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スモールトーク雑記

■新型コロナウイルス・臨時休校とイベント自粛の理由 2020.03.05

2月26日、日本政府は、小・中・高の臨時休校とイベントの自粛をよびかけた。

ただし、一律の自粛要請ではなく、最終決定は当事者にまかせる。中国や台湾やイタリアの強権発動とは大違いだ。

理由は2つある。

第1に、「わがまま」が「人権」として認められる日本固有の文化。政府が、休校とイベント中止を命じようものなら、野党はおろか与党からも反対の声が上がる。メディア・識者も、国民の顔色をみながら、追従するだろう。

第2に、日本は有事における法律がないこと。中国はもちろん、自由の国アメリカでさえ、いざという時は、強権を発動できる。たとえば「米国愛国者法」。テロリズムと戦うために、政府当局に強大な権限を与えている。

つまり「有事には人権は制限される」は世界の常識。さもないと、無政府状態におちいり、「全体」が壊れるから。ところが、日本はこの常識が通用しない。パンデミックが迫っているのに、「検査拒否で帰宅」が許されるほどおバカな国なのだから。

多くの日本人は、事態の深刻さを理解していない。

感染症の専門家の間では、「新型コロナウイルス感染症はスペイン風邪に匹敵するパンデミック(世界規模の感染爆発)」が共有認識になりつつある。

じつは、専門家でなくても、未来を予測する方法がある。データしか信じない統計学だ。具体的には、過去のデータから未来を予測する。これまで、人生の岐路に立った時、行くべき道を統計学の「期待値」で決めてきた。「データしか信じない」は強力な手法なのだ。

スペイン風邪(H1N1型インフルエンザ)は、1918年~1919年に世界中で流行した。感染者数は5億人で、死者は5000万~1億人。世界の人口がまだ18億人の時代だ。このとき、日本にもウイルスが上陸し、2400万人が感染し、39万人が死んだ。日本の人口が5600万人の時代である。

では、今回の新型コロナウイルスは?

専門家の予測はわれれの想像を超えている。

ハーバード大学のマーク・リプシッチ教授・・・来年までに、世界の40〜70%の人々が、新型コロナウイルスに感染するだろう。

香港大学のガブリエル・レオン教授・・・世界の3分の2が、新型コロナウイルスに感染する恐れがある。

総人口=77億1500万人、感染率=60%(予測の中心値)、致死率=2%で計算すると・・・

死者数=77億1500万×0.6×0.02=9,258万人(約1億人)

驚くべき数字だが、3つのパラメータのうち2つ(致死率と総人口)は、たぶん正しい。残るは感染率。もし、40~70%なら、死者数は6,172万人~1億801万人。決して明るい未来ではない。

ところが、日本はのんきなものだ。

政府が要請しても、休校しない自治体もある。いわく、子供をあずける場所がない。たしかに、準備期間もなく、突然休校と言われたら、親は困るだろう。非常事態なのだから、有給休暇なんて、ケチなことを言っていないで、行政の強権発動で休ませればいいのだ(小さな子供のいる親限定で)。

さらに、イベントを決行する団体・個人もある。演劇の主催者がこんなことを言っていた。ここで中止したらお客さんはもう戻らないから「演劇の死」を意味する。だから、演劇は続ける、と。

だが、疫病で演劇はなくならない。

職業俳優による演劇は、17世紀の「コメディア・デラルテ」から始まった。その後、大規模な疫病は何度もおきているが、演劇は死んでいない。個の演劇は死んでも、演劇そのものは消滅しないだろう。

とても、重要なことがある。

この手のイベントは、演者と来場者だけの問題ではないこと。イベントが終われば、参加者は各地に散って行く。もし、イベントで感染者の集団「クラスター」が発生していたら、日本中に感染が拡大する。つまり、イベントはウィルスにとって「ボーナスステージ」なのだ。

さらに、感染者が一定数を超えると、日本の生産と物流が止まる。

食料や日用品が入手できなくなったら、どうするのだ?

医師がたくさん感染すれば、医療も止まる。

エンターテインメントを心配している場合ではないだろう。

つまり、「自業自得」ですまないのだ。

それを示唆する事件もおきている。韓国の感染爆発だ。当初、韓国の感染者数は日本より少なかった。ところが、突如、感染爆発が始まり、今は、中国本土に次いで感染者数が多い。その大多数が、新興宗教団体に関連しているという。集会で信者が濃厚接触し、感染者の集団「クラスター」が発生、その後、感染者が各地を移動し、感染が拡大したというのだ。

イベント、ライブ、集会の怖さはここにある。それでも決行するなら・・・

自分の財産が増えるなら、国が燃えるのも見ていられる・・・これは悪魔です。

もう一つ、重要なデータがある。新型コロナウィルスの発生地、中国だ。

現在、中国政府は、中国本土の感染者数は8万人、死者3000人と発表しているが、実際は、その10倍という説がある。ある専門家によれば、武漢からの直接情報から推計すると、万人単位で死者が出ているはずだという。事実、中国は開店休業状態で、再開の兆しは見えない。これが、日本の未来だとしたら?

それでも、日本のノー天気は続く。

先日、TVで、識者がこんな発言をしていた。

「むやみに検査を増やしても意味はない。陽性とわかっても、治療法がないから」

これにはビックリだ。

この識者のロジックには、致命的なバグがある。

検査は「感染者を見つけ、隔離・治療するため」だけにあるのではない。もっと重要な目的があるのだ。正確な感染者数を割り出すこと。というのも、感染者の数が500人だと思っていたら、本当は5万人だったら、どうするのだ?水際対策なんて言っていられない。

つまり、「感染者の数」は、国のウィルス対策の根本を左右する。だから、感染者の数を正確に割り出す必要があるのだ。

そのためには?

検査の数を増やすしかない。母数が大きいほど精度が上がる、は統計学の常識。こんなカンタンなこともわからないのに、識者としてTVに出て、国民を啓蒙する?

付け焼き刃の勉強で、のこのこTVに出るのもどうかと思うが、それを許す日本の風土も気持ち悪い。

日本はインテリジェンスをないがしろしている。だから、危機に際し、遅れをとるのだろう。今回のパンデミックのように。

《つづく》

by R.B

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