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スモールトーク雑記

■日本を見捨てる日本企業  2010.10.11

日本の電機メーカーが、束になってもかなわないのが、韓国・サムスン電子。世界最大の電機メーカーで、利益でも世界のトヨタに肉薄する。そして、韓国最大の財閥サムスングループの基幹企業でもある。

サムスンは、1938年、不世出の事業家、李秉喆(イ・ビョンチョル)氏によって創設された。李氏率いるサムスングループは、朝鮮戦争(朝鮮動乱)をはじめ、様々な苦難を乗り越え、世界有数の企業にのし上がった。その成因は2つある。明敏で大胆な経営トップ、そして、熾烈を極める社内競争だ。

サムスンは、ソウル大学のような難関校から、優秀な人材を丸取りし、平均睡眠時間3時間の過酷な研修期間を課す。さらに、その後も、熾烈な競争がつづく。そのため、サムスンの平均在職年数は2年。まるで、肉食獣の弱肉強食世界だ。

一方、日本の就職戦線といえば、今や、おゆとり様世代。「おゆとり様」とは、ゆとり教育を受けた「ゆとり世代」のことで、”ぬる~ぃ”若者たち、ということになっている。

まぁ、そんなこんなで、日本の若者は頼りにならないので、韓国人を採用しようという動きもでてきた。ここで、注目すべきは、

1.中途ではなく、新卒採用。

2.現地採用ではなく、日本国内での採用。

という点。

国際化、グローバリゼーション、正当化する言葉はいくらでもある。企業の使命は極めれば金儲け、ビジネスに勝つには、「日本の国益」などかまっていられない、というわけだ。

ユニクロは、素晴らしい業績を上げているが、日本に対する貢献度は低い。ほとんど中国で生産しているから。人件費の高い日本で生産しても勝ち目はない・・・目線を世界におかないと生き残れない・・・などなど、殺し文句は山ほどある。とはいえ、何をどう正当化しようと、中国に貢献する日本企業であることに変わりはない。

僕のジーパンは、日本で企画し、日本でデザインし、日本で染め上げ、日本で縫製したものだ。ちょっと値は張るけど、モノはいい。安物をはき変えるより、安上がりだと思っている。なにより、僕の払ったおカネが、日本の会社、日本人のフトコロに入ることが、心地いい。

こんなことを言うと、鬼の首を取ったように、ナショナリズムだ!と吠える人たちがいる。だけど、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件をみて、どう思う?

今回の事件をみれば、中国の望みは「生存権=領土の拡大」は明らかだ。もちろん、原動力は強烈なナショナリズムにある。市民運動出身で低姿勢がウリの素人首相にも、「国内法にもとづいて粛々と・・・」が、どれほど的外れか、わかったのではないか。

そもそも、日本のような大国で、あれほど問題解決力のない人物が、首相まで上りつめること自体がおかしいのだ。一体、政界で何が起こっている?もちろん、民主党もおかしい。他にも人材はいるだろうに、身内の調整を優先して、党首を選んでどうする?草食系の首相など、どこにいるというのだ?

さて、ナショナリズムに話をもどそう。ナショナリズムとは、国籍を尊重する意識のことである。もっとも、度を超せば”嫌悪感”が生まれるし、ヘタをすれば戦争を引き起こす。そのため、”良識”で生計を立てている評論家は、判で押したように、ナショナリズムを非難する。

中には、「国と運命をともにする?そうしたい人はそうすれば。自分はごめんだ」と言い切る人もいる。ならば、国籍を捨ててみてはどうだろう。その瞬間、財産権はおろか、生存権まで消失する。守ってくれる法律も国もないのだから。

もちろん、「ナショナリズム=異民族の排斥」を意味するわけではない。たとえば、今、勤務している会社に、スペイン人とコロンビア人がいる。中途で入社したグラフィックデザイナーだが、彼らと仕事をするのは楽しい。会社恒例のバーべーキュー大会では、この2人を中心に盛り上がった。知識も発想も違うので、話していて新鮮だ。

それに、「ただの陽気なスペイン人」だと思っていたのに、スキルは高いし、管理能力まである。これはすごいぞ・・・会社にとって、良い刺激になる。これこそ国際化、と僕は思っている。

しかし・・・

先の「韓国人優先」も「ユニクロ」も、僕が言う国際化とは別ものだ。国際化の価値は、多様な民族、文化、価値観が混ざり合うことで、人間の意識が拡大する素晴らしい体験にある。

意識しようがしまいが、結果として、自国を疲弊させ、他国を富ませる行為を続けるなら、グローバル化の名を借りた売国奴、と言われても仕方がないだろう。

もし、中途採用なら、外国人優先にも正当性はある。目当てのスキルの有無が優先するからだ。だが、新卒採用は根本が違う。新卒採用には、「日本の労働者の”雇用”」と「日本の若者の”教育”」という2つの役割があるからだ。

教育は、「教える+育む(はぐくむ)」と2つの意味を含んでいる。手間は省いて、「育む」をスポイルすれば、日本の人材が育たない。さらに、中長期的には、国そのものが衰退するだろう。だから、ナショナリズムであろうがなかろうが、国内の新卒採用で、日本人を後回しにするのはどうかしている。(現地採用は別だが)

外に目を向けてみよう。中国や韓国がそんなことをするだろうか?戦後、外国人の雇用を優先したドイツが今どうなっているか?日々、世界をチェックしていないと、現実は見えてこない。

ところが、アメリカも日本も、我先にと中国に進出して、工場を建て、中国人を雇用し、せっせとカネを落としている。最後は、技術もノウハウもみんな取られて、ポイ捨てなのに。目先のカネ儲けのためなら、国益を損ねてもいい、これが、資本主義、自由主義なのだ。

本当は、ただの利潤追求なのに、グローバル化で自らを正当化し、日本の若者と、日本の労働者を見捨てるのは、日本の企業として、恥ずべきことである。たとえ、どんな理由があるにしろ。

もちろん、会社と社員を守るためにはそれしかない、と言うなら、そうするしかないだろう。ただ、正当化するのだけはやめて欲しい。誰が見ても、気持ちの悪いウソだから。

by R.B

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