落しても、痛くも痒くもない。損するのは自分ではなく顧客だから。ところが、個人投資家はそうはいかない。自分のおカネが目減りするのだ。信用取引ならサイアク、自己破産もありうる。だから、もうあかんわ、と思ったが最後、狼狽売りがはじまる。それが引き金になり、他の個人投資家も巻き込んで、売りが売りをよぶ。結果、大暴落。

1929年10月のウォール街の大暴落もこれだった。この頃、米国は国民総株主の時代だった。靴磨きの少年が株を買っていたほど。それを知ったお金持ちが、株を売却し売り抜けた、は有名なエピソードだ。

日本のバブル崩壊もしかり。主婦が株を買い始めたのだ。ダンナに内緒で銀行に借金して。ところが、その後、株価はサッパリ上がらない。

なぜか?

投資に無縁の人たちが参入すると、その後買う人がいなくなる。株式市場の総額が増えないのだから、平均株価も上がらない。子供でもわかる論理だ。

では、そこで株価は安定する?

そうは問屋はおろさない(古いです)。

株は上がるか下がるかで、平行線はない。上がる見込みがなければ、株式市場から資金が逃げ出す。もっと割の良い投資先をもとめて。だから、株価は下落する。カンタンな理屈だ。

話をブラックマンデー前日にもどそう。

じつは、その前から、米国株は100ドル前後の下落が何度がおきていた。下落率は4%(ダウ平均は2500ドル前後)で、暴落ではないが「急落」。問題はそこではなく、個人投資家が売りに回ったこと。

こりゃヤバい!

散発する「100ドル急落」で身構えていたので、翌日(10月19日)、ほとんどの株を売却した。

その深夜(日本時間)から米国の株式市場が始まったが・・・大暴落。ダウ平均が508ドルも下がったのだ。下落率は22.6%で、1929年10月24日のウォール街の大暴落(下落率12.8%)を上回る。翌日、日経平均株価も3836円安(下落率14.9%)と過去最大の暴落となった。これがブラックマンデーだ。

売り抜けてよかった?

そうでもない。

翌日から、株価は反騰して、半年後に下落分を回復、その後のバブルへと続く。だから、ブラックマンデー前日に売る必要はなかったのだ。それに、投資金額が小遣い程度で、損しても大勢に影響ナシ。あらら・・・

■バブル崩壊

二度目の胸騒ぎは日本の「バブル崩壊」のとき。

まずは、日経平均株価の推移をみてみよう(↓)

1987年2月、NTT株が売り出されると、一本調子で上がり続け、株価は「119万円」から「318万円」に。日経平均も、2年半後には3万8957円の最高値をつけた。説明のつかない超高価だったが、疑念をいだく人は少なかった。中には、新学説を唱え、正当化する経済評論家も現れた。

グラフを俯瞰すると・・・

「バブル景気始動→史上最高値→バブル崩壊」のトンガリ具合が凄まじい。エヴェレスト山の比ではない。バブル崩壊は1991年2月にはじまったとされるが、それは今になって言えること。当時、気づく人はほとんどいなかった。

相場の世界には、「半値八掛け」という言葉がある。暴落の底値は、半分に0.8掛けた値というのだ。バブル崩壊なら・・・

3万8957円×0.5×0.8=1万5582円

つまり、理論上の底値は「1万5582円」。

たしかに、グラフをみると、1992年はそのあたりで一旦落ち着いている。この頃、投資家の多くはこう考えていた。半値八掛け、ここが底値だろう。バブルの最高値はムリかもしれないが、やがて上昇に転じる(でなければ5000円に直行していたはず)。

事実、株価はその後上昇に転じ、1993年~1994年に2万円に回復している。

ところが・・・

その前年の暮れに胸騒ぎがした。株価はもっと下がるのではないか。つぎの半値八掛け、つまり「8000円」に?!

そこで、1993年年明けから、株を売り始めた。損切りはしない主義なので、売り終えるのに4ヶ月かかった。

その後の暴落ぶりは、グラフのとおり。2003年4月に7607円まで下落したのだ。さらに、2008年のリーマン・ショックで、7000円を割り込んだが、これはおまけ。だから、「半値八掛け」はけっこう当たるのかもしれない。

というわけで・・・

なんとか売り抜けたが、前回同様、大勢に影響ナシ。投資額が小遣いに毛が生えた程度だったから。

では、今回の三度目の胸騒ぎは?

やっぱり「小遣い」だから、大勢に影響ナシ?

トンデモない!

もう、若くないから、いつまで働けるかわからない。ワンコインも損したくない今日この頃だ。

■株価暴落の予感

じつは、今回の胸騒ぎには根拠がある。

まずは、実体経済。

広告代理店の友人いわく、

「これまでは良かったのに、先月ガタンときた。単月でこんなひどい落ち込みは初めて。経済は相当悪い」

機械メーカーで海外営業(中国を中心とするアジア)を担当する友人いわく、

「経済は完全にピークアウトした」

景気の動向が最初に現れるのは、「広告業」と「設備産業」である。

先行きに不安をおぼえたら、会社は何をカットするか?

まずは、広告。カットしても、すぐに売上は減らないし、カンタンに削れるから。つぎは、設備。先行き不透明なのに、生産力を上げるバカはいない。現状の設備で生産できるので、売上が減ることもない。つまり、削りやすいところから不況になるわけだ。

もちろん、2社だけで結論するのは早計だろう。とはいえ、この2社は全国区の優良企業。機械メーカーの方は、海外販売も好調だ。この2社だけ落ち込んでいるとは思えない。ひょっとして、大事の前には小事が多発する「ハインリッヒの法則」が成立しているのかもしれない。

第二の根拠は、2018年11月の米国ハイテク株の暴落。

これまで我が世の春を謳歌してGAFA(Apple、Google、Facebook、Amazon)が30%近く下落したのだ。さらに、AIの星「NVIDIA」も、1ヶ月で、284ドル→144ドルと大暴落。四半期決算で増収増益が続いているのに、ありえない。歴史的大暴落といっていいだろう。ところが、誰も大騒ぎしない。なんで?

そして、ソフトバンクの上場。

これが、平均株価を押し下げる可能性がある。ご祝儀相場で、一時的に高値をつけるかもしれないが、下がるシナリオしか描けない。

理由は2つ。

スマホ・携帯の普及率はほぼ100%で、キャリアビジネスはピークアウトしている。さらに、ソフトバンクの孫社長は携帯電話ビジネスに興味を失っている(たぶん)。

ソフトバンクを上場させるのは、売り抜けて、キャッシュを得るため?

だから、ソフトバンクGは繁栄するかもしれないが、ソフトバンクは衰退する?

孫さんは稀に見るビジョナリスト(預言者)だ。未来を完全に見通している。来るべき「AI資本主義」の時代だ。そこで価値をもつのは「AIとロボットの所有権」のみ。ソフトバンクの上場で得た資金、上場にからむ金融団の融資マネーは、そこに投入されるのだろう。凄まじい選択と集中だ。孫さんは、やがて来るAI資本主義の覇者になるかもしれない(GAFAなんて目じゃない)。

というわけで、ソフトバンクGはさておき、ソフトバンクの株価は低迷するだろう。結果、株式市場全体が引きづられる。ソフトバンクはカリスマ銘柄だから。何事もなければ、日経平均株価は2万円を割り込むだろう。

もし、日銀の「株(ETF)と日本国債」の爆買いが裏目にでれば、1万円をカンタンに割り込む(個人的見解で的中する保証はありません)。裏目が「日本国債」なら一大事だ。銀行は我先にと国債売却に走る。国債が下落すれば、自己資本比率が下落し、銀行業務ができなくなるから。結果、売りが売りをよび、日本国債は暴落するだろう。当然、円安は避けられず、輸入物価は高騰し、スタグフレーションが始まる。物価は上がるけど、不況で給与が上がらない、サイアクのシナリオだ。

この1ヶ月で、世界が一変してしまった(自分の思考空間の中で)。

何かがおきているのだ。こういう局面は、一旦守りに入った方がいい。そこで、ほとんどの株を売却した。ただし、売らなかった株もある。NVIDIAとAMDとIBMだ。来るべきAI資本主義の時代に備えて。そもそも、今売っても小遣いにしかならないし。

じつは・・・

一番コワイのは「マクロ経済」だ。

2017年の日本の金融資産は「3007兆円(金融機関を除く)」。名目GDPは「546兆円」。その比率は、

金融資産÷GDP=5.5倍

すでに限界を超えている。金融資産は誰かの負債(借金)なので、働いて(GDP)で借金を返す必要がある。ところが、「5.5倍」は働いて借金を返せるレベルを超えているのだ(統計的・経験則)。

それでどうなる?

債務不履行(デフォルト)が増え、「負債=資産」が減額される。それが連鎖すると、金融資産は暴落し、金融恐慌に陷るわけだ。サブプライムローンの破綻のように。

このシナリオは奥が深い。もう一歩踏み込んで精査することにしよう。

《つづく》

by R.B

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