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スモールトーク雑記

■人生で一番大切なもの 2023.06.11

人生が長いと、いろいろ見えてくる。

そこで、自分に問う。

人生で一番大切なものは?

思い出。

それがないと、そもそも人生は成立しませんね。

二番目は?

家族と愉快な仲間たち。

人間はコミュニケーションの動物だ。話し相手がいないと生きていけない。世界で一人ぼっち・・・考えただけでゾッとする。

とはいえ、人生の半分は仕事。拘束時間では仕事が一番長い。

そこで、仕事は「お金」より「やりがい」で選んだ、と言いたいのだが、さにあらず。大学時代は麻雀に明け暮れ、仕事のことなんか1ミリも考えなかった。

就職も、学部長が推薦してくれた上場企業に潜り込んだ。優秀だったからではない。たまたま、研究室の教授が学部長でその会社の顧問をしていたから。

その会社では、カラー魚群探知機の開発を行った。カラー魚群探知機とは、超音波を海底に発射し、その反射波をもとに海底を映像化する装置だ。ただし、現在のようにコンピュータを使わず、ハードウェア(IC)だけで実装した。当時のCPU(マイクロプロセッサ)は遅すぎて、リアルタイムで画像処理できなかったのだ。

つぎに、Uターンして、コンピュータのベンチャー企業に転職。そこで、初めてコンピュータを設計した。

その頃、海の向こうのアメリカで、マイコン革命が始まっていた。それまで、コンピュータといえば、大型コンピュータかミニコンしかなかった。ただし、ミニコンは大型コンピュータより一回り小さいだけで、サイズは「ミニ」ではない。

ところが、ワンチップのCPU「マイクロプロセッサ」が発明され、小さくて安価なコンピュータが可能になった。これをマイコン革命という。

「マイコン」とは、マイクロ・コンピュータまたはマイ・コンピュータの略語で、前者は小さいコンピュータ、後者は自分専用のコンピュータを意味する。そのマイコン革命の成功者が、アップル、マイクロフト、インテルだったのである。

マイコン革命は、産業革命以来の大イノベーションで、ワクワク、毎日、会社に行くのが楽しくてしかたがなかった。

その頃、この会社は、社長の肝いりで、スモールビジネスコンピュターを開発しようとしていた。このマシンは、パソコンとミニコンの間をうめる、その後のワークステーションである。

そのプロジェクトマネージャーに抜擢され、大ハリキリ。当時、8ビットCPUが主流だったが。米国モトローラの16ビットCPU「MC68000」を採用。さらに、モニタ、外部記憶装置、キーボード、プリンタ、すべてのIOにCPUを搭載した完全なインテリジェントマシンだった。しかも、まだLANのない時代、256kbpsの超高速シリアル通信を備えていた。

そのとき開発していたコンピュータ↓

SmallBusinessComputer
SmallBusinessComputer

営業部隊は、このマシンを、当時日本に進出予定だった世界最大のテーマパークに売り込んでいた。営業は受注は五分五分と言っていたが、その前に会社が倒産。未完のスーパーマシンとなってしまった。

その後、垂直搬送機で業界トップの企業からオファーがあった。工場で使用するコンピュータを開発したいという。面白そうなので、米国モトローラのオファーを断って、その会社に入社した。

そして、約束どおり、ノイズと粉塵まみれの工場で安定して動作するFAコンピュータ「MIC」を開発した。

MICは、機械制御CPUとデータ管理CPUが、通信ではなく、共有RAMでやりとりする超高速コンピュータだった。まず、大手オーディオメーカーに、日立のFAコンピュータに競り勝って納入。その後、大手電機メーカーのロンドンとボストンの工場にも納入された↓

FAコンピュター・MIC
FAコンピュター・MIC

その後、ハードウェアからソフトウェアに転向。パソコンのゲーム事業に進出した。

GE・TEN~戦国信長伝・下天~
GE・TEN~戦国信長伝・下天~

歴史シミュレーション「GE・TEN~戦国信長伝・下天~」を開発したのだ。
 戦国シミュレーションは数あれど「史実に忠実」はこのソフトだけ。それが評価され、販売本数2万本を記録。当時としては大ヒットで、ゲーム雑誌のトップ「ログイン」でも、総合ランキング3位に輝いた。

最近、ひさしぶりに、Windows版「GE・TEN~戦国信長伝・下天~」をプレイした。1998年にリリースされたゲームだが、Windows11で動作する。

このソフトは、プレイヤーが織田信長になり、天下布武を目指すシミュレーションゲームだ。まず、史実どおりすすめると、信長は本能寺に討ち死に。つぎに、上杉謙信を討ち取ったり、本能寺の変を回避したり、史実をかえていくと、天下布武に成功。

正直、自分の中では最高の戦国シミュレーションゲームだ。まぁ、自分がプレイしたかったから、作ったので当然なのだが。

そこで、調子づいて起業し、PCアプリを開発した。

タイトルは「ガイアチャンネル~3D地球儀で眺める世史~」。地球儀の球面上で、世界史のイベントを3Dアニメーションする、完全なリアルタイム3Dアプリだ。

基本、歴史再生ソフトなので、ゲームのような面白さはないが、2023年時点で累積で5万本販売。PCソフトとしては大ヒットで、2023年の現在も販売中。ただし、リリースから18年経過しているので、現在の月間売上は2万円ほど。

ところで、なぜ、長寿商品になったのか?

商品の良し悪しではなく「類似品がない=オンリーワン」だから。つまり、レッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンで戦っている。

ガイアチャンネルは、任天堂DSにも移植された。「ポケット地球儀DS さわって楽しむ人類5000年の歩み」というタイトルで、2023年現在もアマゾンで販売中。

その間、13年間、別の会社の役員も兼任した。

というわけで、波乱万丈の人生。

でも、会社は変われど、仕事は同じ、コンピュータ一筋。つまり、「お金」は二の次で「やりがい」で仕事を選んだわけだ。

おー、立派。学生時代は褒められたもんじゃないが、社会人になって、悔い改めたんですね。

ところが、ある日、気づいた。

これまでの実績が、社会から消えていたのだ。

FAコンピュータ「MIC」もゲーム「GE・TEN」も、ネットで検索してもひっかからない。当時は、雑誌や新聞やTVにも出たのに。まぁ、しかし、当時はインターネットがまだ普及していなかったから仕方がないのだが。

とはいえ、このままでは、ガイアチャンネルも、社会から消えるのは時間の問題だ。

お金なんかクソ喰らえ、仕事は「やりがい」だとイキがって、成果もそこそこあげたのに、結局、何も残らなかった。

虚しい。

さらに問題が。

人生の大半を中堅企業・ベンチャー企業で働いたので、生涯年収がパッとしない。しかも、4回も転職したせいで、退職金はほぼゼロ。

これはキツい。

ただ、7年前に投資したエヌビディアなど米国AI株が上昇したので、今のところなんとかやっている。

綱渡りの人生じゃん!

綱渡りは続く。

2年前、父が死んで、母がデイサービスに通いだすと、老後が他人事とは思えなくなった。

そっか、人生は終わりに近づいているんだ。

ところが、実績の記録はおろか、お金も残っていない。

ドースル、わが人生?

お金さえあれば、老後は有料老人ホームに入れたのに!

母のために老後施設を見学して、わかったことがある。

特別養護老人ホームは、入居費は安いが、相部屋で、照明が暗い。グループホームは年金で入れるが、やはり照明が暗い。人生の終着駅の臭いがするのだ。

一方、有料老人ホームは、部屋も廊下も明るく、部屋はホテルなみ。しかも、麻雀部屋まである。ところが、年金だけではムリ。月額23万~30万円なので。

あー、もっとお金を重視すればよかった。そうすれば、老後は有料老人ホームで、麻雀して過ごせたのに。

というわけで、生きがいも大事だが、お金も大事。

老後の沙汰は金次第なんですからね!

とはいえ、人生はそんなカンタンにあきらめられない。

そこで妄想してみた。

朝起きて、付近を散策していたら、タイムマシンが置いてありました。

???

アップルのパソコン「AppleⅡ」が大成功をおさめた頃、「タイムゾーン」というPCゲームがあった↓

Time Zone
Time Zone

当時、ゲームはダウンロードやDVDではなく、5インチフロッピーディスクで供給された。それが4枚という巨大システムだ(当時のゲームはフロッピーディスク1枚ないし2枚だった)。
 歴史好きは、パッケージをみるだけで、ワクワクしますね。

マニュアルには、こんなプロローグが。

「今は1985年・・・・その朝、あなたは家を出て、付近の草はらを散策している。散歩の途中、ブルンブルンと振動している奇妙な金属の乗り物を見つける。あなたはそれがタイムマシンであることを知っている。なぜなら、これと同じ乗り物が夢に現れていたからだ・・・」

おー、これからどんな冒険が始まるのだ!

もちろん、このゲームを根拠に、タイムマシンで人生を逆転できる、と言い張るつもりはない。とはいえ、ここまで引っ張ったのだから、話を続けよう。

そのタイムマシンにのって、学生時代にタイプスリップしました。今度こそ、お金持ちの人生を目指すぞ!あのときこんな分岐点があったけど、今度はこっち、次はこっち、と考えていたら・・・今と似たような人生になりました。

はぁ?

人間の業はかくも深い。

by R.B

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