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スモールトーク雑記

■Go To トラベルで沖縄を見捨てる日本 2020.08.15

「・・・沖縄県民かく戦えり、県民に対し、後世、特別の御高配を賜らんことを」

(米軍が沖縄本島の攻撃を開始して以来、県民は青年、壮年が全員、防衛召集にすすんで応募した。老人、子供、女は、軍の邪魔にならないように、防空壕に避難し、窮乏生活を送っている。若い女性は率先して、看護婦や炊事婦、砲弾運び、斬り込み隊に申し出る者までいる。沖縄島はこの戦闘と運命を共にして、草木の一本も残らないほどの焦土と化そうとしている・・・沖縄県民はこのように戦った。後世、県民に、特別のご配慮・恩恵をたまわるようお願いする)

1945年6月6日、日本守備隊の大田実少将が、海軍次官に打電した決別電である。圧倒的な戦力の米軍に対し、沖縄島は軍民一体で戦った。戦死者は、陸海軍将兵8万人、沖縄県民12万人。兵士より県民の方が多い。そんな沖縄県民に対する思いが、この一文に凝縮されている。その1週間後、大田少将は自決したが、その思いは本国に届いただろうか。

あの太平洋戦争が終結して、75年が経過した。現在、日本はコロナ禍のさなかにある。

Go To トラベル」が「コロナばらまきキャンペーン」と化したのだ。キャンペーン開始後、わずか2週間で、新規感染者数が2.4倍に。重症者も死者もジリジリ増えている。緊急事態宣言を解除し、感染者が急増するタイミングで、観光を推奨するのだから、あたりまえ。狂気の沙汰としか思えない。

では、国民はどう思っているのか。

2020年7月の共同通信世論調査によれば・・・

・Go To キャンペーン全面延期:国民の62%が支持

・緊急事態再発令:国民の66.4%が支持

当然だろう。

さらに、マクロデータが不吉だ。新規感染者が「1万人増えるまでの期間」が短くなっている。2020年7月に入ると期間は8日になり、2020年2月のなんと10倍。鳥瞰図も感染の急拡大を示唆しているわけだ。「Go To トラベル=コロナばらまきキャンペーン」は間違いない。

そして、この人災の最大の被害者が沖縄県なのだ。日本で一番の観光地だから当然なのだが。

沖縄県の7月以降の感染者は1100人で、2〜4月の7倍を超える。8月4日〜8月10日の10万人当たりの新規感染者は「42.9人」で、11日連続で全国最多。2位の東京都「16.8人」を大きく引き離している。

さらに、医療崩壊の可能性もでてきた。8月13日、新型コロナ患者専用病床の占有率が94.6%に達したのだ。沖縄県の玉城知事は「この状況を看過すると医療崩壊を招く」と警告を発している。

それに対し、ある自民党議員が、TVでこんな発言を・・・

「県境を超えた医療体制で助け合えばいい」

これにはビックリだ。

各都道府県は、将来をみすえ、必死で医療体制を準備、管理している。余裕があるからと、突然、よその県から感染者を持ち込まれては、たまらない。準備も計画もぶち壊しではないか。コロナだけでなく、医療崩壊もバラまく?

一体、何を考えているのだ?

(何も考えてません~)

こういう輩が、嬉しそうに議員バッジをつけて、アホな愚策をぶちまけ、国益をそこなう。あげく、税金から高額報酬をむしり取るのだから、害あって益なし。

なぜ、メディアも野党も声をあげないのか、不思議でならない。

沖縄は今、窮地にある。

玉城知事は冷静な口調で。日本国民と日本政府に何かを訴えようとしている。それは、「Go To トラベル」に乗っかって、沖縄に新型コロナをバラまき、医療崩壊させることでないだろう。

ところが、政府は「コロナばらきキャンペーン」を止めるつもりはない。沖縄県民を犠牲にしても・・・75年前の沖縄戦と同じではないか。結局、大田少将の思いは本国に届かなかったのだ。

政府は一体何を考えているのだろう。

夏休み!

笑えない。

そういえば、東京都医師会の尾﨑治夫会長が「コロナに夏休みはありません」と訴えていた。尾崎会長の「Not go toキャンペーン」と「無為無策、責任回避の安倍政権が日本を壊す」は熱がこもっている。顔はコワイけど、気骨のある人だ。

だが、政府は無為無策というわけではない。「Go To キャンペーン」に1.7兆円も突っ込んだのだから。一方、感染拡大防止策や医療体制の整備の予算は0.6兆円。つまり、感染症対策や医療体制をさておいて、観光業を最優先。あからさまな「観光業>>国民の命」政策だ。その象徴が、Go To トラベルと沖縄の惨状だろう。

もっとも、このような経済至上主義は、今に始まったことではない。

グローバリズムをかかげる一派が、長い年月をかけて築き上げたのだ。グローバリズムとは、世界の文化や価値観を、マネーに統一すること。味も素っ気もない、不気味なモノカルチャー世界。得をするのは、一部の金持ちだけだろう。この流れは、日本でも、小泉政権&竹中平蔵で急加速した。

結果、何がおきたか?

経済優先、効率優先がすすみ、非正規雇用が増え、労働者の格差が拡大した。さらに、「弱者切り捨て」が正当化され、勝ち組と負け組が流行語になった。

そして、あろうことか、その「切り捨て」が公衆衛生にも向けられたのだ。

ウィルスを根絶することはできないが、最小限に食い止めることはできる。かつて、コレラやペストなどの感染症をおさえこんだのは抗生物質だが、公衆衛生の力も大きい。とくに、日本は世界一清潔な国といわれるが、公衆衛生のおかげ。そして、その公衆衛生を担うのが、全国に設置された保健所。その保健所がリストラされたのだ。めったに発生しない伝染病のために、お金をかけるのは効率が悪い、というわけだ。

1994年、「保健所法」が「地域保健法」にかわり、以降、保健所の統廃合がすすんだ。1989年に全国で848あった保健所が、2018年には469に。さらに、保健所の保健師の数も、15人から数人に激減した。

結果、何がおきたか?

今回のパンデミックで、保健所は完全にマヒ。PCR検査が目詰まりをおこしてしまった。

間違ったことをするより、無為無策の方がいいかも・・・尾﨑会長に怒鳴られそうだが(面識はないので大丈夫)、現在の政府は、こういうレベルなのだ。

一国民として、歯がゆい限りだが、どうしたら、事態は好転するのだろう。

パンデミックのような国家レベルの危機は、政府が主導するしかない。つまり、「賢い政府」が望ましい(控えめな表現だが)。

では、賢い政府とは?

賢いリーダーに尽きる。

では、賢いリーダーとは?

第1に、正しい信念をもつこと。

国の安全保障と国民の生命と財産を守ることを使命と認識すること。今回の「Go To キャンペーン」のような私利私欲がからむ利益供与は論外。こんな政治屋は断罪するべきだろう。

第2に、正しい思考をすること。

人間の思考方法は2つしかない。帰納法と演繹法だ。前者はデータから真実を見つけ、後者は論理の連鎖で真実をみつける。この2つの思考法をうまく組み合わせ、結論づける能力が欠かせない。ただし、データの中にはウソが混じっている。だから、様々な角度からのデータを集め、矛盾をあぶり出し、偽データを排除する。この作業には、機械学習系のAI(帰納法)が役立つだろう。

第3に、優先順位をつけること。

たとえば「Go To キャンペーン」が1.7兆円で、感染拡大防止・医療体制の整備が0.6兆円はありえない。いいえ、議員の利益供与なので必然です。あらら、優先順位以前の問題ですね。ふりだしにもどって「正しい信念をもつこと」。

第4に、危機対策マニュアルを作っておくこと。

今回のような危機では、誰もがパニックに陥り、冷静な判断がくだせなくなる。そこで、何がおこったら、どうするかを、あらかじめ決めておく。方針ではなく、具体的な手順書であること。そうすれば、何がおきても、淡々と処理できる。

そりゃあ、ないものねだりでしょ?

そうでもない。たとえば、台湾。

台湾は、新型コロナの感染者数も致死率も驚くほど低い。しかも経済をとめていない。日本と何が違うのか?

リーダーです。

今回の危機は、蔡英文総統とIT担当大臣のオードリー・タンが主導したことは周知である。面白いのは、2人の経歴だ。

蔡英文総統は、台湾トップの台湾大学を卒業し、米国と英国の一流大学で修士号と博士号をとっている。一方のIT担当大臣のオードリー・タンは中学中退。ただし、IQ180の天才プログラマーで、シリコンバレーでソフトウェア会社を創業している。学歴も職歴も違うが、共通点がある。ズバ抜けた頭の良さだ。

未知の危機には学歴も経験も通用しない。頼りになるのは地頭だけだろう。

やっぱり、政治家はIQかな。国に殉じる信念と覚悟もないと困るけど。

by R.B

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