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スモールトーク雑記

■蒲田と六本木をハシゴ酒 2012.02.18

暗ぁ~い「アニメ会社破綻」会議が終わり、蒲田に向かった。

大学時代の友人「Y」に会うためである。Yは大手電機メーカー特許部の部長さん。ウチが出願した特許の件で、相談があったのだ。蒲田は今回が初めてだった。JR蒲田駅を出ると、いきなり、商店街。ん~、庶民の町・・・浅草に似ているが、どこか田舎っぽい。店構えも古いし、「街」というよりは「町」。映画「蒲田行進曲」をだぶらせ、勝手に喜んでいた。ホテルは「東横イン」。こちらも、蒲田の町にあわせ、どこか、田舎っぽい。ん?テレビがつかない。がんばって、リモコンを押しまくると、電源は入るが、チャンネルが変わらない。おいおい・・・まぁ、いいか、蒲田なんだから。

JR蒲田駅で、Yと待ち合わせる。一応、仕事の話なので、それなりの居酒屋へ行くことにした。ところが、中に入ってみると、いたって普通。しかも、味はマズイと普通の中間・・・ムム、これで高かったら、怒るぞ。こればっかしは、「まぁ、蒲田なんだから」ではすませられない。「高くてマズイ」が許せないタチなんで。そのとき、店に数人のお客が入ってきた。それを見て、Yが仰天し、相手も仰天している。どうやら、Yの会社のグループらしい。その中の2人とYは、特許部の「3バカ部長」なのだという(自称)。あっ、どーしたの、奇遇ですねぇ、と話し込んでいた。

食事が終わり、会計をすると、2人で16000円!おいおい、あの料理で、1人8000円はないやろ。Yが言うには、この店の2倍うまくて、値段が半分の店がいくらでもあるという。マズイ、汚い、は許せるけど、「値段が高いだけ」は許せん。ということで、つぎは、来るときは、2倍うまくて、値段が半分の店で。一次会が終わり、お待ちかねの中国人クラブに行く。Yは金沢に来るたびに、この店の中国人ママを持ち上げる。そこで、今回出張する前に、Yにメールを送った。「例の中国人ママのクラブに連れて行ってくれ」すると、すぐに返事が来た。「”クラブ”というイメージをもつのはやめたほうがいいです。どちらかというと”場末のスナック”というイメージです」行ってみると、本当に、場末のスナックだった。

「夜来香(イェライシャン)」と店の名はシャレてるのだが、4坪ほどの空間に、カラオケが1台あるだけ。狭くて、ホコリっぽくて、寂れて、大学時代に行った場末のスナックそのもの。ところが・・・なぜか、居心地がいい。ママの慧(kei)ちゃんは、びっくりするほどの美人。顔の造りが日本人とは違うし、場を惹きつける”華”もある。サラリーマン勝ち組で、羽振りのいいYが、こんな場末のスナックに通う理由は、ココにある(たぶん)。

ママに出身を聞くと、「瀋陽」だという。やっぱり!金沢で接待でよく使う店の中国人ホステスによれば、「中国人は、北と南で違います。北の女性は、背が高くて、色が白くて、美人、南の女性は、背が低くて、色が黒くて、××」じつは、このホステスも瀋陽生まれで、背が高くて、色が白くて、美人。

去年、マカオに出張したとき、ガイドのランディも瀋陽出身で、背が高くて美人だった。今回の慧ちゃんもビンゴ!ひょっとして、「中国東北部の女性=美人」は歴史の方程式なのかもしれない。(ちょっと、おおげさか)この店で働いて1年の「ことちゃん」は、日本的な超美人。AKB48なんて足元にもおよばない。なんで、こんな美人がこんな場末のスナックに・・・ママに聞くわけにいかないので、本人に聞いたが、言葉を濁している。

さては、ママに遠慮してるな・・・ところが、なんのことはない、日本語が話せないだけだった。ただ、出身地だけは聞き出せた。それがなんと、福建省。福建省は中国南部の沿岸地域で、台湾に面している。東北部じゃないぞ・・・福建省も美人の産地か?ん~、さすが中国5000年の歴史、奥が深い。

(まぁ、ドーデモいいのだが)それはさておき、いくら美人でも、話が通じないのでは、”話にならない”。ふと気がつくと、Yが絶唱している。ところが、僕はノドが弱いので、カラオケは歌わない。でも、その日に限って、なぜかご機嫌で、何曲も歌いまくった。(本当に珍しい)途中で気づいたのだが、Yはずいぶん歌がうまくなっている。

さては、慧ちゃん目当てに、通い詰めて、みついだ成果か?でも、まぁ、金沢ではありえない場末のスナックだし、安いんだろうけど。ところが、店を出るとき、2人で、2万4000円!おいおい、こんな場末のスナックでそれはないやろ!と思ったのだが、ママの笑顔を見て、「また来るわ」情けない・・・Yに携帯電話が入り、先の3バカ部長の1人F部長(失礼、自称なので)が、六本木で飲もう、という。え?

蒲田から、六本木って、けっこう遠かったような・・・

ところが、そこで、Yに説得された。1次会の居酒屋は高くてマズイので、YもF部長も滅多に行かない。ところが、僕が東京に来たことで、YとF部長と僕の3人の邂逅があり、これも何かのご縁だから、六本木に行くべきだ、という。よくわからんが、とにかく、六本木で飲むことにした。

美人ママの慧ちゃんに後ろ髪を引かれる思いで、タクシーで六本木に行く。30分~40分?蒲田から六本木は思ったほど遠くなかった。F部長は、どこかでシャンパンを買ってきて、それを店に持ちんでいる。どうやら、いきつけの店らしい。店の名は「James monroe」。蒲田の「夜来香」よりは、広くてきれい。まぁ、一応、六本木なので。

この店のママは、たぶん、それなりの歳なのだろうが、若く見える。そんな話をふると、六本木で4半世紀やっているという。銀座や六本木で25年なら、立派なもんだ。実際、ママと話していると、頭の良さが透けてみえる。だいたい、店の名が「James monroe(ジェームズ・モンロー)」。「モンロー主義:アメリカとヨーロッパは互いに干渉すべきではない」を唱えたアメリカ合衆国大統領のフルネーム・・・モンローはハンサムじゃないし、派手な功績があるわけじゃないし、ママがモンローの末裔とも思えない。

さてはインテリ?

そこで、F部長が話しかけてきた。F部長もかなりの物知り。理由を聞くと、本が好きらしい。彼は北大出身なのだが、北杜夫の「どくとるマンボウ青春記」のせいで、大学時代は勉強しなかったという。そういえば、「どくとるマンボウ青春記」に、こんなくだりがある・・・

北杜夫が東北大学に合格したとき、彼の父(詩人の斎藤茂吉)は、すこぶる上機嫌で、大学なんか、4月から行くもんじゃない、と断言したという。それを真に受けて、遅れて大学に行くと、授業がかなり進んでいて、困った、という話。たぶん、これを言っているのだろう。

そこで、カラオケが始まり、みんなで歌いまくった。僕が、井上陽水の「ロンドン急行」を歌うと、ママが、初めて聞いた、と感動していた。そうか、僕らのスーパースター「井上陽水」は、いまじゃ、過去の人なんだ。YもF部長もすっかり、酔っぱらっている。Yは明日、部の方針演説をすると言っていたけど、大丈夫かな。午前1時過ぎたあたりで、ママが店を閉める準備を始める。ママいわく、F部長、以前、六本木で撃沈し、カバンをなくしたらしい。

そのとき、ママが朝、F部長の奥さんに電話すると、

「なんで、今、六本木なの?六本木なんか、燃えてなくなればいいのに・・・」

これには、ママもいたく感動したらしいが、僕も感動した。いいセリフだ。Yは、今日は徹夜で飲むぞ、と吠えているし、F部長も歌をやめる気配がない。そこで、ママは、F部長にこれが最後、と一曲歌わせて、そそくさと店を閉め始める。その手際のいいこと。その後、酔っぱらったYとF部長を、宿泊所に誘導し、僕をタクシーまで送ってくれた。しっかり者のママだなぁ。さすが、六本木で4半世紀・・・

外に出ると、1時半だというのに、街はまだ華やいでいた。気のせいか、外人も多い。やっぱり、蒲田は「町」、六本木は「街」かな。タクシーで蒲田まで戻ったが、5600円もかかった。蒲田でホテルをとった意味ないじゃん。蒲田と六本木・・・ヘンな「ハシゴ酒」だったが、なんか楽しい夜だった。Thank you!Y&F部長・・・六本木1:30am。

Street_Roppongi

by R.B

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