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スモールトーク雑記

■新型コロナ・遅すぎた緊急事態宣言 2020.04.11

2020年4月7日、日本政府は「緊急事態宣言」を発令した。

ズルズル、グズグズ、やっとか・・・とウンザリした人も多いだろう。

非常事態宣言は、その是非はさておき、やるなら早い方がいい。目的は、オーバーシュート(感染爆発)の防止なので、感染が急増する前にやらないと意味がない。

では、4月7日は、「急増」の始まりだった?

ノー!

新型コロナの日本の感染者数の推移をグラフでみてみよう↓

わずか1ヶ月の間に、2段階で「急増」していることがわかる。3月28日の第1次急増と4月5日の第2次急増だ。ところが、非常事態宣言が出たのは4月7日。チャンスは2度もあったのに、すべて逃したわけだ。あげく、非常事態宣言のあとも、感染爆発は止まる気配はない(赤色の部分)。これが日本の政府と専門家会議がやったこと。戦後最悪の国難で、日本はこんなリーダーに率いられているのだ。

ではなぜ、10日も遅れたのか?

国民のコンセンサスをえるため、経済を守るため・・・

これにはビックリだ。気が触れたとしか思えない。

まずは、国民のコンセンサス。

何が決まっても、あーだこーだ文句を言う輩がいる。そんな声にいちいち耳を傾けていたら、それこそ国が傾く。そんな雑音が気になるのは、器が小さいか、覚悟ができていないか、いや両方だろう。伸るか反るかのベンチャー企業では、絶対にリーダーになれない。ところが、国政はOK?

一体どんな国やねん!

つぎに、経済への忖度(そんたく)。

医師会も経済界も、さらに、一部の閣僚も「早く緊急事態宣言を出すべき」と進言したのに、麻生副総理が「経済がとんでもないことになる。ガタガタになる」と反論したという。

これは、マジでひどい。二重に間違っている。

まず、人の命より金儲けが大事!?

つぎに、仮に「経済>人命」だとして、緊急事態宣言が遅れて、オーバーシュートしたら、経済はもっとひどいことになる。本当に「経済」を守りたいなら、一刻も早く、新型コロナを収束させるしかない。そのためには、非常事態宣言では不十分で、戒厳令しかないだろう。

法律上ムリ?

これまで、さんざん「超法規」をやっておきながら、ココはやらない?

はあぁぁぁ~

何をやっても、チグハグ、中途半端、うまくいくわけがない。どんだけ、アタマ悪いの?

それが国のリーダーって、どんな国?

アタマの悪い国。

そっか、ボクたちもアタマ悪いんだ。選んだのはボクたちだから。

さらに、これまでの政府の口ぐせも、意味がわからない。

「ぎりぎり持ちこたえている。緊急事態宣言が必要な状況ではない」

一体、何を待っているのだ?

宇宙人がUFOで飛来し、殺コロナ光線で、新型コロナを退治してくれるとか、新型コロナが日本政府に忖度(そんたく)して、感染を自粛してくれるとか、そんな妄想を信じていたわけじゃないだろう。

というわけで、「ギリギリまで待つ」意味が、わからない。どんだけ、アタマ・・・もうやめとこう、時間のムダ。

そもそも、上のグラフをみれば、感染者が増え続けることは容易に想像がつく。つまり、オーバーシュートは時間の問題だったのだ。それを、我慢して待ち続ける・・・ゼンゼン意味わかりません。

そして、結局はオーバーシュート。国民の生命と、国の経済が大きく毀損した。これほどの大失策をおかしながら、責任をとらないのは政治家ぐらいだろう。民間企業なら、会社が破綻するか、社長のクビが飛ぶ。

おかしいのは政府だけではない。野党もマスメディアも評論家もおかしい。たとえば、「緊急事態宣言は補償とセットであるべき」が、正義になっている。

とくに、コロナショックの直撃をうけた飲食業の声が大きい。いわく「飲食業が発生源になっているから自粛しろというが、それなら、損失を補償するべきだ」

いろいろ間違ってます。

第一に、飲食業を名指して自粛しろ、が気に入らないようだが、飲食業が発生源であることは、まぎれもない事実。相関関係だけではなく、因果関係も明白だから。

そもそも、客商売なのに、お客さんの命より、自分の金儲けが大事?

ことは人命にかかわるのに、自粛してほしかったら金払え?

この国の良識はこの程度なのか?

第二に、そもそも、政府が自粛を要請しなくても、パンデミックなのでお客は減る。その場合も補償するのか?

「補償=税金」であることを忘れている。税金を使って補償するなら、納税者全員に、損失を補償する必要がある、でないと、「納税者=国民」は納得しないだろう。冷夏ならクーラーは売れないし、雪が降らなければスキー場は破綻する。それも補償するのか?

それとも、新型コロナは特例?

こんなことが正当化されているのだ。しかも、マスコミ、識者までが賛同する始末。この国のインテリジェンスはここまで堕ちたのか?

では、政府の方針は?

安倍首相は「飲食店だけではなく、(飲食店に)納入している人たちも、大きな影響を受ける。自粛要請している人に限って、その額を補償するのは、バランスを欠く」と答弁している。あらら、ココだけは正しい。

国のリソースは限られている。だから、リソースをどう配分するかがすべて。もちろん、政府は「日本全体」の責任を負うので、個々ではなく、「日本の国益」を優先するべきだ。具体的には、政府機関、自衛隊、警察、消防、医療、電気、水道、ガス、さらに、生活必需品の生産と流通が、最優先だろう。ここが破綻すると、国の安全保障、国民の生命が危険にさらされるから。

そういうと、必ず、弱者がどうのこうの、反論が出てくる。そこで、優先順位がどれだけ重要か明確にしよう。

たとえば、福島第一原子力発電所。

2011年、福島第一原発がメルトダウンし、レベル7の最悪の原発事故が発生した。その後始末が、今も続いている。メルトダウンの残骸「燃料デブリ」の安定を保つため、絶えず冷却水を循環させる。その汚染水を処理する作業も必要だ。さらに、使用済み核燃料の冷却も欠かせない。こんな大変な作業を、24時間体制で行っているのだ。

もし、作業員に新型コロナの感染が広がったら・・・作業は停止し、放射性物質が大量に放出される。9年前「東日本壊滅」寸前だったことを思い出す。

このような優先度の高い業種は他にもある。

医療崩壊がおきたら、感染者は自宅で死んでいくしかない。警察官に感染が広がったら、街は無法地帯になる。消防員に感染が広がったら、火事が発生しても、燃えるまま。

政府は、米や小麦の在庫は十分だと言うが、倉庫の作業員に感染が広がったら、出荷できない。先日、アマゾンの社員が感染して、一部の拠点が封鎖された。さらに、ドライバーに感染が広まったら、消費者まで運べない。ネット通販といえど、人間がいないと成立しないのだ。一見、安心にみえる電気、水道、ガスも同じだろう。

つまりこういうこと。

今は太平洋戦争以来、最大の国難にある。身勝手な個人主義や、薄っぺらい「平等主義」にかまっている余裕はない。きれいごとを排除し、現実の問題解決に集中するべきだ。具体的には、命にかかわる必要火急な業種には、リソースを惜しまず、そうでないなら、それなりに。

米国の著名な投資家ジム・ロジャーズは、こう言っている。

「(非常事態では)チェーンソーで木の枝を切り捨てるように、残酷なやり方で無駄なものを削っていかなければならない」

事実、欧米では外出禁止、ロックダウン、考えうる手はすべて打っている。その映像を観ていると、さながら「第三次世界大戦」だ。

一方、日本は対岸の火事。花見、飲み会、観光、ゲーム、遊興で外出する人があとをたたない。さらに、医師がクラブで感染し、クラスターが発生した例もある。医者の不養生なんて言っている場合ではない。自業自得を飛び越えて、みんなが迷惑する。「殺人」と同義語だと考えたことはないのか。

もっと凄い話がある。石川県知事は、外出自粛が続く東京都民に向け「わが県は受け皿になります。新幹線で観光に来てください」とアピールした。行政のトップが県内の感染拡大を助長したわけだ。結果、この発言を機に、県内の感染者が急増、2ヶ所で、県内初のクラスターが発生した。あげく、金沢市の人口10万人あたりの感染者数は、東京を抜いて日本1位。

当然、県民は怒っている。わが家に商品を届けてくれる若い女性は「殺人幇助だ」と憤慨していた。知人の男性は、わざわざ仙台から「石川の恥だ」とlineしてきた。そんな怒りの声が周囲でワンワン。この責任をどう取るつもりなのだろう。

というわけで、日本はおかしい。十八番(おはこ)の「神風」が吹いて、日本だけが助かると思っているのだろうか?

その可能性は「0.0000000001%」ぐらい?

でも、まともな人間なら「99.9999999999%」に備えるだろう。

昨今、人間がハエのように死んでいるからな・・・これが枕詞になる日が来ないことを願うばかりだ。

《つづく》

by R.B

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