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スモールトーク雑記

■マカオ出張・帰国  2011.07.24

朝4時半、モーニングコールが鳴る。電話機は2機あるが、例によって、ベッドから遠い方。電話をとると、4時半とかなんとか言っている。機械的な声なので、自動録音だと思い、そのまま切ってしまった。

すると、5分後にまた電話が鳴る。そこで今度は、「Ok!Thank you」と答えると、それっきり鳴らなくなった。ひょっとして、相手は人間?それにしても、徹底したモーニングコールだ。中国人(マカオ人)恐るべし!

窓の外を見ると、ヴェネチアンホテル周辺のホテル群が見える。今、ここコタイ地区は建設ラッシュだ↓Macao_Venetian_Windows

ところが、50年前まで、この一帯は、タイパ島とコロアン島にはさまれた海だった。それを、マカオ政府が人口過密を解消するため、埋め立てたのである。地震や津波がきたら、たぶん、イチコロ。コワイコワイ・・・

今日は帰国する日だ。当初の予定では、「マカオ国際空港→関西国際空港」だったが、その便が欠航になってしまった。福島第1原発事故で、中国人客が減ったのだという。

そこで、マカオから香港国際空港まで船で行き、「香港国際空港→関西国際空港」で帰国することになった。ところが、香港国際空港10時発なので、朝、4時半起き!ちなみに、この日のスケジュールは、4時30分:起床5時45分:ホテルをチェックアウト5時50分:ホテルを出発6時20分:マカオのフェリー乗り場に到着後、出国手続き(乗船の1時間前に出国手続きをする必要があるため)7時30分:ターボジェット・シー・エクスプレス(高速船)でマカオを出港8時15分:香港国際空港に到着10時5分:香港国際空港を出発以上、立案したのはランディ。中国人とは思えない緻密さだ(失礼)。

5時30分にホテルロビーに行き、チェックアウトをすませる。5時45分キッカリ、ランディが来る。朝早いので、さすがに、着の身着のままという感じ。マイクロバスに乗って、ランディと最後の世間話をする。

ランディ曰く、「マカオはカジノの賜(たまもの)です。マカオのカジノの税収はいくらだと思いますか?」(見当もつかん)「1日40億円です。これ、マカオの税収の40%なんです、ハイ」

この潤沢な税収により、マカオでは65歳以上は医療費がタダだという。さらに、労働力が慢性的に不足しているので、若者が18歳になっても、仕事に困ることはないという。

それどころか、就職した後も、若者たちが辞めないよう、上司はご機嫌取りに腐心しているという。辞めても働き口に困らないからだ。

たぶん、これは誇張ではない。数字もみても明らかだ。今回宿泊したヴェネチアンホテルは、2万人の従業員が働いているという。ところが、マカオの人口は55万人。労働人口が30万人として、巨大ホテルが20もあれば、マカオ経済は成り立つ。(実際、巨大ホテルは20ある)

というわけで、若者はメンドーなガイドの仕事などやりたがらないという。実際、マカオ市内を歩いていると、ガイドは年寄りばっかり(60歳以上?)。ランディは30歳だが、会社で一番若いという。

ただ、ランディは、初めからガイドの仕事をしていたわけではないらしい。大学を卒業した後、上海のIBMで働いていたという。なかなか良い会社だと言っていた。(そりゃそうだろう)

ランディが言うには、上海は、日本語ができれば、仕事に困らないらしい。ちなみに、ランディが話せるのは、北京語、広東語、韓国語、日本語、英語、ベトナム語(頭いいなぁ)。さらに、ランディの夫は大学院出だが、カジノのVIPルームで働いているという。大学院出てサービス業というのも、マカオならではだろう。

あと、興味深かったのは、マカオの国籍の話。今、マカオのID(国籍)を取るのは至難なのだという。ポルトガル語ができる弁護士とか、特殊な技術をもったエンジニアとか、レアな人材に限られるらしい。ランディはマカオのIDを取得しているが、その頃は、マカオで1000万円以上の家を買えば、無条件で取れたという。

受け狙いなのだろうが、ランディはこんな話もしていた。

「カジノで負けて、食事代100ドル(1000円)貸してくれというお客さんいます。ランディ、初めは貸したのですが、今貸さないです。貸したら、それも賭けごと(カジノ)に使うので。意味ないですね、ハイ」

30分でタイパフェリーターミナルに到着。じつは、ここで出国手続きができるのだ。しかも、スーツケースを預ければ、そのまま関西国際空港まで運んでくれる。これは楽チン。

ただし、船に乗るには、20香港ドルが必要だ(アップストリーミングチェック手続きのため)。日本円もVISAカードもダメ。なので、香港ドルをカジノで使い切らないように!マカオの法廷通貨はマカオ・パタカだが、どこでも香港ドルでOK(1香港ドル=1パタカ=10円)。

7時30分、ターボジェット・シー・エクスプレスに乗船し、香港に向かう。速い!スクリュー船とは比較にならない。客室内もちょっとした飛行機なみ↓Macao_JetShip

45分で香港国際空港に到着。香港ドルが100ドル(1000円)ほど残っていたので、土産を買おうと思ったが、迷ったあげく、ぜんぶ、円に交換した(ケチ)。

その後、予定どおり、10時5分、キャセイパシフィック航空で、香港空港を飛び立つ。一路、日本に向かった。

キャセイパシフィック航空は、ワインもでるし、テレビもあるので、退屈しない。ニコール・キッドマンの地味な映画を観て、時間をつぶす。この女優、キレた役は最高だ。ということで、あっという間に関空に着いた

そこで驚いたのは、人の少なさと陰気くささ。あらためて、日本の現状を思い知った。放射能、節電、不況、我慢・・・ハッピーなマカオから、いきなり現実に引き戻されたわけだ。

だが僕は思う。幸も不幸も自分の”思い”しだい。放射能・節電・不況という現実を、ちゃんと受け入れた上で、どう立ち向かうかだ。

ところが、今の日本は、現実を受け入れることなく、ひたすら、恨み、嘆いている。大切なものを、より大切なもののために、断ち切る覚悟が必要なのに。それをやらないから、不幸の袋小路に入っているのだ。せっかくの人生、もったいない。

電車を待つ間、暇つぶしに、マカオのビデオを再生してみた。さすがハイビジョンカメラ。画質がきめ細やかで美麗。ところが、途中、ギョッとした。

ヴェネチアン・ホテルのエレベータがあまりに豪華だったので、とっさにカメラを回したのだが、なんと、そこに、自分の姿が映っていたのだ↓(全面鏡張りだったので)Macao_Venetian_Elevator

どこからどう見ても中国人・・・これで、あの謎が解けた。「どの免税店でも、中国人と間違われた」件だ。ふふ、これは好都合、何かあれば中国人で通せる。

その何かとは・・・

このままいけば、20~30年後には、米国は大きく衰退し、日本は後ろ盾を失う(本当は後ろ盾でも何でもないのだが)。もちろん、世界最強国にのし上がるのは中国だ。そのとき、ビジョンなき腰抜け外交でしのいできた日本は、つけを払わされる。つまり、「中華人民共和国・日本省」。

もし、そうなったら、中国人でとおすことにしよう。中国人が間違えるほどだから大丈夫。中国語が話せない?ゼンゼン問題ない。「ワタシ、ニホンニ、ラチサレテイマシタ」(拉致被害者の方を冒涜するものではありません)

まぁ、冗談はさておき、中国語は話せたほうがいいだろう。ということで、中国語の勉強でも始めるかな。

by R.B

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