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スモールトーク雑記

■ゴッドオブウォー3・分析 2010.05.23

ゴッドオブウォー3を攻略し、誰かに自慢したいのだが、相手を間違えるとバカにされる。なので、毎日ウズウズしていた。

そんなある日、CGの協力会社のプロデューサーとディレクターが来社した。ゲームとパチンコ映像を手がけるデベロッパーだ。もちろん、用向きは仕事で、ゴッドオブウォー3とは何の関係もない。おー、カモネギ・・・

さっそく、プロデューサー(35歳)に、ゴッドオブウォー3を全クリしたことを自慢した。すると、目をひんむいて、「えっ、ゲーマーなんですか?凄いですねぇ~(その歳で)。僕なんか、とてもとても(いい歳してやれるかい)」と感動していただいた。

ディレクター(28歳)の方は、ゴッドオブウォー3を既にプレイしたらしく、すぐに話にのってきた。後は3人で仕事はそっちのけ、ゴッドオブウォー3の分析に花が咲いた。

ゴッドオブウォー3は、一見、やりたい人だけやってくれ、のコアーなゲームに見える。それは確かなのだが、ちょっと違う。意外と初心者に優しいゲームなのだ。

アクションに妥協はないが、謎解きは素直で、ヒントも的確。全体にバランスがいい。もちろん、このゲームバランスでモノを言うのは、「センス」ではなく「カネ」。おそらく、手間(カネ)は相当かかっている。

プロデューサーに開発費を尋ねると、「20億はいってるでしょうね」「ドルで?」「ハハハ・・・でも、20億ドルだったら、どんなゲームができるんでしょう」「ほんとですねぇ・・・」3人は黙りこくり、それぞれの夢のゲームに思いをはせた。

その後、3人の間で意見が一致したのが、ゴッドオブウォー3の開発方針。

たぶん・・・

我々の辞書に「予算」という文字はない。もちろん、「妥協」という文字もない。だから、なにはさておき、プレステ3のパワーを100%を引きだそう。ということで、3Dぐりんぐりん。

たとえば、主人公のクレイトスが敵と戦うシーン。カメラを引くと、戦場が巨神の身体の一部だとわかる。その巨神もアニメーションしている。つまり、大から小までシームレスに、ぐりん、ぐりん。とてつもない臨場感だ。これぞ、プレステ3のパワー。

だが、プレステ3をもってしても、物体の凸凹をポリゴンだけ表現するのは難しい。ポリゴン数が増えるほど、描画速度が落ちるからだ。とはいえ、今どき、のっぺりな表面では通用しない。そこで、ゲームメーカーはある工夫をしている。

まず、ハイポリゴンで精緻なオブジェクトをつくる。次に、法線(ポリゴン面と垂直な線)をもとに、表面の凸凹情報を、2Dのマップ(ノーマルマップ)に変換する。

実機では、ポリゴン数を減らしたローポリを使い、表面処理は、先のノーマルマップをもとに、擬似的に凸凹を再現する。これなら、描画速度は速いし、見た目もハイポリ。今時のゲームは、いかにノーマルマップを使うからしい。もちろん、ゴッドオブウォー3もこれ。

ゴッドオブウォー3は、全体に難易度は高いが、次に何をすべきか、きちんと示してくれる。だから、広大なフィールドで、迷うことはない。

また、ユーザーが視点を変える必要もない。シーンに最適なカメラワークを、自動的に設定してくれるからだ。

さらに、ロード時間も短い。ステージが変わる前から、次のステージデータをプリリードしているのがわかる。待ち時間がないので、快適だ。

だが、一つ不満がある。「CSアタック」だ。戦闘などのイベントで、画面に、○、□、△、×のいずれかのマークが表示される。それを見て、0.2から0.5秒の間に、対応するボタンを押さねばならない。時間がわずかに遅れても、違うボタンを押してもダメ。これは、おっさんには本当にきつい。

ボタンが速く押せないだけの理由で、先に進まない?おカネは払ったのに・・・DVD映画ならタダじゃすまない。カネ返せ!訴訟大国アメリカで、訴えられないのが不思議だ。

ゴッドオブウォー3には、年配者でも楽しめるオトナの世界観がある。ゲームとしてではなく、旅をして、風景をみるだけで十分。であれば、難易度に、「超簡単おっさんモード」と「簡単すぎるシニアモード」を追加するべきだ。

ただ、簡単にするにも注意が必要だ。敵の攻撃を緩和するだけでなく、アクションの許容度も大きくすべきだ。飛んだりはねたり、すべて簡単にする必要がある。CSアタックも、1秒は必要だろう。それだけで、おカネ持ちのシニア層を確保できる。そんな簡単なことを、なぜやらない?洋モノゲームでいつも感じるのはこの点だ。

とはいえ、ゴッドオブウォー1、2ともに、欧米で大ヒットしたらしい。大ヒットが見込めるから、ん十億円もかけられる。映画同様、ゲーム開発の現場も、すでに物量戦だ。

もちろん、カネさえかければいいというものでもない。スクエニのFFシリーズみたいに、CGでお茶を濁していては、いつかは飽きられる。

ゲームの王道は、1.没入感(世界観)2.ゲーム性3.ハラハラドキドキゴッドオブウォー3は、それを教えてくれた。

最近、アイフォン・iPhoneアイパッド・iPadをはじめ、ゲームはモバイルにシフトしている。つまり、カネをかけないライトなゲーム。確かに、「暇つぶし」需要があるので、これはこれで成立する。一方、単価が安すぎて、商売としては成り立たない。現実、ホリデープログラマーが中心だ。

個人的にゲームの王道は、作る側も遊ぶ側も本気のゲーム・・・XBoxやプレステ3だと思っている。そして、メーカーはココにしがみつかないと、いつか「時代の壁」に追い越される。日本のゲームメーカーは、今、岐路に立っているのだ。

by R.B

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