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スモールトーク雑記

■燕温泉 2009.09.21

野尻湖を後にして、一路、宿に向かった。目指すは「燕ハイランドホテル」。燕温泉の近くにあり、「ブナ林に囲まれた一軒宿」がウリ。勝手に森林浴を想像して、期待に胸をふくらませた。

カーナビをセットすると、野尻湖から30分ほどの距離。軽い気持ちで運転していたら、いきなり、山道に入った。

道が狭い。対向車とすれ違うのがやっと。しかも、片側は断崖絶壁。ガードレールらしきものはあるが、衝突すれば、ひとたまりもない。コワイコワイ・・・

お気軽ドライブが一転、伸るか反るかの決死行となった。そして、ふたたび問題発生・・・カーナビが反応しないのだ!こんなとこで、故障かよ?カーナビを心から信じて、地図はおいてきたし、初めて通る道だし、高所恐怖症だし、どーしてくれる!

怒りが通じたのか、カーナビが突如回復した。なんとか、「燕ハイランドホテル」に到着。キャッチコピーの「ブナ林に囲まれた一軒宿」んー、そのままだ。

ホテルを一目見るなり、スイスの山小屋を狙っている、と確信した。(スイスの山小屋は行ったことはない)スイスの美しい山々を背景に、窓に花を飾った、コジャレた木造の家、そう、あれ。アルプスの少女ハイジ。(観たことはない)

ホテルの中は、期待どおり、スイスの山小屋風。露骨な木の演出はさけ、Woodyで上品にまとまっている。廊下には真っ赤な絨毯が敷かれ、いかにも、ハイソな山小屋ホテル。

純ヨーロッパ風のロビーの横に、純日本風の茶室があるが、これも違和感ナシ。このコーディネートはなかなか。付け焼刃の「こだわりの××」ではなさそうだ。長年かけて培ったのだろう。歴史と伝統は、目に見えない何かを感じさせる。カネではつくれない価値だ。

近くに、露天風呂があるというので、行ってみることにした。妙高山で最も高所にある「燕温泉」だ。車は恐いので、徒歩で行くことにした。思った通り、道は狭い。断崖絶壁、高さは100mを超える。ところが、それが、息をのむ絶景・・・

10分ほどで、燕温泉街に着く。滝が流れ落ちる崖の上に、小さな温泉街がある。土産物屋を見つけ、買い物をする。80歳ぐらいの夫婦がのんびり店番をしている。孫とだぶったのか、おちびにハンカチをくれた。こんな山奥の土産物屋は、誰も跡を継がないのだろう。老夫婦と土産物屋をビデオに収める。いい絵だ。

午後6時、ホテルで夕食。レストランは古いが、上品で小綺麗。ところで、お味は?よろしくない。理由は2つある。

第1に、僕は仕事がら、会食が多く、この価格帯の料理をよく食べる。なので、点数はどうしても辛くなる。

第2に、燕ハイランドホテルは、標高1100mの山奥にあるので、良い食材を調達するのが難しい。刺身は特に。だけど、そのぶん、盛りつけは綺麗だし、ボリュームは満点だ。だから、顧客満足度はGood!

ところが、寝るときは困った。敷き布団が薄いのだ。定規で測ったわけではないが、2センチ5ミリ。案の定、夜中に腰が痛くなった。かつて痛めた右ヒザまで痛くなる。室温はどんどん下がるが、暖房がつかない。なかなか、寝つけなかった。

午前8時、朝食。このレストランは夜もいいが、朝も映える。スイスの山小屋らしく、洋食。女将がわざわざ来て、パンの生地をスイスから取りよせて、焼いていると自慢する。たしかに、パンはうまい。

チェックアウトの前に、ホテルのロビーでくつろぐ。周辺案内のパンフレットがあり、妙高そばの記事を見つけた。「長沢茶屋・幻のそば」。天ぷら、笹寿司、そばが楽しめる茶屋セット1150円。とくに笹寿司は、上杉信玄も好物だったとある。NHKの大河ドラマも上杉だし、ちょっと行ってみるか・・・これが、災難の始まりだった。

妙高山をおりて、関山駅から東に向かう。カーナビでは、太めの国道だったのに、道がどんどん狭くなる。イヤな予感・・・曲がりくねった細道を、車酔いに耐えながら、延々40分も走る。やっと、目的地周辺へ。

橋を渡って、「長沢茶屋」に入ろうとすると、駐車場が一杯。そもそも、駐車場というよりは脇道で、数台しか駐車できない。

駐車場から1台出てきたので、道を空けようとしたが、逃げ場がない。しかたなく、橋をバックで渡り、そのままバックで国道に出た。このあたりは、すべて川沿いの道で、へたをすると、川に落ちる。冷や汗をかいた。狭い国道をUターンし、再度、「長沢茶屋」に入ろうとすると、一瞬早く、後からきた車が進入。再び、駐車場(脇道)は満杯。もう、うんざり・・・こんな神経を逆なでするような場所で、こんな危険な試技を繰り返したくない。客商売で、こんな駐車場を放置する神経がわからない。

パンフレットには、「深山の里・霧下そば」と「大滝荘・こそば」もあったが、長沢茶屋より、さらに悪路が予想された。家族はみんな、車酔いで、グッタリ。「どんなにうまくても、行きたくない」で意見が一致。そのまま、妙高を後にした。

長沢茶屋同様、燕ハイランドホテルも、場所に大きなハンディがある。だけど、燕ハイランドホテルはそれをカバーしようと、目一杯の努力をしている。子供用のスリッパがなかったが、おちびのために、30分もかけて、捜し出してくれた。喜んでもらおうと一生懸命、それがヒシヒシ伝わってくる。

一方、「長沢茶屋」は、お客にとって、不便であること、危険であることが、付加価値だと思っているフシがある。それでもよければ来てください、うちのソバは、そういう方に食べていただきます、そんなピントはずれの「こだわりの××」が、伝わってきた。なら、パンフレットにもそう書いとけば・・・僕は初めから行かないし、不快な思いをする客も減る。

不便なことはあったし、腰も痛めたけど、燕ハイランドホテルには、また行きたいと思う。けど、あのソバ屋は何があっても行かない。食べる前にこれでは、客商売はおしまいだ。サービス業の原点を見たような気がした。

by R.B

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