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スモールトーク雑記

■秘書の日 2018.05.13

死語・・・かつて一世を風靡し、今は使われなくなったコトバ。

たとえば、

「あたりまえだのクラッカー」(超古い)

「オバタリアン」(かなり古い)

「バッチグー」(ふつうに古い)

一つぐらいは聞いたことがあるだろう。

ではこれは?

「秘書の日」

今テキトーに造った?

ノーノー、スタバのHPにも堂々と載っている。

「秘書の日には、ありがとうの一杯を頼りにしているスタッフに・・・」

ということは、完全に死んでいない?

「秘書の日」は、1952年に米国で設立された記念日。文字どおり「秘書」に感謝する日だが、「4月の最後の水曜日」らしい。

ノー残業デー?

米国なのでそれはないか。

それはどうでもよくて、最近、面白い記事を見つけた。1980年代に出版された古い本に、こんな記述がある・・・

現在アメリカで普及しつつある「秘書の日」が、日本にはまだ上陸していないのは不思議である。これは、4月の最後の週を「ナショナル・セクレタリー・ウィーク」と呼び、日ごろ部下として働いてくれている秘書に贈り物をしたり、食事をおごったりするのだが、日本ではまだこのような習慣をほとんど聞かない。きっとこれも、ある特定の商品に結びついたとき、爆発的な流行現象となるのだろう(※)。

で、現実は?

ゼンゼン普及していない、今も昔も。

理由はカンタン、1990年代バブルが崩壊して、「大企業の重役=秘書+社用車」が死語になったから。

さらに、秘書の日に、食事に誘ったり、プレゼントを贈ろうものなら・・・セクハラ!(よこしまな意図があろうがなかろうが)

そもそも、秘書の数が激減している。日本だけでなく、米国も。

なぜか?

秘書の仕事は、ボスの窓口、スケジュール管理、定型業務の代行・・・そのすべてが、人工知能(AI)に奪われようとしているから。

現在、「秘書の日」は「専門事務職の日」に変わっている。対象を事務職にまで拡大したわけだ。だが、「秘書の日」の未来は暗い。

事務職どころか、ホワイトカラーが消滅しようとしているから。諸悪の根源は「RPA(Robotic Process Automation)」にある。

「RPA」とは事務処理のITツール。ただし、業務を「効率化」するのでははない。業務を「自動化」するのだ。つまり、人間を助けるのではなく、人間を不要にするシステム。最近、「メガバンクの大規模リストラ」が話題になっているが、RPAによるところが大きい。

現在、RPAはマニュアル化できる事務処理に限られるが、強力なAIと連携すれば、判断業務も射程に入る。そうなれば、管理職も役員もいらなくなる。必要なのは・・・「承認」役の代表取締役のみ。最終的には「株主=資本家」だけが生き残るだろう。

せちがらい世の中だ。

秘書も事務職もホワイトカラーもいなくなった世界・・・一体誰に感謝するのだ?

そう遠くない日、秘書の日は「本当」の死語になるだろう。

(※)週刊朝日百科世界の歴史14巻、朝日新聞社出版

by R.B

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