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スモールトーク雑記

■尖閣ビデオ流出事件 2010.11.07

仮にの話だが、日本の閣僚が、女性問題で弱みを握られ、中国に便宜をはかっていたとする。もし、その証拠が、外部に流出したとしたら・・・世論はどう反応するだろうか?

誰がどんな便宜を図り、どれほど国益が損なわれたか、で騒ぐのが普通で、情報を漏らしたのは誰だ?で騒ぐ者はいないだろう。

仮にの話だが、巨大隕石が地球に衝突する事を、政府が隠していたとして、もし、その証拠が、外部に流出したとしたら・・・世論はどう反応するだろうか?

隕石衝突が、いつ、どこで起こり、どの程度の被害が出るのか、で騒ぐのが普通で、情報を漏らしたのは誰だ?で騒ぐバカはいないだろう。

ところが、今、日本で起こっている現実は、その”バカ”なのである。

2010年11月5日、インターネット上で、尖閣諸島沖の中国漁船衝突の映像が公開された。人気の動画サイト「ユーチューブ」に、投稿されたのである。映像は全部で6本、長さは44分。投稿者名は「sengoku38」だが、仙石(せんごく)官房長官を、非難しているのだろう。

映像は鮮明で、中国漁船が体当たりしたことに、疑う余地はない。こんな証拠があるのに、処分保留で中国人船長を釈放した?アタマおかしいんじゃないのか?だいたい、なぜ映像を全面公開しない?・・・という展開を予想したのに、見事にはずれてしまった。

マスコミや世論は、「情報管理に問題がある。内部関与なら守秘義務違反だ・・・」

え?問題はそこか?!

管首相は、いつものとろんとした眼(まなこ)で、「しっかり調査して原因究明をしなければならない」と何の意味もないコメント。マヌケでピント外れのジョークには使えるかもしれない。

ただ、「みんなの党」の渡辺代表は、「尖閣諸島は日本が実行支配しているということを、国際社会に明らかにできたのに、圧力に屈して釈放してしまった」と中国人船長を釈放したことを非難した。

また、自民党の小池百合子議員は、「早く公開しないからこのようなことになった」と情報を全面公開しなかったことを非難している。

この2人に共通するのは、情報が漏れた経緯ではなく、情報の意義を中心にコメントしていることだ。しごく当然なのだが、すごく立派に見えるのはなぜだろう?

この映像は、海保と検察にしか存在しないらしいが、海保は現場でコピーしているだろうし、今さら管理しろと言われても、ムリ。

今回の事件は、ハッキング(外部からの不法アクセス)ではなく、内部関係者のリークである可能性が高い。

つまり、内部告発。

普通、内部告発の場合、リークしたのは誰だと騒ぐのは、リークされた側だけで、マスコミや世論は、真相を知りたがるものだ。だが、今回、マスコミはその逆をいっている。

政府も、マスコミも、世論も、中国を気遣っているわけだ。中国漁船に当て逃げされ、船長を拘留したのに、すぐに釈放。しかも、証拠の衝突ビデオさえ公開しない。

こんな情けない政府に業を煮やして、キャリアを棒に振ってまで、内部告発に踏み切った、というのが、今回の事件の真相かもしれない。

いずれにせよ、リークした人物は、いずれ特定され、処分を受けるだろうが、「国民に真実を知らせるための告発」であったことを忘れてはならない。

自己を犠牲にしてまで、真実と正義を尊重する。それが、守秘義務よりはるかに尊いことは、誰にでもわかることだ。「おとぎの国」日本にも、こんな気骨のある人物がいたのだ。(もしそうだったらの話だが)

1830年7月27日、フランスの都パリ、フランツ・リストは一発の砲声で目を覚ました。窓を開けると、民衆が三色旗をひるがえし、歓声と熱気が街をおおっていた。フランス7月革命が始まったのだ!この瞬間、ピアノの魔術師、リストは、長かったスランプを脱し、再び、創作を開始したのである。

さて、今回の「尖閣ビデオ流出事件」は、日本にとって「リスト一発の砲声」になるか?

by R.B

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