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スモールトーク雑記

■地下鉄とパラレルワールド 2022.11.30

いつもの東京出張だ。

取引先のK社に向かう。地下鉄に乗ると、電車はすぐに地下に入った。

ドアのそばに立って、外をながめていると、薄暗いコンクリートの壁が通り過ぎていく。いつもの光景だ。車内は明るく、乗客はいつもより少ない。

突然、軽い衝撃があった。

電車が、左に急カーブを切ったのだ。ドアの窓から外をみると、目の前に柱があり、それを境に、レールが左と右に分岐している。なぜか、柱には「左向き矢印」の看板しかない。だから、左に急カーブを切ったのだろう。

でも、右には行けない?

じゃあ、右側のレールは何のため?

そもそも、東京の地下鉄にそんな分岐点があったかな?

それから、外の壁が、急に暗くなった。車内も気のせいか、少し暗くなっている。電車は、徐々にスピードを落とし、停車する。左側のドアが開く。

いつのまにか、乗客が減っているが、どこで降りた?

電車を降りると、ホームも駅もない。いきなり、街並みだ。

なんかおかしい。

空気は乾燥していて、ほこりっぽいが、息はしやすい。昼のはずなのに、全体が薄暗く、昼でも夜でもない。空を見上げても、霧がかかっていて、何も見えない。空はあるのだろうか。

まさか、コンクリートの天井?

地底都市か?

駅のすぐ前に、大勢の人が集まっている。この光景は、古いモノクロ写真でみたことがある。テレビがまだ贅沢品で、みんな外に出て、街頭テレビを観ていた時代。あの時代にタイムスリップした気分だ。もちろん、周囲の光景はモノクロではないし、セピア調でもない。だが、どこか色あせている。

群衆がみているのは、テレビではない。高い台の上で、中年の男が演説をぶっている。つばのある帽子をかぶり、拳をふりあげているが、演説にしては落ち着いた口調だ。日本語なのだろうが、全然頭に入ってこない。聴衆は声ひとつあげず、聞き入っている。街頭演説なのに、演説者も聴衆も静かで、熱気が伝わってこない。ガラス越しで世界をみているようだ。

演説に飽きたので(そもそも理解できない)、後ろを振り向くと、街並みがおかしい。銭湯のような建物があり、屋根の上に、角張った黒いドームがあり、そこから、望遠鏡のようなものが突き出ている。見たこともない構造物だ。

街並みは古く、道路は狭く、建物はこじんまりしている。昭和初期の街並みだ。街並みというより、住宅街に近い。細い路地の向こうから、黒いマントを着た男がこっちにむかって来る。目はまっすぐ、こっちを見据えている・・・ヤバい。

そこで目が覚めた。

あれから、1年経ったが、あのときの光景は今でも鮮明に覚えている。ひょっとして、夢ではなく、本当に異世界に行ったのかな。

これもすべて、ハーバード大学の物理学教授リサ・ランドールのせいだ。

彼女の著書「ワープする宇宙・5次元時空の謎を解く」を読んだら、パラレルワールドは実在すると書いてあった。あまりの衝撃で、夜眠れず、昼寝した。だから、生活のリズムが狂って、こんなヘンな夢をみるのだ。

とはいえ、最近の学説によれば、パラレルワールドは存在する可能性があるという。さらに、イーロン・マスクにいたっては、この世界が仮想のシミュレーション世界だと言い切っている。

僕はマリオか?

根拠が明快で、曖昧さが微塵もないのが怖い。

たぶん、パラレルワールドは存在し、この世界は仮想のシミュレーション世界なのだろう。そして、不吉なことに、パラレルワールドとシミュレーション世界はとても相性がいい。お互いに真実であることを、証明しあっているようなものだ。

人生は知らない方がいいことがたくさんありますね。

by R.B

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