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スモールトーク雑記

■京都の思い出・浪人時代 2018.04.12

遠い昔、京都に住んでいた。大学浪人で、駿台予備校に通っていたのだ。

浪人生のクセに、予備校をさぼり、ロクに勉強もせず、読書三昧の日々。お父さんお母さんゴメンね、でも、授業料の安い国立大学に入ったから、大目に見てください。

あの頃、文学にはまっていた。

高校時代は、芥川龍之介、森鴎外、夏目漱石、久米正雄、洋書ではモーパッサン・・・そして、浪人時代は「五木寛之」どっぷりだった。

今でも覚えている。

四条河原町の書店「駸々堂」で、「五木寛之作品集」(文藝春秋)をまとめ買いしたのだ。4ヶ月食費を削って貯め込んだお金で。店員のお姉さんが、目をクリンとさせて、ビックリしていた。

じつは、10年前、金沢駅前に「駸々堂」が出店した。懐かしくて、嬉しくて、開店日に並んで、5万円分の本をまとめ買いした。しかし・・・その「駸々堂」はもうない。金沢から撤退したのではない。京都の本社が破綻したのだ。

「駸々堂」は、田舎で生まれ育った僕のココロを直撃した。大好きな本が、あんなにたくさん並んでいる・・・夢のような世界だった。

京都の思い出はまだある。

あの頃、市内に電車が走っていた。予備校に行くのも(たまに)、駸々堂に行くのも電車である。夜、電車に乗ると、車内はとても暗かった。道を照らす街燈も弱々しい。すべてが薄暗く、ぼんやりしていた。それがとても懐かしい。

あの時代、学生運動もさかんだった。

立命館大学で全国模試をうけたときのことだ。

帰りに、女子学生が僕に近づいてきた。学生運動家なのだろう、仲間に引き入れようと説得にかかった。話は筋が通っていて、理路整然、でも心に響かない。僕はノンポリだったのだ。とはいえ、それを白状すれば、説教されるのがオチ。そこで、僕は一瞬考えて、こう言った。

「僕は浪人の身で、親に食べさせてもらっています。だから、親の意志を尊重します。今、親が僕に望んでいるのは大学に入ること。あなたのように・・・」

すると、彼女はニッコリ笑って、

「あなた、しっかりしてはる。受験がんばって・・・」

とても綺麗なお姉さんだった。

僕にとって、あの頃は何もない時代。知識も経験もお金も、誇れるもなかった。

小林秀雄の名言「若いというだけで、何かになれそうな気がする」、それだけで生きていたのかもしれない。

だから、京都がとても懐かしい。

by R.B

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